ヴァイルがウチにやって来た [05] 格落ち

ドイツ・ワインの大御所・三野氏曰わく、

「ヴァイルのワインは、すべて格落ち。
カビネットの中身はシュペートレーゼ、
シュペートレーゼの中身はアウスレーゼだ。」

その証明は?
…と私が問い質す必要も無かった。
飲めば分かる凝縮感。十分過ぎる残糖。
一般的なシュペートレーゼで、この内容は不可能だ。

外観だけ見ると、ロバート・ヴァイルの造るシュペートレーゼは、畑表記もないくせに、他の蔵元のアウスレーゼ級の価格である。
グーツワインなのに、ここまで価格が高いのか?
…というのは、飲んでない人か、もしくは味わう能力のない人という事になる。


キ-ドリッヒャ- グレ-フェンベルク
  リ-スリング シュペートレーゼ[2005]


早い話、このシュペートレーゼの中身はアウスレーゼなのである。
飲めばすぐに分かる。
残糖だけを頼りにしてティスティングをしても、このシュペートレーゼは100g/Lに近い事が明確。
もちろん、凝縮の味わい、湧き出して来る香、美しくまとまったバランスなど言うに及ばない。

ラインガウの超一流蔵元のアウスレーゼの価格として見ればそれほど高いものではない。

いや、収穫量制限や手間のかけ方など、他の蔵元より数段上のレベルなのである。

これこそが、ロバート・ヴァイルのワインに仕込まれたもう一つの仕掛け…即ち“格落ち”なのである。

輸入業者と挨拶を済ませたヴァイル氏は、ワインセラーへ入って来た。

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そして環境の良さに感激してくれた。
あなたが扱ってくれれば、私のワインは最高の味で消費者に届く…と言って喜んでくれた。

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ロバート・ヴァイルのワインが並んでいる場所の前に案内すると、一瞬、じっと見つめた。

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最上段には、ズラッと他の高級蔵元のアウスレーゼが並んでいる。
その段に、自分の蔵元のシュペートレーゼが並んでいるのを見て、微笑んでいた。

その意図を理解した…と感じたからだと私は思っている。

そして、畑名を表記しないグーツワインに惜しげもなく特級ランクのヴァッサロスとザンドグループを使い、格落ちまでさせている彼の造りは、ここで終わらない。

さらなる高みへの道を保有しているのだ。



[To Be Continued...]


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