06-0713ポール・マス来訪 [05] 和食との妙Nr.1

鮨・東田での食事がスタートした。
それぞれにワインを合わせていく。

【前菜】ふぐの白子の豆腐

人によってはこのお料理にワイン…
というのは変に感じるかも知れない。
日本酒なら簡単、それも間違いない。

だけど、障害物だらけに見える中で、
レーザー光線が突き抜けるように
一筋の糸が結びつく事がある。

その、コネクト感、そして共振を味わえた時の感動は、
当たり前の世界に安住していたのでは味わえない。
まして、目の前にワイン造りの本人、
傍らに腕の切れる料理人がいるのだ。

100105_19
東田の大将、ポールマス、酔ってる私

淡泊ながらも素材の味わいを伝える豆腐に
深みと旨味を与える白子を練り込んでいる。
アクセント的なワサビが添えられ
ワインとは難しいと言われる醤油。

登場するのはこのワイン。
ドメーヌ・ポール・マス[2005]
シャルドネ-ヴィオニエ

これは、巧く合った。
究極ではないにせよ、相応以上に合っている。
ワインと、料理の優秀性が巧く噛み合った取り合わせ。

しかし問題は、次だ。

【刺身】さわら、しまあじ、ひらめ

これは難しい。
これさえクリアーできれば、ワインはもっともっと
和食に取り入れられていくだろう。

一番の難物、ナマ魚の典型、“刺身”。
ワインとは大きな川で隔てられた存在なのだが、
この川に背を向けていてはワイン屋の将来はない。

イタリアンのお料理とワインが、すべて合ってしまうのは?
それは両者の間にオリーブ・オイルという橋が架けられるからだ。

ナマ臭さが際だつ「ワイン+刺身」に
臭みが消え、脂の乗った食べ物と感じられる
掛け橋はないのか…。

最も簡単な手法は、イタリアンを模して、
刺身にオリーブ・オイルをかけてしまえば良い。
しかし、料理人を目の前に
そんな失礼はできない。
家庭でカルパッチョ…というなら、この手法もアリかも知れないが、
人間として許されぬ行為になってしまう。
ならば?…
って考えるほどの事はなく、刺身の付属物=ワサビを使えば良い。

ワサビは、ハーブである。
オリーブ・オイルと同様に、架け橋になれる存在である。
そこで、しまあじの身にチョンッとわさびを載せ
同じワインで挑む!

危ない感じの橋ながら、
何とか渡り切る事ができたような気がした。
が、ワインを変えてみた。

100105_20
ル・ニ・ド・マ
ミュスカ・セック[2005]
ドメーヌ・ポール・マス

文句なくこれは合う。
刺身にワサビを添え、飲むならばこのワイン。
マスカット香の華やかさが、ワサビの芳香と溶け合って
面白いハーモニーを奏でる。

余韻の中の臭みも感じない。
刺身にはこれ!
ってポール・マスに向かって
自信を持って主張した。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です