06-0806ラ・トゥール・ボワゼ来訪 [03] 森の塔の二人の娘

なぜ、この品質がこの価格で出せるのか?
…と再度聞いてみた。

現地でも輸入業者との間に立っている通訳は、
「ワイン造りにしか目がいかず、
儲ける事に無頓着…と言うしかないです。
品質を考えれば、もっと高くて当たり前だと私も思います」
と言った。

…本当に、心根は気の良い田舎オヤジなのだろう。

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ジャン・ルイ・ブドゥー氏の実家は、
1793年よりミネルボワ地区で葡萄造りをしていた。
ワインを造り始めたのが1826年、代々継がれている。
でも、ブドゥー氏が戻るまでは、ほぼ樽売りだけの状態で、
自社ブランドとしての出荷はなかった。

同家の所在するロール・ミネルボワ村は、
昔、城壁に囲まれていて、4つの門と塔があった。
その一つが、敷地内に残っている塔(TOURトゥ-ル)である。

この塔は13世紀に建てられたものであり、
これが由来となり、醸造所名が
ラ・トゥール・ボワゼ(=森の塔)となった。

ラ・トゥール・ボワゼのスタンダード品は
ACミネルヴォアだが、その上のキュヴェとして、
ブドゥー氏の二人の娘の名を冠した
“マリエル・エ・フレデリック”がある。


ミネルヴォワ 赤
マリエル・エ・フレデリック[2004]

平均42hl/haという収量制限もさることながら、
プレス果汁を使わない、フリーランだけで造られる。
みずみずしさと果実味を重視するため、
熟成は樽を使わずステンレス・タンクのみ。

ストレートに上昇したアルコール、
透明感さえ感じてしまう果実味、
カシスやラズベリー、砂糖漬けチェリーや
干しイチジクなどの香が溢れ、まさにジューシー。
ミネラル感もある若々しいワイン。

ブドゥー氏の、愛と技術と歴史を
ストレートに結晶させたワインだ。

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