今回のセミナーは、小さな会場だけに、
造り手と同じ部屋の空気を共有する、というライブ感がある。
それ以上に、テイスティングしながら造った人の
ナマの声が聴けるのだからより一層印象が強くなり、興奮も高まる。
その辺りを、フーバーさんも心得ているようで、
通り一遍のスライドを短く切り上げた後、
ワインを飲みながら、講演を聴くことになった。
さすが来日8度目のフーバーさん、
『乾杯!』も日本語だ。
今回のラインナップは私が考えたものだが、
それを見て、「良いレイアウト」と一言。
彼の造るワインをきっちり系統立ててあるからだろう。
┏━┓┏1.ステンレスタンク醸造
┃白┣╋2.ステンレスタンク発酵、樽貯蔵
┗━┛┗3.樽発酵、樽貯蔵
┏━┓┏1.ユンゲレーベン
┃赤┣╋2.マルターディンガー
┗━┛┗3.レゼルヴェ
まずは、白の話である。
1.ステンレスタンク醸造の
フーバー リースリング&ミュラートラガウ Q.b.A トロッケン 750ml
品質は極めて高いものの、最も安いものでも、3990円からの価格設定…
という事では、一般の人が接するのはなかなか難しい。
そこでできるだけリーズナブル・プライスにして、
まずは飲んで、その良さに触れて貰う…という
ヘレンベルガー・ホーフ(輸入者)からの依頼によって
造られた、日本限定販売の銘柄である。
ステンレス・タンクによる発酵・熟成により、
フレッシュ&フルーティー。
綺麗な酸、そしてエレガンスを求めての構成。
だからマロラティック発酵は行っていない。
ほんの僅かの、モーゼルのワインを彷彿とさせる微弱発泡は、
液体をいかに大切に扱ったか?…の証明になるものである。
ポンプなどを使うと、この小さな泡は消えてしまうのだから。
前菜や軽い食事に合わせて欲しい…という言葉通り、
オールマイティながらも、比較的ライトに仕上がった
辛口フルーティー・ワインである。
もちろん、「フーバー醸造所らしさ」も決して忘れていない。
クリアーなこのワインで、テイスティングは始まった。