ヴァイルがウチにやって来た [07] 伯爵の山 Nr.2

「グレーフェンベルクはラインガウ一番の畑ではない。
ドイツで一番の畑なのだ」…とヴァイル自身が言う。

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このグレーフェンベルク畑の面積は、買い増しにより、少しづつ面積を広げている。
それなのに、この畑からの収穫量は徐々に少なくなっている。

この点に気づいたなら、10年前いや5年前のワインを飲んでいても、現在を知る事にはならない事が分かるだろう。

年々スゴくなっているのだ。
一時、収穫量を絞り込んで、低収量のまま維持する銘醸蔵元はある。
しかし、こんな状況は、他には無い。

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従って高くなる。ユーロのレートが高くなるよりもキツい値上がりをしている。
ただ、外観こそ変わっていないのだが、中身は例え僅かづづながらもドラスティックに変化している。

だから値上がりを嘆く必要はない。
それ以上の品質上昇を手にできるのだから…。

目を閉じてこのワインをグラスに注いでみて欲しい。
色彩は?…それほど深くない、ほんの僅かに緑を帯びた黄色。
輝きは控えめながら確かに放たれている。


キ-ドリッヒャ- グレ-フェンベルク
 リ-スリング アウスレーゼ [2005]


足は長くゆっくりと壁面を覆う。
ゆったりと揺れる液面、詰め込まれたものの多さを予見させる。
香は…
とグラスに鼻を近づけて吸い込めば私自身には、故郷の回顧が始まった。

幼い頃遊んだ屋根のある広い空間…青果市場だったが…を駆け抜けて行く時に、あちこちから湧き上がってくる香。
桃が、レモンが、夏みかんが、グレープフルーツが、南洋のマンゴーやパッションフルーツ、アプリコットにライチ、パイナップル…

果物の薫りに飽きて外に出れば、工業地帯へ向かう車に積まれた自動車部品の石油のような揮発性物質の香。
家に帰れば棚からハチミツの瓶を取り出し蓋を開ける…

まるで幼い頃の出来事をストーリーとして語ってくれるような展開。
残糖は、アウスレーゼ表記なのに、間違いなく100g/Lを越え120g/L前後か?
凝縮感と密度感。

2006年の06月では、さすがに2005年産は若すぎる。
もう数年して、最初の飲み頃が来るのだろう。

そしてきっと、20年〜50年以上…飲み頃は続くに違いない。
このワインのポテンシャルは頭抜けていて日常的レベルで語る世界ではない。

特別な日にふさわしい、あなたの特別な日に、この価格は高すぎるだろうか?

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このワインを飲んだ時、ヴァイルのコストパフォーマンスの良さを知る事ができるだろう。

そう、このワインの価格は、内容に対して明らかに安いのだ。


[To Be Continued...]


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