ボージョレ・ヌーヴォー2007 造っているのは?

※この記事は2007年のボージョレ・ヌーヴォーを扱ったときのものです。
2009年のご参考になればと、再掲載しております。

ここで視点を変え、高品質なボージョレ・ヌーヴォーを
誰が造っているか?…という点を考えて頂きたいのです。

誰が造ったか?…当然ながらワイン蔵元。
ですが、そこには必ず買い手が居ます。
買い手の求めによって蔵元が造るとすれば、
有力な買い手も、造り手の一員と考えられないでしょうか。

では誰が買う?…という点を追求してみて下さい。
そう、日本なのです。

ヌーヴォーを世界中で一番バカみたいに買う…
と皮肉る人が居ますが、
これは日本人の特性の良い部分を見落としているように思います。

まず、「初物」という感覚。
巡る季節の中で、自然の恵みの新しい姿に出逢う喜び。
季節感を尊ぶこの感覚は、日本人ならでは。

今年の出来はどうだ。自然をしっかり受けとめているか?
それを感じ取れる収穫物が、期日を切って届くというのは、
まさに四季の移り変わりを愛でる日本人の感覚に
合っていると言えます。

そして、世界一味覚が鋭い人種の一つであるという点。
薄めたような味・イチゴのような香…
最初のうちはそんな均一な低い位置で納得していたかも知れません。
しかし、他社がそのレベルならば、より美味しい味を求めたい、
と考える輸入業者間の戦いが生まれてきたのです。

味覚差を理解できない人しか居ない国では、価格競争に終始し、
扱い量が減少していくのを尻目に…。

ただ単に、ヌーヴォー解禁日に間に合わせる…という競争は
既に10年ほど前に終了しています。
そこからは品質の勝負を繰り返してきたのです。
年々、新しいドメーヌが開発され、
またその造り手にリクエストが出されるのです。

かつて輸入業者が紹介してくる造り手は、
聞いた事のない無名の物ばかりで、
売ろうにも頭を抱えなければならない状態でした。
でも比較試飲を幾度となく繰り返した今、
無名さは、新しいドメーヌに出会える歓びに変わりました。

さらに毎年、需要のうねりが生じ、大量に売れた次の年は縮小…と、
販売量と入荷量が安定しないという苦しさがあります。

輸入業者と販売者は、予約制…という形をとって、
このリスクを軽減しながら、
少しずつ扱い量を増やしてきたのです。

そして多大なリスク・経費がかかる状態から、
安い航空運賃の会社や、着陸料が安い空港を使い、
輸送料金を圧縮、より品質を上げ続けてきました。

栽培・醸造だけがボージョレ・ヌーヴォーを造っているのではなく、
輸入・輸送・販売、さらに世界で一番、購買・消費する日本は、
高品質ヌーヴォーの造り手の重要なスタッフと言える…
と私は考えています。
                         [To Be Continued…]

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