08-0826ベルンハルト・フーバー来訪記念[37]見えない努力をする人~コルク(3)

コルクは、とにかくベストを使う。
質が極めて大切。気泡の入り方が良い状態のもの。
それがフーバー醸造所のコルクの選び方…と分かった。

「最近は、コルクの入手が難しくなっている」
と言う醸造家も居るが、事実なのか?
という問いには、そんな事はない。
需要が大きく値上がりしているのは事実だが、
コストを覚悟すれば、調達に問題はない…とのこと。

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結局、この言葉は、これまでの価格では買えない…
という事のようであり、
不良が出た時に、コルクのせいにするような造り手の
言い訳…と考えるのが妥当なようだ。

コルクが話題になったので、続けて質問が出た。
焼き印は、フーバー家の家紋?
…というものだ。返答は、

フーバー家は農民なので、家族のワッペンはなかった。
そこで醸造所設立時にフーバーさん自身が造ったそうだ。
格子模様は700年前のテネンバッハ教会のマーク。
テネンバッハの「T」をもじって、フーバーの「H」を入れた。
そして葡萄栽培の道具である鎌をそこに記した。

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彼の誇りがそのまま、このコルクに込められているのだ。
丹精込めて育てた葡萄を完成品のワインに仕上げ、
そして瓶に詰め、最後に打つ、このコルク。

いい加減な造り手、そして時の向こうまで見ようとしない造り手なら、
ついないがしろにしてしまいそうなこのパーツこそ、
実はワインにとって最も重要な要素の一つに違いない。
だからこそ、ベストを使う。

30年以上貯蔵するなら迷わずボルドーのワイン…と考えていた私だが、
今回、それ以上に信頼できる存在が出現したのを実感している。
彼のワインを私は、人生の伴としたい…と思い箱買いした。

33p1
ヴィルデンシュタイン[R](レゼルヴェ) シュペートブルグンダー QBA トロッケン

10年後、20年後、そして30年後…と、
当店に来てくれた事を思い出しながら、
人生の節目に、一本づつ飲んでいきたい…
と思っているのだ。

[To Be Continued…]

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08-0814ベルンハルト・フーバー来訪記念[35]見えない努力をする人~コルク(1)

セミナーの開催中、私はソムリエ役として栓を抜いた。
講演者の語る内容とタイミングを見計らう必要があり、
抜くとなるとスピーディーかつ正確に行う必要が生じる。

と言いながらも、折角の醸造界の巨人の話ならば、聞きたくもあり、
デュアル・プロセッサー駆動状態。
でも興奮状態の人間は、結構こなしてしまうものだ…
と思ったりした(実際は少し怪しかったろうが…)。

34p1ユンゲレーベン

さて、まずユンゲレーベンのコルクだが、45ミリ長の上質なもので、
ストレスなく綺麗に抜けた。
スピィーディーに抜いてもコルクの角が欠けなかったのは、
自分のウデが良くなったからだ…と勝手に思ったりもした。
(実はコルクの良さである事を後で悟った)

しかし二番目のマルターディンガーを抜いて、
あれ?…と思った。
ボトルの外観は酷似しているし、先程のユンゲレーベンのコルクが上質だったので、
多分同じ…と考えるまでもなく反射的に同じ動作をしていた。

4p1マルターディンガー

が、微妙に長く、まるで階段が一段多く、踏み外したような印象。
さらに抜けていく過程・抜き去るまでの感触が違う。
滑らか、かつ手応えが確実で柔らか。
長さは49ミリで4ミリも長いのだから当然だった。
でも長さだけでなく、質が極めて良いのが分かる。
それは何千・何万本と抜き続けた愛用のソムリエナイフを通して、
間違いなく伝わってきた。

この時点で、明らかに、ワインの等級によって
コルクを使い分けている事を理解した。
となると、次に控えるのが、2つ上のグレードのレゼルヴェだから、
私の期待と興奮は、抜く前から盛り上がっていたのは言う迄もない。

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マルターディンガー・ビーネンベルク [R](レゼルヴェ)

頭封を切り外し、スパイラルを入れる。
そのねじ込んでいく間、前のコルクで出た振動音が全く出ない。
コルクの細胞が滑らかにスパイラルを吸い込み、
一体化していくような感触でさえある。

一巻きだけを残しテコでコルクを持ち上げた時、
瓶から上がった部分がスローモーションのように
広がり、滑らかに上がって行く。

思った通り、先程の49ミリより更に長い…と感じながら、
スパイラルの最後の一巻きをねじ込み、もう一度同じアクションを繰り返した。

そのさまは、まるで大物を釣り上げた太公望のごとく、
ワイン好きにとって至福の、そして感動の瞬間。

抜いたコルクを見ると、間違いなく54ミリ、
しかもその質がパーフェクト。
このレベルのコルクは、質まで含めるとボルドーの1級でさえ
及ばない事があったような気がする(長さは同じだとしても…)。

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左から、ユンゲレーベン、マルターディンガー、
アルテレーベン(今回は抜かず)、レゼルヴェに使われているコルク

そして、この事に気づいているのは、会場の中では、
私と傍らのスタッフのみ。…このコルク、特にレゼルヴェに打たれているのは、
一本が1ユーロより高いと判断できた
(二年程前に、最上級品に一個あたり1ユーロを払う…と言っていた。
それよりは上質なのが体感できた)。
セミナーでは、この事について語ってくれるもの…と思っていた。

が、フーバー氏は、コルクについては何も語らない。
イジイジしながら聞いている私は、質問時間が終わりそうになった時、
我慢ならず、主催者側という立場も忘れて、飛び出してしまっていた。
このコルクたちを並べ、質問せずには居られなかった。

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するとフーバーさん、さほど表情をは変わらず、

『コルクは醸造家にとって永遠の課題であり、
私は最上のものを使っている』

と言った。

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そこから開示されていくデータには、再度驚かされる事になった。

[To Be Continued…]

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