[24]コート・ドールの土壌と3

時と空間のファンタジーさえ呼び起こす香を持つ土壌ではあるが、

その硬さは、どう考えても“石”。

決して土ではない。

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コンクリートの地面に叩き付けても割れそうにないし、少々ハンマーで叩いても砕けそうにはない。

その上、この石の土壌の上に表土が30センチしかない…
というのが、『ヴュルデンシュタイン』の特徴である。
当然のことながら、たったこれだけの土で、葡萄の根が養分を吸い上げる事など不可能である。

質問がすぐに出た。

「こんなに固い岩で、葡萄は根を下ろせるのか?」

フーバーさんは

「葡萄の根は、十分この岩の中に入り込みます。
 根を下ろす…というよりも、液体のように浸みて行くのです。」

と答えた。
この固い岩だからこそ、水分を求めて、より地下深くへと伸ばす必要がある。
その葡萄の生命の息吹が、葡萄の実に現れてくるのだろう。

コート・ド・ボーヌと酷似する地層、白い石灰岩のヘックリンゲン村、その南にあるマルターディンゲン村は、南北が逆になるが、コート・ド・ニュィの土壌と酷似する。
大昔の土壌プレートのうねりによるいたずらだろう。


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緑線は村境ではなく、大まかにヘックリンゲン村とマルターディンゲン村を分けたもの。


マルターディンゲン村の土壌は、鉄分が多くなるが、このヴィルデンシュタインはより含有量が高く、石灰岩でも、見た目にも赤っぽい。

この土壌を好み、最高の力を発揮する葡萄、それはクロ・ド・ベーズと同じピノ・ノワール。
マルターディンゲン村の他区画には、色んな葡萄を植えているフーバーさんだが、ヴィルデンシュタインはピノノワールのみ。
しかも25hL/haという信じられない低収量。



 ヴィルデンシュタイン [R]レゼルヴェ
  シュペートブルグンダー
  QbA トロッケン
 ベルンハルト・フーバー


彼のどの畑よりも重厚で、力強く、長命に仕上がる、フラッグ・シップたる風格。
この風味、そしてポテンシャルに感動した私は、2005年を箱単位で個人買いした。
10年後・20年後・30年後…
そして40年後に飲むつもりなのだ。


         [To Be Continued...]


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