[52]セオリー破り part4 ボッタルガ

お料理と「合う」と、言うだけでは、絵に描いた餅。
身をもって検証してこそ、それが生きる。
しかも、これほどのフレキシビリティを持つ赤ワインだから
折に触れ、色んな場所に登場させる必要がある。

フーバー醸造所のシュペートブルクンダー(ピノノワール)は、
今までマリアージュ不能とされていた者達と
合わせる運命を背負っているとさえ思わせる。

何より私が驚いたのは、セミナーの終わった後、
イタリアン・レストランで食べたボッタルガ。

本格的な「シチリア料理」の店で、
前々からこの食材とワインのマリアージュを探っていた。
だが、からすみにも似たこの曲者は、
赤ワインとは、基本的に相容れない。

数々のワインと試したが、どれもダメだった。
が、マルターディンガーを合わせてみると、
喧嘩をしない。
臭みも立たない。
なぜなんだろう…と不思議に思ってもう一度。
この難物を、フーバーさんのピノは
やはり受け容れてしまう。

繊細な風味の中に構築されている懐の深さ。
もしかしたら無限?とさえ感じさせてしまう
広く深い世界。


それは完全主義を通り越した、努力の上に成り立つ
当然の結果なのかも知れない。

そして、フーバーさんの
人柄そのものが
味・香となって
表れているのでは…

彼の腕に抱かれた時、
そんな気持ちになった。

     [To Be Continued...]



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