07-0606 休日は慌ただしく過ぎて…[05]蒜山ワインのブレンド-その3

ブレンドするにせよ、単体で魅力あるものを
使いたくなってしまうのは人情。
しかし不思議にも、最良・そして次いで二位…に感じたのは
2006年をベースにはするものの、
それに酸が強すぎると感じた2005年をブレンドする事だった。

●ベスト
2006年物(2) No.109 Allier MT
2005年物(B) No.105 Allier
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で、ブレンド比率は、75:25である。
76:24としても大差はなかったので、そうして
2006年を名乗るのが良いだろう。

主体に使ったものは、単体だとNo.1のワインではない。
しかも酸の強い2005年物をブレンドして“最良”となった事に
ちょっと驚きがあった。

しかし、味覚は私の脳細胞にこれがベストと語りかける。

果実のアロマがまず前面に出て来るのだが、
香樽の辛さとスパイシーがあり、ボディーが適度に膨らむ。
タンニンはさほど多くないのだが、力強さがあり、
余韻が長く続いたのち、しっかりと締まる。

酸は多目だが酸っぱすぎず、果実っぽさが浮き彫りになる。
これは、昨年の樽を使わなかったものと比べると、
3段は上のレベルの印象。
これなら多分、銀賞以上はイケるのでは…と私は思う。

●二位
そして次に良かったのが以下。
2006年物(1) No.108 Pennsylvania
2005年物(C) No.106 American
img20534a31zikczj + imgbb54e88ezik7zj

ブレンド比率は、85:15もしくは80:20程度。
こちらも2006年と名乗れる。

これは、単体でNo.1だったものが主体になる。
その個性を生かしたいから…という意図的なものは無いのだが、
先ほどのブレンドと比べると、主体が85%~80%と比率が上がっているのが
やはりこの(1) No.108 Pennsylvaniaの優秀性だと感じる。

良さを生かしながら、
アロマと酸が十分な後者で盛り上げる印象。
これも立ち上がり~膨らみ~フィニッシュへと
相応にまとまり、果実味と押しが出て上々の仕上がり。
こちらも入賞できそうな気がするように感じた。

かなりの組み合わせの中から絞り込んだ以上のブレンド、
なかなかの仕上がりであり、
未来が見えてきたような気がする。

●さらに次のブレンドとして、
2005年物
(A) No.104 Nadalie
(B) No.105 Allier
(C) No.106 American
img4ba6601azik9zj + img33fceb75zik0zj + imgbb54e88ezik7zj
をすべて1:1:1でブレンドする。
これは酸が走るが、樽貯蔵の深みが十分に感じられ、
旧来の山葡萄の味わいで支持を得ている層には
受けるかも知れない。

●そして、やや樽の方が勝ってしまったと考えられる2品目
2006年物
(3) No.110 Allier MT
(4) No.111 Pennsylvania
imgf321a18ezik8zj + img675a54ffzik0zj

については、80:20のブレンドで不思議に
木の香がバランスを取るような気がした。
ただし酸が少し強めに浮いてくるように感じるが…。

以上がソムリエと二人のテイスティングの結果である。
車で1日揺さぶられている検体なので、
醸造所にあるものとは少し違っているのは承知の上でのレポート。

コンテストに提出するのがどのようになるか…
は定かでないが、参考にはなるだろう…と思い、
このデータを植木さんに提出する。

できるならば、コンテストに入賞して欲しい…
と願いながら、時計を見るとAM1:00を過ぎている。
ブレンドの検討に入って、4時間が過ぎていた。
たった7種類でも、組み合わせは無限。
どのヒョウタンに駒が入っているか…を
見つけ出すのは、尋常な作業ではなかった。

しかし、翌日結果を伝えると、驚く事に、
ほぼ同じ組み合わせ・割合を、
植木さん自身も答にしていたようだ。

どうやらジグソー・パズルに似て、
パーツ素材が決定していたら、絵を形成できるパーツと配置は決まっている…
のかも知れない。

「混ぜる」という所作自体が我々日本人の感覚からは
ちょっと異質に感じるだけに、余り表立たない作業である。
が、味覚だけを頼りに、暗中模索で最高の味を探り当てる事は、
実に面白い作業でもあった。
[To Be Continued…]

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