[22]コート・ドールの土壌と1

まずは一度目のセミナー。
15:00〜17:00

昼の営業が済んだレストラン・ホテル関係者が夜の営業までに参加できる時間、つまりプロ向けである。

が、フーバーさん、何と、ドイツの全般的な部分からスタートした。

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いや、甘いドイツワインしか知らない人が居たとすれば、既に数世代遅れてしまっているので、それを取り戻す為にも必要な話かも知れなかった。

ドイツの中でも最も南寄りの位置であり、その置かれた環境を知る上で、必要なもの…と感じた。

その後、持参してきた土(と言うよりか土壌)の現物標本をそれぞれに回した。

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特級畑である

ヘックリンガー・シュロスベルク
の白っぽい貝殻石灰岩と、
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ヴュルデンシュタイン(マルターディンゲン村)
の赤っぽい貝殻石灰岩である。
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前者は、コート・ド・ボーヌ、
後者はコート・ド・ニュィの土壌と酷似。
直線的に200kmも離れていない
コート・ドールの土壌の形態が、地層のうねりとなって
そのままヘックリンゲンとマルターディンゲンに現れている。

白っぽい石灰岩を土壌に持つヘックリンゲン村にフーバーさんが所有するのは、シュロス畑6ha。
(そのうち5.49haが特級)

この畑、表土はほとんど何もない土壌。
葡萄を支えるポールを立てるのも、スコップなどの普通の道具では無理で、工事用の岩盤に穴を空ける工具が必要。

具体的には、ハンマー(筒の周囲をオモリが下へ落ちる)タイプであり、尋常ではない硬さの岩盤に穴を空ける事を試みる。
ガチン、ガチンと、繰り返し重しを落としてもなかなか空かない。

しかも急斜面で、モーゼルに匹敵する最大72度。

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言葉で実感が湧かない私に、畑作業を手伝った人いわく、良い登山靴を履かないと、作業どころか動く事ができない…。
そんな急斜面で、足場を確保しながら、硬質な岩盤に穴を空ける作業、人間にとってはまさに難行苦行。

が、そんな固い岩盤でも葡萄の根は液体のように入り込んでいく。
水や養分を求め、根を浸透させていく。

そして、人間に苦労を強いた急斜面は、ゆっくりと根を伸ばしていく葡萄に最高の陽当たりを約束する。

同じ土壌を持つコート・ド・ボーヌと重なるように、シャルドネとピノノワールを栽培しているのは必然と言えるのだろう。
ヘックリンガー・シュロスベルク
シャルドネ
QbA トロッケン
 レゼルヴェ
ヘックリンガー・シュロスベルク
 シュペートブルグンダー
 QbA トロッケン
[R](レゼルヴェ)

そのパワフルさ。
バランスの良さ。
惹き付けられる魅力。

この土壌とテロワールは、醸造家の苦行、
そして消費者の散財の向こうに、
甘美な世界を、確実に用意しているから、余計に曲者だ。


          [To Be Continued...]


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