2007 富志美盛 大吟醸本醸造しずく原酒
大野酒造 その1
Fushimizakari Daiginjo Honjozo Shizuku Genshu Part1
これを皆に飲んで貰ったらどうでしょう…
と倫子さんが出してきた酒。
瓶のサイズは500mlと小さい。
何?と聞く前に、利き酒用の猪口に
その酒は注がれました。
吟醸香が沸き立ってきます。
ワイングラスでないので、香を口に入れてからでないと…
と思い、口の中に入れた一瞬、衝撃が背筋に走りました。
声が出ない。いや、出せなかったというのが正しい表現。
「これは鑑評会用に造った酒を、時間が経つので火当てしたもの」
という倫子さんの声が、遠くで聞こえるように感じる程に饒舌な酒。
この酒の在庫をすべて、盛り上がるパーティーの席に出す…
というので、それは止めて貰いました。
これほどの酒は、酔った勢いで飲むべき存在ではありません。
皆に振る舞うとしても、一杯だけで良いと判断できます。
分かる人には、それで十分過ぎる感動を与えられますから。
分からない人は何杯飲んでも
分からないのだから、やはり
その一杯だけで十分でしょう。
コンペティション用、採算を度外視した造り、
原材料は山田錦だけを使ってる。
65%を削り落として
芯白だけを35%磨き出す…という
究極のエエトコ取り。
岡山酵母で醸造、
最も贅沢な雫取り。
水割りもしない原酒。
備中杜氏の魂が、この液体の中に宿ってる。
猪口から口に流れ込んできた一瞬で
富志美盛の織りなしてきた歴史が
絵巻物のようにくり広げられていく…。
この酒について多くを語る必要はないのです。
なぜなら、酒が語ってくれますから。
【希少品】富志美盛 大吟醸 雫酒 岡山酵母(O) 500ml
【希少品】富志美盛 大吟醸 雫酒 広島酵母(H) 500ml