08-0901ベルンハルト・フーバー来訪記念[39]見えない努力をする人~収穫量(2)

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私が主張した、
「2000年以降、毎年良くなっている」
に、納得しない質問者。

その人に向かって、フーバーさんは静かに語り始めた。

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「例えば、2005年は良い年だった。
良い気候が理想的なワインを造ってくれた。
しかし2004年、そして2006年のような年こそが、
栽培家・醸造家としての腕の見せ所なのだ。」

「簡単に言うと収穫時に悪い葡萄は捨てる。これが基本だ。
2006年は半分以上捨て、健全な葡萄だけを収穫・醸造した。
実は、すでに2000年に、多雨で不順な天候を経験しているので
その時以来、より良い葡萄を得る行程を確立している。それは…」

それは?の言葉につい身を乗り出し、聞き耳をたてた。

「北イタリアで使われている手法に習った。
具体的には、葡萄が糖化し始める頃、
つまり色づき始める7月15日~8月15日にかけて、
広がろうとする葡萄の房の上肩を落とし、さらに房の下2/3をカットし、
小さな卵程度の大きさだけを残すのだ。」

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ホワイトボード右上に書かれた葡萄切り取りの手法

こんな強烈な手法だから、もしかしたら、
その処理に名は付いていないか?
と思って尋ねたら フーバーさんは

「トラウベン・ハルピエーレ」(収穫半分)
と言った。
実際は1/2より減ってしまう、決して他所では真似のできない手法だ。

「これによって 実が下がり、実と実の間が空き、
粒のお互いが押し合わない状況となり、腐らなくなる。
実際、2000年は非常に難しい年だったが、
これによって上手く収穫する事ができた。」

何のことはない、収穫量を徹底的に犠牲にして、
質の高いワインを造っていたのだ。
前の年より品質の高いワインがいつも出てきた…。
その秘密はこんな犠牲の上に成り立っていたのか…と驚いた。

その詳細は、驚きを通り過ぎて、
呆れるような数値により納得させられた。
1haに一万本を越える超密植の彼の畑では、
その樹から8~12本の枝が出て、
各々2房づつがついている。
房一つずつに手抜のき無い処理を施していくのだから、
超人的な精神力と体力が必要な、気の遠くなるような作業。

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樹からの枝の伸ばし方、葡萄の房のレイアウトを細かく説明

同じピノノワール葡萄でも、ニューワールドでは、
1haに対して年間40時間の労力で臨み、コストダウンを図る。
しかしフーバー醸造所ではなんと800~1000時間超を費やすことで、
より高い品質に仕上げているのだ。
「2000年以降、毎年良くなっている」
それは事実だし、その影にこんなとんでもない努力が潜んでいたなど、
考えもしなかった。
[To Be Continued…]

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