10-0501 ボルドー物語 [06-4]

シャトー・ラトゥール その4
もう一匹のライオン

百年戦争の終わりなき戦火で、
葡萄畑は言うまでもなく、シンボルである塔でさえ
無惨な姿となってしまったシャトー・ラトゥール。
長い長い戦いの後、フランスの手に戻ったものの、
その後、何人かの持ち主を経ることになる。

そして1600年の後半、セギュール家の所有に落ち着く。
同家は、ラフィット・ロートシルト、ムートン・ロートシルトの
所有者でもあったのは御存知の通り。
当時ボルドーで指折りの葡萄園を数多く持っていた。

持ち主の都合もあるだろうが、財産を手離さねばならぬ時、
大切な方を後回しにするのは人間の本能。
セギュール家は、ラフィットやムートンの方を先に手放している。
それだけでもラトゥールの価値がお分かり頂けるだろう。

最初に手にしてから300年余り手放さず、品質向上に努め、
揺るぎない1級としての存在を維持し続けた。
華やかな女性が登場しないこのシャトーだが、
セギュールこそ品質と名をトップに維持し続けた
もう一匹のライオンと言えるだろう。

[To Be Continued…]

シャトー・ラトゥール[1994]Chateau Latour 1994