ヴァイルがウチにやって来た [12] ズースレゼルヴ、樹齢

参加者からの質問は続いた。

「やはりズースレゼルヴを使っているか」

しかし、通訳が理解できない。
ドイツの文化を理解し、ワインも結構飲んでいるようだが、こんな言葉は、普通人は理解してなくて当たり前か…。

これは搾汁を二つに分け、一方を発酵させずにジュース状態で置き(=ズース・レゼルヴ)、他方を徹底的に発酵させ、両者を混合するもので、製造工程の合理化・安定の為、殆どの蔵元が現在は採用している。

しかし、ヴィルヘルム・ヴァイルは、

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「理に適った製法ではあるが王道ではない。等級に応じてタイミングを見計らって冷却し、発酵を停止させている」

と、ズースレゼルヴではないと言明した。

質問者は、昔風のこのスタイルを支持する人物らしく、答えを聞いて嬉しそうな顔をしていた。

さらに、搾汁機のメーカー名を訊ねるなどレベルの高い質問が続く。
そして、

「樹齢はどの程度か。アルテレーベン(古木からだけの収穫)を発売する予定は?」

この答えには、質問した者と共に私も驚かされた。

「樹齢は60〜70年を最高に、メインに使う樹はそれに近いレベルだ。“アルテレーベン”は公的な基準はなく表記をする予定はない」

“アルテレーベン”と表記するならば、ヴァイルの言う通り公的基準はないものの、40年の樹齢を越えればまず許されるだろう。


ロバ-ト ヴァイル
   リ-スリング シュペートレーゼ


なんとすべてがそれを越えているのだ。
ロバート・ヴァル醸造所のワインに“アルテレーベン”の表記は必要ない。

weil_08-2.jpg

見えない部分の究極の品質…
セミナーの参加者が、注がれた液体を再度見つめ直しているように思えた。


[To Be Continued...]


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