ヴァイルがウチにやって来た [15] 人柄

ロバート・ヴァイル醸造所には現在30人(繁忙期には70人)の才能と経験ある常駐スタッフが居て、 ワイン造りに専念していると伝えた。

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たった2時間のセミナーでも、ヴィルヘルム・ヴァイルの魅力は十分過ぎるほど感じられ、きっと、この若き経営者の為ならば、努力と献身を惜しまない…という人達に支えられれているに違いないと思った。

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外観は気難しげなドイツ人、イカツい顔つきのゲルマン。
しかし嘘は無くまじめ、人を思い敬う優しさを持つ。
日本人の最も好きなタイプの外人さんである。

それは、決して装っているのでない。
一方的に話すだけなら人格者の振りができる。
しかしワインの評価を求めたWの暴挙に対しての対応を見ても、その誠実さが分かる。

さらにこの後、参加者の中から、精神を刺激するような厳しい質問が出た時、彼の答えは、本質的な優しさと、魅力を感じさせるものだった。

「誰をライバルと考えているのか」

彼は頂点だ。
強いてライバルと言うならば自分自身だ。
他には居ない。

しかし我々がそれを期待していると思ったのか、本当にそうなのかは分からないが、

「ウチのワインは最高だが、毎日飲んでいたら飽きる。 だからJJプリュムなどを飲むよ。他の蔵元の美味しさを知らなければ、より良いワインは造れない」


  ヴェーレナー・ゾンネンウーア
  リースリング アウスレーゼ[1999]J.J.プリュム

と答えてくれた。

懐が深く、冷静な紳士なのだ。
図に乗って、つい私も訊ねてしまった。

「私はあなたのファンです。(と、まず断る。事実だし。)
 ゴーミヨで現在は最高位5つ房ですが、
 一時、4つ房に落とされた時、悔しくて堪りませんでした。
 なぜ落とされたとお考えですか」

芸能レポーターばりのかなり精神的にキツい質問だと思う。
しかし全く動じない。
冷静な横顔。ゆっくりとした口調で

「造っているワインは何も変わっていない。
 最高のワインを、しかもすべてのグレードを
 17年間作り続けて居るし、
 それは微動だにしない。
 多分に政治的なものだろう」。

で終わり。

シャトー・ムートンが1855年に2級格付けされたのと同じようなものだろう。
しかし、ヴァイルは何も言わない。


Ch.ムートン・ロートシルト [1979]

ただファンとすれば言って欲しい。
「周囲がどのような評価をしようとも、ロバート・ヴァイルはロヴァート・ヴァイルである」。 …と。


[To Be Continued...]


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