[43]見えない努力をする人〜樽(2)
セミナーの時、プロジェクターで写し出された映像には、
樽造りをする人が写っていた。それに対して

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「実際、ドイツのオークを使っているのか?」

と質問が入った。フーバーさん、答えていわく、

「今日、飲んだものはすべてフランス産オークだ。
 アリエ、トロンセ、ベルフォラン、フォゲーレ…。
 しかし今、ドイツの樫を準備している。」

まぁ、150%の男だから、ドイツの樽を準備する、
と言っても、ドイツ産オーク樽の既製品を買う…
というレベルではないだろうな、とは思っていた。

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「私の醸造所から20km程離れた場所に、クリスチアンという人物が居る。
 彼は、シュヴァルツ・バルトを管理し、オーク材をフランスに輸出している。
 私は、彼に頼んで、標高400mほどの、砂岩に生えた
 シュバルツ・バルトにあるオークを選ばせて貰っている。」

やはり、完成品の樽でもなければ、樽材の素材でもない。
なんと、フーバーさんは、オークの原木を調達していた。
しかもそのオークの素性まで徹底的に検討して…

「この人と森に入り、樹を伐採し、年輪を確認してきた。
 その年輪は極めて小さく、良い状態だった。
 それを伐採して貰い、醸造所の裏の広場で
 3年間の天日乾燥の途中である。
 一部をトロンセの樽業者に渡しており、
 2007年ヴィンテージからは、ドイツ・オークを使ったものが、
 全部ではないが、登場する事になる。」

“ドイツ産の樽を使う”…この言葉の意味がフーバーさんにとっては、
オークの生えている森の観察を行い、
原木の生え具合を確かめ、
さらに切って年輪や材質を確かめ、
それを製材して、自分の手元に置いて
3年間、手間暇をかけて天日乾燥させ
それを使って樽を組み上げる…という意味なのだ。

彼は繰り返し言った。
「ワインを造る構成要素は一万、いや十万通りがあるだろう。
 細かい要素の改革を繰り返し、
 その積み重ねで私のワインができる。」

     
  
マルターディンガー

彼のワインが美しく輝くのは、誰も真似のできない、
最高の構成要素に裏打ちされているからに他ならないようだ。

            [To Be Continued...]



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