ポール・マスの創り出すワインは、
特に上級品は、樽の香ばしさが心地良い。
それぞれのグレード、内容に従って、
試行錯誤を繰り返してチューニングした
樽使いがなされている。
ドメーヌ・ポール・マスのシリーズは、
80%米国樽、20%フレンチ・オーク樽、8ヶ月の熟成。
ドメーヌ・ポール・マス
カベルネソーヴィニヨン-シラー[2004]
一方、上級のシャトー・ポール・マスのシリーズは
60%米国樽、40%フレンチ・オーク樽、10ヶ月熟成。
コトー・デュ・ラングドック ルージュ
シャトー・ポール・マス[2004]
フレンチのオークはスギャン・モロー社製。
焼き加減は、「スペシフィック(SPECIFIC)」と言った。
分からない言葉が出た時は遠慮なく質問。
するとこの業界で、ミディアム~ミディアム・レアの
焼き加減を示す、と彼は教えてくれた。
もちろん、年号・葡萄毎の作柄を見て
コントロールするのは言うまでもないこと。
毎年、安定的な高品質を供給しながらも
チャレンジは絶えず行っている。
グルナッシュを主体にして、
単位面積当たりの収穫量を究極レベル(19hl/ha)まで制限、
膨らみと凝縮感、果実味と滑らかなタンニンを確保し、
さらに美しい樽熟成を与えたのがこのワイン。
シャトー・ポール・マスを旗艦=大和とするならば、
こちらは戦艦・武蔵、負けず劣らずの品質、
何よりも分かり易さは上と言えるだろう。
セパージュはグルナッシュ60%、シラー40%、
ラングドックの風土を最も美しく表している
ポール・マス自慢の銘柄。
葡萄畑の斜面に当たる海風は葉の間をすり抜け、
照りつける太陽は葡萄の皮の色をルビー色に輝かせる。
凝縮したのは収穫量だけでなく、
彼のワイン造りへの情熱をも。
そのハートを優しく包む樽使い。
まさにラングドックの快感を味わえる一本。