シャトー・マルゴー その2
デュ・バリ夫人登場
最上のワイン=ラフィットをコントロールし、
常に晩餐会でイニシアチヴを握り、
ヴェルサイユで権勢の限りを誇っていたポンパドールだったが、
1764年4月15日の雨の夜、42歳の若さで死んでしまう。
ルイ15世はショックを隠せず、それから当分の間、
愛人を作ることはなかった…。
が、2年経ち3年経つとあまりの寂しさに
心の中をすきま風が吹くようになる。
そして5年後、58歳になったルイ15世は、
25歳のジャンヌ・ベキューを愛人にした。
彼女は貴族の世界とは関係のない、平民の出。
だが、ポンパドール同様、とてつもなく
権力の座が好きな女性だった。
ポンパドールほどの策略・知謀は無いかわりに、
よりセクシーで肉感的な魅力に溢れ、
それを徹底的に武器にしてのし上がった。
貴族でなかった彼女は、20歳の時、
デュ・バリ子爵の情婦となった。
彼は、「札付きの大山師」、「極道の帝王」と
悪評高い男だったが、この男によって、
ジャンヌ・ベキューは
『デュ・バリ夫人』
という称号を得る。
平民の彼女にとっては、貴族の一人という証明書を
発行してくれるならどんな相手でも構わなかった。
いや、この子爵と共に過ごした数年が、
デュ・バリ夫人のセクシーさに
より一層磨きをかけた事は間違いない。
彼女もまた、セクシーさだけでなく、
生来の頭の良さ、そして溢れる野望を持っていた。
そして、それら持てる物すべてを駆使し、
ルイ15世最後の愛人の座に着いたのである。