10-0125 ボルドー物語 [05-1]

シャトー・マルゴー その1
ラフィット、ヴェルサイユを席巻

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さて、ムートンに沿って現代まで辿って来たが、再び
ルイ15世の君臨するフランス王宮へ視点を戻したい。

策略を巡らし、リシリューの持ってきたラフィットを使って、
コンティ公のブルゴーニュ・ワインをベルサイユから
追い出すことに成功したポンパドール夫人。

が、ルイ15世以上にラフィットに夢中になってしまった。
いや、もうほとんど狂ったと言って良いほど。

ルビーがそのまま酒躯になったような魅惑的な色、
いつまでも残る熟れた香に魅了され続けた。かくして、
ポンパドールの催す晩餐会ではラフィットしか飲まれなくなった。

それまで幅をきかせていた、ブルゴーニュ・ワインは、
彼女の食卓からも、ナイト・テーブルからも姿を消してしまった。
策略や意地などでなく、ただただラフィットの味に惹きつけられたのだ。

ポンパドールに倣ってどうか、ラフィットを飲み、入手する事が、
フランスの貴族としての新しいステータスとなった。
そして、ヴェルサイユに集う貴族が皆、しばらくは
ラフィットしか飲まなくなる現象が生じた。

口紅もボルドー・カラー、ドレスもボルドー色が流行となり、
宮殿は赤い色に埋め尽くされたのである。

[To Be Continued…]

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