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[23]コート・ドールの土壌と2 |
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土壌(というより石)の標本をセミナーの参加者達に回覧させたフーバーさん、
「見るだけでなく、臭ってみて欲しい」
と言った。
ヘックリンゲン村の白っぽい土の後に回って来た赤っぽい『ヴィルデンシュタイン』の土を臭った時、その意味が分かった。
地面から離れ、乾いた状態の武骨な魂。
香を嗅いだ瞬間、土や埃、そして鉄…を感じた。
が、もっと奥深い何かが強く語りかけてくる。
ヴォージュ山を越えてきたシトー派僧侶達が目を付けたというベーズ修道院とそっくりの土壌。
彼らはこの村に、テネンバッハ修道院を建てた。
そこを拠り所にして、周囲を探索、少し離れた場所に宿舎を建設した。
現在フーバー醸造所のある、まさにその場所。
なぜ離れた場所に建てたか?…それは、最も注目すべき土壌があったから。
その土地を開墾し、得意のテラス状に仕立てた。
この区画、かつてはWillistein(ヴィリーシュタイン)と呼んだが、まだ畑として、現在のワインアトラスには登録されていない。
しかしフーバーさんは、よりレベルの高い造りが可能な区画として独立させている。
その名は『ヴィルデンシュタイン』。
ヴィルデンシュタイン
シュペートブルクンダー
レゼルヴェ
700年の時を越え、畑を切り開くシトー派僧侶達と、切り立った壁面に沿う小径に立っている自分の姿、降り注ぐ太陽と、息をする葡萄の葉、そして地面の匂い…
すべてが混じり合った空気を吸い込んでいるような…
この鉄分をしっかりと含んだ赤い土が発する香は、そんな想像を掻き立ててくれる力があるように感じられた。
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