10-0125 ボルドー物語 [04-3]

シャトー・ムートン・ロートシルト その3
アートとの融合

ムートンのオーナー=バロンヌ・フィリップは、
シャトー元詰めで品質を保証すると共に
1924年に、ワインの衣装とも言うべきラベルを、
その味わいにふさわしい芸術で飾る事を発案する。

100317_1第1号の依頼を受けたのは、
キュービズムのグラフィック・ディザイナー=カルリュ。

以来、ムートンのラベルをデザインすることは、
『世界のトップ・アーチスト』というお墨付き(*201)
を得ることになる。

ワインの世界で一級になれなかった者が、
世界のアーチストに一級の格付けを与える…とはなんたる皮肉。
いや、もしかしたら、これこそが、バロンヌ・フィリップの、
ムートンの不当評価に対する復讐だったのかも知れない。

さらに彼は、秘め事だらけだったワイン醸造を、
よりオープンで、陽の当たる場所へと導く。
誰も入れなかったシャトーの奥まで見学者を受け入れた。
同時に、芸術との融合をより進め、敷地内に美術館を併設、
ラベルに使った絵を展示する。

これに習うように、ボルドーの一流シャトー達も
次々と見学者を受け入れるようになった。

努力を重ね、守りに入らず、アグレッシブに進歩、
トップ達を凌駕、更なる頂を目指す。
その姿こそが、ムートンを最も魅力的に感じさせる部分のひとつ、
と言えるだろう。

[To Be Continued..]
————————————————————-
(*201)傑作なのは、このムートンのお墨付き依頼を
断った画家が居たということ。1969年にはミロ、
1970年には シャガールが描いているというのに…。
ただ知らなかっただけだったが、断ったことで世界中に
その名が鳴り響くとになった。 それは、なんと日本人
堂本尚郎画伯。 周囲に諭され引き受け直した。日本での
未年=1979年に使われているのはムートンの粋な計らい。
3782g

6355g3333g3330g4687g