08-0422ベルンハルト・フーバー来訪記念[20]セオリー破り1

ワインの世界には、セオリーが多くある。
それに則って行動することが身に染みついている。
ちょっとワインを勉強した人なら、
赤と白があればどちらから飲む?
と言われれば、白が甘口でない限り、白から飲むのは当然だ。

ワインの世界のイロハのイである。
しかし、レジメを渡したフーバーさんと輸入業者、
何かを相談している…と思ったら、話しかけてきた。

「飲む順番なんですが」

「はい。このレジメの順で…」

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「あの…特にシャルドネのレゼルヴが力強いので、
白を赤の後にしても良い…ってフーバーさんが仰ってるんですが…」

え!
赤、しかもマルターディンガー・ビーネンベルク レゼルベ
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の後に白を飲む?
このワインはピノノワールでも、間違いなくフルボディに属する。
このワインの後に、白を飲む事など、ちょっと考えにくい。

なのになぜ?…そんな事を言うのだろうと思った。
白をないがしろにしても良いと考えるほど、
赤にしか思いがない…そんないい加減な造り手はないだけに、
不思議だった。

しかし、フーバーさんのワインを
いくつかのお料理と共に飲んでみて
その意図が少し見えて来たような気がする。

特に彼の赤について、存在感も味も凄いのだが、
それ以上の特徴を持っている。
それは「調和」と「懐の深さ」である。

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誤解を恐れずに言えば、
美しい格子戸のようなものだ。
それだけでも美しく、存在感を主張する。

その向こうに桜花爛漫・花吹雪があっても、
寂寞とした風に弄ばれるススキが見えても良い。
流れる水面に反射する光の陰影に目を細めるのも一興、
降り続く雪の白ささえも美を引き立ててくれる。

匠の技で仕立てられた格子戸は、
その手前にあっても、どの風景とも調和をするだけでなく、
それらと共により美しい世界を構築する
懐の深さを持っているのである。

これに似た事がフーバーさんの赤ワインについては
言えるような気がする。
赤ワインの次に口にするのがお料理でなく白ワインだっとしても
打ち消したり、味わいをかき乱すような、
そんな状況にはならない…という事を一番知っているのが彼自身。
だからこそ、このセオリー破りの言葉が出たのかも知れなかった。

[To Be Continued…]

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