[33]赤3(5)マルターディンガー・ビーネンベルク レゼルヴェ
これこそが、自分が誇りを持って伝えるものだ…
と言わんばかりに、フーバーさんの目が光る。

huber_46

この場に提出されなかったアルテレーベンを
プルミエ・クリュに相当する…とするならば、

「このレゼルヴェこそは、ブルゴーニュのグラン・クリュに相当するもの」

との言葉は、力強さに満ちていた。

          
 マルターディンガー ビーネンベルク
  [R](レゼルヴェ) シュペートブルグンダー
 Q.b.A. トロッケン 750ml


なおも説明が続く。
1954年〜1958年に植えた、つまり50年前後の樹齢。
簡単に言うけど、この樹齢は私と同じ年齢だ。

私が生まれた頃…言うのも恥ずかしくはあるが、
冷蔵庫も洗濯機も一般家庭に出回り始めようとする時代。
幼い頃、テレビは、近所の金持ちの家に見に行ったし、
電話は、町内で数件しかなくて、商売をやってたウチは、
町内中の人を呼び出しに行ってた…そんな時代。

その頃から根を延ばし始めたピノノワールは、
一体どの程度の深さまで到達しているのだろうか…
と自分の年齢と重ねながら想像するだけでワクワクとしてくる。

しかも、この古木からの収量を、なんと25hL/haにまで絞り込むのだ。
こんなバカげた数値は、数値だけを売り物にしようとする
南仏のワインぐらいしか見た事がないほどだ。

この時に提出したのが2004年で、収穫から4年は経ているが、
「閉じた状態でまだまだ…」
と作者本人が言う。

「ビーネンベルク畑の最良部分だけで造っているので、
 樹齢・収穫量・テロワール…すべてを考慮して、
 グラン・クリュと判断して欲しい。
 従って、瓶詰め後、10年以上経って飲んで欲しいワインに
 仕上がっている。」

と誇らしげに言った。
さらに続けて、

bienenberg

「ビーネンベルク畑の特徴は、最もタンニンの抽出ができる特性を持っているので、
 寿命も長くなると感じている。だから2008年の今、飲んで欲しいのは、
 この2004年ではなく、1995〜1996年辺りだ。」

…と言われても、そんなもの、持っている人はほぼ居ないですがな…。

「レゼルヴェも、1988年から全くフィルターがけをしていない。
 だから、外観からの透明度を観察しても、ピノらしい透明感は無いだろう。
 しかしそれは、内容の充実度を示すものと考えて欲しい。」

「6〜7年立てば、オリが抽出してくるから、それから飲むのも良いだろう。
 若い頃、世界のトップワインを飲んだ時、オリがしっかりと出ていたから
 自分のワインについてもオリが出る事を誇りに思っている」
…とフーバーさんは語った。

(これは、オリについてつまらないクレームを付ける人への牽制ともとれる…)

オリについては、面白い見解を語った。
ブルゴーニュの造り手からも良く聞くのだが、
オリを一緒に飲んで欲しい…と言うのだ。

ボルドーではあり得ないが、ブルゴーニュのオリは、
ある意味、味わいと捉える事もできる。
上澄みの味、中間部分の味、そして底に近づいた時のオリが混ざって来た時の味
それらすべてを楽しむのも、ピノノワール・フリークとしては
アリ…なのに違いない。

フーバーさんは続けた。

「オリを飲むと酵母の味が残っているような気がする。
 その風味が出る事を、フーバーさんは、非常に良い事だ…と考えている。」

オリを除けてしまうのは一つの手だが、
一緒に飲むのも、より楽しめる手法なのだ…と語られると、
かつてはオリが抽出したものを捨ててしまった事を悔やんだ。

次回は、フーバー醸造所のワインで、オリと共に飲んでみたい…と思った。

               [To Be Continued...]



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