[53]補糖


かつてのドイツワインに、NATURREIN ナトゥールライン
という表記があった。
1981年のワイン法改正で、表記不可になったが、
これは、「天然自然の」という意味。
糖分のすべてを葡萄から得る事を意味する。

では逆に、そうでないものがあるのか?
葡萄の持つ糖以外を使うワインがあるのか?
という疑問が生まれるだろう。

ショックを受ける人が居るかも知れないが、
答えは、多くの、と言うより、殆どのワイン。
世界の手本になるべきワインは、
ほぼ間違いなく、糖を添加する。
ただし、誤解してはいけないのは、添加した糖は
すべてアルコールに変わる、という事。
甘さとしてワインに残る事は一切無い。

枠で囲まれた中に表記されている。
ちなみに、Cabinetも現在は禁止表記



醸造用語に、「シャプタリザシオン」=補糖を意味する言葉が存在するように、
フランスのワインは、ほぼ全部が、毎年行う。
この手法無しでは、高級ワインの風味は成り立たない…
と言える。

フーバー醸造所は、高い等級(シュペートレーゼ以上)の
ワインに使えるレベルまで達した葡萄を収穫する。
旧来のドイツワイン醸造の次元で考えるなら、余裕で、
十分なアルコール度数を得る事ができる。
それなのになぜ、Qualitatswein.b.Aの表記かと言えば、
補糖をするからである。
ピノノワール(やピノブラン)を使い、理想の味香へと進む時、
彼は、世界のワインと同じく、補糖をするのが正しい道…
と判断したのだ。

もちろん、収穫を遅らせて糖度を上げ、
時として貴腐としての糖分を使う造り手も居る。

しかし、フーバーさんは、その手法を選ばなかった。
ワインに接すれば、その選択が正しかった事がわかる。
十分に上昇したアルコール、そして果実味と深い風味。
キメが細かいのがよく分かる舌触り、膨らむボディ、
締まるフィニッシュ。

この味に出会えた事を喜びたい仕上がり‥なのだ。

    [To Be Continued...]


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