ヴァイルがウチにやって来た [11] 赤ワイン

生産ワインのほぼすべてがリースリング。
しかしデータを見ると、一部に
シュペートブルクンダー=ピノノワールを栽培している。

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面積は1.2ha、35hL/haの収穫量、年産4,000本。
これを見るとファンとしては黙って居られなくなるだろう。
実際、
「赤を造っているようだが販売する予定はないのか」
と訊ねた参加者がいた。 しかし、

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「販売しない」
…とキッパリ言った。

「赤は、伝統として造っている。
従業員の消費用である。  
外に向けて販売する予定はない」

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例えばゲオルグ・ブロイヤーなどは、所有畑の内、殆どがリースリング好適土壌なのだが、その中に帯状に細く走る石灰質土壌があり、そこにピノ・ノワールを植えて赤を生産している。

しかし、もし所有畑の中にその土壌がなかったら、ゲオルグ・ブロイヤーの赤もつまらない物になっただろう。
造らなかったかも知れない。
成功する為には、人智・努力だけでなく、素材とテロワールが必要。
もちろん、それだけに頼る訳ではないのだが…。

ほぼリースリングを植えているヴァイルの畑にピノ・ノワールに適する土壌が無いとすればそれも仕方のない事だ。

現在は、市場が赤を求めているのは誰もが知っている。
しかしヴァイルの畑が白しかできない…
と言えばそれは正しいに違いない。

有り得る可能性はすべて模索する。
その中での最善の道を選び抜く。
そこでヴァイルが出した答えだとすれば、
「ヴァイルなら仕方ないし、白の最高品だから…」
と、飲み手としては言うしかないだろう。

ただ単に一つを選んだのと、選び抜いた結果として残るものでは、答えが一緒であっても意味が違う。


ロバート・ヴァイル
 リースリング QBA
 ハルプトロッケン


選び抜いた事が分かる者なら、赤を販売しない…というヴァイルの選択がどれほどの重みかはすぐに分かる。

それはヴァイルの白を楽しんだ者のみが知る本質なのかも知れない。


[To Be Continued...]


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