06-0707ポール・マス来訪 [01] 来倉決定

南仏、ラングドック地方の中でも
最もコスト・パフォーマンスが良い造り手の一人…
ポール・マスが、ウチに来てくれると連絡が入った。

あな嬉しや。
最近、大物がどんどん来てくれるようになった。
ほとんど外に出る事ができない私にとって
これほど嬉しい事はない。

そしてワイン好きとしても
大物であるなしは別にして、
ハートを込めている造り手と会えるのは
この上ない喜びである。

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それは、葡萄比率や土壌などの情報以上に
重要な話を聞く事ができるからである。
ましてや、彼は大物、その手によるワインは
ハイコストパフォーマンスで、日常には
十分過ぎる品質。
つい気持ちが前のめりになってしまうのは仕方ない。

造り手の人柄や心に触れられる瞬間は
アイドルに出会うファンの心持ちと似ている…
なんて言うと変だろうか。
でも、私にとってはそうなのである。

遠く離れた地で造られたワインを
幾度となくグラスに注ぎ、眺め、揺らし、
香を嗅ぎ、飲み、味わい、余韻に身を投じながら
液体に込められたものを受け止める努力をする。

それがテロワールの巧みな表現だったり、
造り手の心を込めたメッセージだったり…
時としてパズルのような複雑さを含んでいたり
飲み手に対する謎かけとも言える挑戦だったり…
そんなこともあったように思う。

飲んだワインは整理と記憶、
その中で受けた感銘を書き留め、
あるいは心に焼き付ける…という作業を行う。
それが私の仕事、そして楽しみ。

彼のワインは重くタンニンが十分ながらも滑らか。
キメの細かいタンニンは、お互いが軋み音を
上げるような事がないスムースさを持つ。

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レ・ファイス[2004]
ドメーヌ・ポール・マス 750ml

樽は銘柄やグレードなどによって巧みに使い分けられ
オーキーさとトースト香が見え隠れしながら
ワインのボディを支える。
角張った部分がなく、リラックスして飲める…
という基本スタンスは常に不変。

この巧みで隙の無いワインを造る人物とは?
…どんなキャラクターが登場するか、
ついワクワクしてしまうのだった。

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