Wildenstein…ヴィルデンシュタイン。
これは、村名なのか畑名なのか?
判然としなかったが、資料を手にして初めて分かった。
マルターディンゲン村の畑は、1971年の法改正で
ビーネンベルク畑に集約された。その中に、古区画で
“Willistein”…ヴィリーシュタインという部分があった。
700年以上前に、シトー派によって開かれた畑で、
テラス状になっていて、大昔の岩壁が見られる。
ここを『ヴィルデンシュタイン』として、独立銘柄としたのである。
フーバー醸造所が所有する中で、最も赤色のトーンが強い石灰岩層で、
鉄分の含有率が多い畑である。
表土わずか30センチ、葡萄の樹は水分を求めて地中深くに根を伸ばす。
この畑に植えられたシュペートブルクンダーの樹齢は48年、
単位収量は、なんと25hL/haまで絞り込む。
そこに究極の技と哲学が加われば
どんなワインになるか…は容易に想像できる。
ただし、このヴィルデンシュタインだけは、
ビーネンベルク畑の中の区画に過ぎないから、
ドイツワイン地図には表記されておらず、
グローセス・ゲヴェックスとしての表記は
正式認可を多分、数年待たねばならないだろう。
ヴィルデンシュタイン [R](レゼルヴェ) シュペートブルグンダー 赤 QBA トロッケン
力強さ、濃度感、長寿のポテンシャル…
すべての点において、フーバー醸造所のフラッグシップと言える存在。
年産250箱。
そのうちのごく僅かのみが日本に入荷される。
これは、並の心構えではとても飲めない。
歴史と、テロワールと、努力の結晶。
2005年という天からの恵みに実ったレア物なのである。