ピノノワールの地図は書き換えなければ…

2007 ザルヴェイ シュペートブルクンダー 2007 トロッケン
ヴァイングート・ザルヴェイ
Salwey Spatburgunder Trocken Weingut Salwey

salweyドイツのバーデン地方は、
実力派がひしめき始めました。
このザルヴェイも4房を獲得しています。
設立は、祖父ベンノ

父コンラッド

ヴォルフ・ディートリッヒ
と、ザルヴェイ家の系譜は現在に至っています。

葡萄の生産比率は、
グラウア・ブルグンダー45%、
シュペートブルクンダー40%
ヴァイスブルクンダー12%、…
平均収量は53hL/ha、
VDPのメンバーであると同時に
バリック・フォーラムにも参加しています。

salwey_head頭封を外し、コルクのヘッドをみると、
木の目にカビが生え、良い貯蔵を感じさせます。
この時点で期待大!

が、栓を抜いて驚いたのは、短い!まるで東欧!?
ショックを隠せない短小。
いくらコルクのコストが嵩んでも、そして
長期の貯蔵の必要がないとしても
これは無いよな…と思える短さ。

このコルクで、少しばかり警戒心を持ちましたが、
ワインの内容は、文句なく充実しています。
(コルクをケチるぐらいならいっそスクリューにしたら?)
グラスに注げば、薄めの赤、しかし中心部分には、
少し紫のトーンがあります。

salwey_cork初めのうちは、微弱発泡を感じ、赤系統の可愛らしい果実味。
揺すっていると下草、ヨード、古樽の印象も出てきます。
10分ほどでそこそこ開き、オレンジの皮の風味。
ハーブとスパイスも絡み、茹で小豆も存在、
質の良いピノノワールの定番とも言える仕上がり。

ボディはミディアムより僅かに軽め、しかし決して薄くはありません。
旨味多く、たおやかな風味が心地良く迫ってきます。
巧みな樽使いは古い樽?喉越しがするすると良すぎて
つい飲み過ぎてしまう。
軽めな味わいながらも余韻はしっかりと伸びていき、
アフターテイストも豊かで、心地良い苦みが引き締めます。

構成がしっかりとしていながらも、どこかしら清楚でストイック。
お料理に合わせて、色々楽しんでみたいワインの典型。
余りに美味しく、自分でびっくりするほど飲んでしまうワイン…
ピノノワールの地図は、書き換えなければならない時期が来た
…そう実感させてくれるワインです。

09-0630 軽量化?

2007 ザルヴェイ リヴァーナ トロッケン Q.b.A
ヴァイングート・ザルヴェイ
Salwey Rivaner Trocken Q.b.A.

salwey1.jpgザルヴェイ。余り知らなかったけれど、
ゴーミヨ・ドイツワインガイド4房…
超実力派なんです。
って事で、期待いっぱいで抜栓する、
リヴァーナのトロッケン。

気合いが入っていただけに
抜栓時にズッコケました。
びっくりする程短いコルク!
質はまずまずだけど、ウソみたいに短い。

グラスに注ぐと、薄めの黄金色。
ほんの僅か、緑のトーンを持っているように感じます。

香は、かすかに白い花・柑橘特にレモン
そして鉄を連想させる匂い。

salwey2.jpgチリチリとした微発泡。それはグラスで揺する内に
少しずつ収まってきます。
外観、香、一瞬の舌触りから、ライトなのかな…
とも思ったのですが、結構ボディが膨らみます。
力強さを持って、押してきます。
そして時間が経つに従ってまとまり、
整然とした強い構成を披露してくれます。

樽の印象はほとんどありません。
丸い滑らかさを持ち、それでいて力強いボディ。
余韻がジワジワッと伸びていく上出来ワイン。
ミュラートラガウという品種のヘナヘナな感じはまったくなく、
お料理を引き立てられる構成。
経時変化を確かめながら10日を経過させましたが、
なお艶やかで、より美味しくなったような感じさえ受けました。

毎日、栓を抜く度にポンッとガスが出るけど、液体からは
既にかなり前からチリチリ感が消え、より美味しくなったようにさえ感じます。
余り知らなかったけれど、一流を実感させる造り手の技、
手抜きのない構成、魅力的なアフターと余韻。

この超一流造り手を知らなかったこと、そして38mmというコルク長。
「軽量化」と判断しながらも、
これから、ドイツのワインはどうなっていくのか…
と、期待と不安を抱きながら、交配品種「リヴァーナ」の表記を眺めた私です。

09-0120タイトロープを渡る芸人のごとく

1999 ツェルティンガー・ゾンネンウーア
リースリング シュペートレーゼ J.J.プリュム

Zeltinger Sonnenuhr Riesling Spatlese Joh.Jos.Prum

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超一流・J.J.プリュムが造る
日時計(ゾンネンウーア)畑なら、
ヴェーレン村でなくっちゃ…
って思って当たり前です。でも、
もしこのツェルティンゲン村の日時計も
機会があるなら、ぜひ試して下さい。

シュペートレーゼ級と限定するなら、
このツェルティンゲン村の方が
お気に召すかも知れないですから。

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かく言う私、J.J.はヴェーレン村!と譲らなかった一人。
しかし、この1999年物。
綺麗に熟成して、ツヤのある黄金色、
クリアーな輝き。
香は、リースリングの典型。
柑橘はグレープフルーツ。ハチミツ。
熟成した杉の木香、バタースカッチ。
仄かに縁取りをするようなゴムの香。

酸の綺麗さがモーゼル中流の命なら、
その美しさは、実に心地良い主張。
内包する十分な甘さとの均衡感は、スリリング。
タイトロープを渡る芸人のごとく、そのバランス感には
つい拍手を贈りたくなるほどです。

1999年が熟成し過ぎ?…なんてのは、
このワインに接すれば取り越し苦労だと理解できました。
まだ微弱な発泡さえ内包し、活きの良さを主張してくるのです。

意地悪にも私は、このワインがどの程度、味を維持出来るか?
を試してみました。
2日目・3日目・4日目…と、全く問題ありません。
10日を越えた所でチビチビと飲んでたこのワインも
終了してしまったので、それ以上は調べられませんでした。
とりあえず、冷蔵庫に入れながら飲んでたら、一週間以上は
満足できる品質で維持できた事は間違いありません。

綱渡りは危なげなように見えて、熟達の演技で
最後の最後まで、私を楽しませてくれたのでした。

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1999 ツェルティンガー・ゾンネンウーア
リースリング シュペートレーゼ J.J.プリュム

Zeltinger Sonnenuhr Spatlese[1999]Joh.Jos.Prum

08-1101葡萄の樹3本のオーナー

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ドイツ最高峰、フーバーさんの造る
ヴァイサーブルクンダー。

葡萄は、このドイツ名で呼ぶと
馴染みが薄いような気がするけど、
ピノブランのシノニムで、結構身近。

最近ブルゴーニュでもこの品種に接し、
風味の共通性を確信できました。

バーデンは南寄りで、気候区分はB地帯。

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ドイツは北限と…いう印象よりも、
アルザスやむしろブルゴーニュと同等と考えるべきかも。

地球温暖化を叫ぶ前から、その傾向が強かったけど
今バーデン地方は、さらに空気の温みを感じる造りに
なってるようです。

そしてこの“H”は、予約販売のスペシャル・バージョン。
今、予約して、樹3本から収穫される葡萄で造られます。

『葡萄の樹3本のオーナー・ワイン』であり、
先払い、約一年後に受け取りです。

3本の樹からできるワインの本数を、
およそ4~6本と説明していますが、5本と考えて
おいた方が良いでしょう。

と、言うよりも、本数が増える事を望んだらダメ
なワインという理解が必要なようです。
「収穫量制限」という言葉を胸に、造る側に立てば
樹に実る葡萄の数をできるだけ減らし、樹のエネルギーを少ない葡萄に集中させてこそ、
ポテンシャルの高い原料になり、美味しいワインになるのですから。

…内容を把握しにくいので、消費者の理解を得られてませんが、

実は、これ、ブッちぎりで高い品質を持ってるんです。

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今は、毎年飲んでる『葡萄の樹3本のオーナー』のワインに対し

最初は懐疑的でした。

売れ残ったワインの固め売りじゃないの…って思う心が少し。
だけど、ドイツNo.1のフーバー醸造所のワインは不足状態で、
とても売れ残ったりする状態ではない…ってのに気づきました。

実際、フーバー醸造所の中を見ると、小さな別タンクで造ってる。
同じ葡萄を使う←ヴァイサーブルクンダーとどう違うか…と言えば、
内容の『密さ』が明らかにあるという点。

倉庫やワイン屋に滞留することなく、すぐに消費者に届く…
という点で、フィルタリングをほとんど行っていません。
その上、造り手も製造即、全数販売…という事で負担が無いので
品質的にかなり高い仕上がりでまとめているようです。

飲み比べれば分かるキメの細やかの差。
通常のヴァイサーブルクンダーでも
秀逸なのに、より滑らかな舌触り。
和食に合う素性ながら、さらにハイレベルな
領域へ到達しています。

常に、前年より品質が上がる…という
信じられない力を発揮するこの醸造所。
その傾向は十分にあるものの、
『葡萄の樹3本のオーナー』の場合は、
本数の増減への覚悟が必要なのでしょう。
でも例え4本になったとして、3937.5円、
通常のヴァイサーブルクンダーの定価より安いです。

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↑左2006年  ↑右2004年

複数本を使うレストランなどでは、間違いなく、“買い”でしょう。

私にとっては、「一年先に入荷する超高品質なドイツのヌーヴォー」なんです。

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08-0901ベルンハルト・フーバー来訪記念[39]見えない努力をする人~収穫量(2)

私が主張した、
「2000年以降、毎年良くなっている」
に、納得しない質問者。

その人に向かって、フーバーさんは静かに語り始めた。

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「例えば、2005年は良い年だった。
良い気候が理想的なワインを造ってくれた。
しかし2004年、そして2006年のような年こそが、
栽培家・醸造家としての腕の見せ所なのだ。」

「簡単に言うと収穫時に悪い葡萄は捨てる。これが基本だ。
2006年は半分以上捨て、健全な葡萄だけを収穫・醸造した。
実は、すでに2000年に、多雨で不順な天候を経験しているので
その時以来、より良い葡萄を得る行程を確立している。それは…」

それは?の言葉につい身を乗り出し、聞き耳をたてた。

「北イタリアで使われている手法に習った。
具体的には、葡萄が糖化し始める頃、
つまり色づき始める7月15日~8月15日にかけて、
広がろうとする葡萄の房の上肩を落とし、さらに房の下2/3をカットし、
小さな卵程度の大きさだけを残すのだ。」

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ホワイトボード右上に書かれた葡萄切り取りの手法

こんな強烈な手法だから、もしかしたら、
その処理に名は付いていないか?
と思って尋ねたら フーバーさんは

「トラウベン・ハルピエーレ」(収穫半分)
と言った。
実際は1/2より減ってしまう、決して他所では真似のできない手法だ。

「これによって 実が下がり、実と実の間が空き、
粒のお互いが押し合わない状況となり、腐らなくなる。
実際、2000年は非常に難しい年だったが、
これによって上手く収穫する事ができた。」

何のことはない、収穫量を徹底的に犠牲にして、
質の高いワインを造っていたのだ。
前の年より品質の高いワインがいつも出てきた…。
その秘密はこんな犠牲の上に成り立っていたのか…と驚いた。

その詳細は、驚きを通り過ぎて、
呆れるような数値により納得させられた。
1haに一万本を越える超密植の彼の畑では、
その樹から8~12本の枝が出て、
各々2房づつがついている。
房一つずつに手抜のき無い処理を施していくのだから、
超人的な精神力と体力が必要な、気の遠くなるような作業。

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樹からの枝の伸ばし方、葡萄の房のレイアウトを細かく説明

同じピノノワール葡萄でも、ニューワールドでは、
1haに対して年間40時間の労力で臨み、コストダウンを図る。
しかしフーバー醸造所ではなんと800~1000時間超を費やすことで、
より高い品質に仕上げているのだ。
「2000年以降、毎年良くなっている」
それは事実だし、その影にこんなとんでもない努力が潜んでいたなど、
考えもしなかった。
[To Be Continued…]

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08-0829ベルンハルト・フーバー来訪記念[38]見えない努力をする人~収穫量(1)

フーバーさんの造る赤ワインの、
ベーシック・グレードと言うべき「ユンゲレーベン」。
私は、2000年産の物を飲んで以来、ずっと毎年飲み続けている。

その感想として、まず言えることは、

「確実に毎年良くなっている」

ということ。
これはプロとしての味の判断であり、
決して販売を煽ろうとしてのセールス・トークではない。

だからこそ、色んな場所で
「2000年以降、毎年良くなっている」
…と話している(それ以前は飲んでないので)。

当然、このセミナーの時も言った。
すると、会場に来て居る人から質問が入った。

100224_33

「私は毎年数ヶ月をドイツで過ごしている。“毎年良くなっている”
と言うけれど、2004年は天候が悪かった年ですよね。
ドレスデンで大雨。ライン・ドナウが洪水だった年です。
葡萄の作柄がその前の年より良くなったとは考え難い。」

こう言われて、深く考えずに居た自分に気づいた。
確かに天候の良否がある。それなのに、なぜ毎年良くなっているのだろう?
良くなっているのだけは、胸を張って言える事実なのだから…。

つまりは、天候を越える何かをやって来た…
という結論に辿り着かざるを得ないのだ。

この質問者の判断は、年の1/3をドイツ周辺で過ごすだけに正しいし、
異常気象が世界規模で広がっているのも事実。
それによって、私のように無頓着な人間でも、
気候に対してより注意を向けるようになっている。

が、報道と現実では微妙なズレがある。
ご質問下さった方が、ドイツ南部~オーストリーに
2004年に起こった洪水の報道を現地で見て、
より印象を強めたのだと思うが、実はそれよりも前の
2000年の方が、かなり厳しい天候だった。
洪水などのニュースネタが無かったし、
ボルドーが最良と主張する影に隠れ、余り知られて居ないが、
最悪に近い年と言って良いほどだった。

フーバー醸造所のあるドイツ南部のヴィンテージ情報を大まかに記すと、

2000年 ××かなり悪い
2001年 ○ 良好
2002年 ○ 良好
2003年 △ 酷暑にて悪い
2004年 × 雨・冷涼で悪い
2005年 ◎ 最良
2006年 ××多雨・不順で悪い

といった具合である。
2000年を起点に飲んで、スタートが悪かったので、
どんどん良くなったと感じた…などと言い訳はしない。
間違いなくフーバー醸造所のユンゲレーベンは、
天候が悪いはずの2000年でも極めて美味しいワインだった。

その後の2001・2002年と良くなったのは
気候のせいとして納得できるとして、
酷暑で難しかった2003年に品質が上がるハズはないのでは…。
それよりも2004年、冷涼で雨が多く、
前2年から品質が右上がりのベクトルのはずがない!
という質問(ではなく、私の配慮不足の言葉への抗議)だった。

でも、間違いなく品質は上がっている、と私は言い続けるしかない。
事実なのだから。

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納得しない質問者に向かって、フーバー氏は静かに語り始めた。

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08-0826ベルンハルト・フーバー来訪記念[37]見えない努力をする人~コルク(3)

コルクは、とにかくベストを使う。
質が極めて大切。気泡の入り方が良い状態のもの。
それがフーバー醸造所のコルクの選び方…と分かった。

「最近は、コルクの入手が難しくなっている」
と言う醸造家も居るが、事実なのか?
という問いには、そんな事はない。
需要が大きく値上がりしているのは事実だが、
コストを覚悟すれば、調達に問題はない…とのこと。

100224_31

結局、この言葉は、これまでの価格では買えない…
という事のようであり、
不良が出た時に、コルクのせいにするような造り手の
言い訳…と考えるのが妥当なようだ。

コルクが話題になったので、続けて質問が出た。
焼き印は、フーバー家の家紋?
…というものだ。返答は、

フーバー家は農民なので、家族のワッペンはなかった。
そこで醸造所設立時にフーバーさん自身が造ったそうだ。
格子模様は700年前のテネンバッハ教会のマーク。
テネンバッハの「T」をもじって、フーバーの「H」を入れた。
そして葡萄栽培の道具である鎌をそこに記した。

100224_32

彼の誇りがそのまま、このコルクに込められているのだ。
丹精込めて育てた葡萄を完成品のワインに仕上げ、
そして瓶に詰め、最後に打つ、このコルク。

いい加減な造り手、そして時の向こうまで見ようとしない造り手なら、
ついないがしろにしてしまいそうなこのパーツこそ、
実はワインにとって最も重要な要素の一つに違いない。
だからこそ、ベストを使う。

30年以上貯蔵するなら迷わずボルドーのワイン…と考えていた私だが、
今回、それ以上に信頼できる存在が出現したのを実感している。
彼のワインを私は、人生の伴としたい…と思い箱買いした。

33p1
ヴィルデンシュタイン[R](レゼルヴェ) シュペートブルグンダー QBA トロッケン

10年後、20年後、そして30年後…と、
当店に来てくれた事を思い出しながら、
人生の節目に、一本づつ飲んでいきたい…
と思っているのだ。

[To Be Continued…]

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08-0814ベルンハルト・フーバー来訪記念[35]見えない努力をする人~コルク(1)

セミナーの開催中、私はソムリエ役として栓を抜いた。
講演者の語る内容とタイミングを見計らう必要があり、
抜くとなるとスピーディーかつ正確に行う必要が生じる。

と言いながらも、折角の醸造界の巨人の話ならば、聞きたくもあり、
デュアル・プロセッサー駆動状態。
でも興奮状態の人間は、結構こなしてしまうものだ…
と思ったりした(実際は少し怪しかったろうが…)。

34p1ユンゲレーベン

さて、まずユンゲレーベンのコルクだが、45ミリ長の上質なもので、
ストレスなく綺麗に抜けた。
スピィーディーに抜いてもコルクの角が欠けなかったのは、
自分のウデが良くなったからだ…と勝手に思ったりもした。
(実はコルクの良さである事を後で悟った)

しかし二番目のマルターディンガーを抜いて、
あれ?…と思った。
ボトルの外観は酷似しているし、先程のユンゲレーベンのコルクが上質だったので、
多分同じ…と考えるまでもなく反射的に同じ動作をしていた。

4p1マルターディンガー

が、微妙に長く、まるで階段が一段多く、踏み外したような印象。
さらに抜けていく過程・抜き去るまでの感触が違う。
滑らか、かつ手応えが確実で柔らか。
長さは49ミリで4ミリも長いのだから当然だった。
でも長さだけでなく、質が極めて良いのが分かる。
それは何千・何万本と抜き続けた愛用のソムリエナイフを通して、
間違いなく伝わってきた。

この時点で、明らかに、ワインの等級によって
コルクを使い分けている事を理解した。
となると、次に控えるのが、2つ上のグレードのレゼルヴェだから、
私の期待と興奮は、抜く前から盛り上がっていたのは言う迄もない。

8p1
マルターディンガー・ビーネンベルク [R](レゼルヴェ)

頭封を切り外し、スパイラルを入れる。
そのねじ込んでいく間、前のコルクで出た振動音が全く出ない。
コルクの細胞が滑らかにスパイラルを吸い込み、
一体化していくような感触でさえある。

一巻きだけを残しテコでコルクを持ち上げた時、
瓶から上がった部分がスローモーションのように
広がり、滑らかに上がって行く。

思った通り、先程の49ミリより更に長い…と感じながら、
スパイラルの最後の一巻きをねじ込み、もう一度同じアクションを繰り返した。

そのさまは、まるで大物を釣り上げた太公望のごとく、
ワイン好きにとって至福の、そして感動の瞬間。

抜いたコルクを見ると、間違いなく54ミリ、
しかもその質がパーフェクト。
このレベルのコルクは、質まで含めるとボルドーの1級でさえ
及ばない事があったような気がする(長さは同じだとしても…)。

100224_24
左から、ユンゲレーベン、マルターディンガー、
アルテレーベン(今回は抜かず)、レゼルヴェに使われているコルク

そして、この事に気づいているのは、会場の中では、
私と傍らのスタッフのみ。…このコルク、特にレゼルヴェに打たれているのは、
一本が1ユーロより高いと判断できた
(二年程前に、最上級品に一個あたり1ユーロを払う…と言っていた。
それよりは上質なのが体感できた)。
セミナーでは、この事について語ってくれるもの…と思っていた。

が、フーバー氏は、コルクについては何も語らない。
イジイジしながら聞いている私は、質問時間が終わりそうになった時、
我慢ならず、主催者側という立場も忘れて、飛び出してしまっていた。
このコルクたちを並べ、質問せずには居られなかった。

100224_25

するとフーバーさん、さほど表情をは変わらず、

『コルクは醸造家にとって永遠の課題であり、
私は最上のものを使っている』

と言った。

100224_26

そこから開示されていくデータには、再度驚かされる事になった。

[To Be Continued…]

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08-0813ベルンハルト・フーバー来訪記念[34]白熱のライブは続く

醸造家が来訪してのセミナー…といえば、
その醸造家が語る事がすべてのように感じられるかも知れない。
例えば百人を越えるオーディエンスで行うセミナーなら、
そうならざるを得ないだろう。

しかし少人数だと、話は違ってくる。
講演者だけでなく、参加者もその会を作っていくことになる。

この日、昼はホテル・レストランなどの業務店関係、
100224_19

夜は、一般の方々…という二部制で行った。
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フーバーさんが話す、主体の部分は、
これまでに書いたようにほぼ同じだった。
が、前者が、仕事の途中で、夜の仕事を控えて比較的静かに終了したのに比べると、
後者はエンスーが多く、突っ込んだ質問が多く出る事になった。

それに応えるフーバーさん、すべてに対して150%体制で臨んでいるだけに
語る一言一言に熱が籠もっていく。

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「緊張すると長くしゃべる」
と本人が言う通り、
語りだすと止まらない状況になっていく。

先に開いたDr.ヴァイルのセミナー時も、
会場からのディープな質問が多く出た。
通訳が訳せない語句が出たりもしたが、一つ一つの質問に真摯に答えてくれた。
冷静な対応の内側に、ワイン造りの人物としての情熱をはっきりと見てとれた。
多分、普通では見えない、彼の本質に迫る事ができたのだろう。

今回の通訳は、フーバー醸造所で一年以上働いた人物であるだけに
細かいニュアンスまで伝わり、より深いやり取りが展開された。

100224_22
手前が通訳・山野氏

お行儀良く聞くオーディエンスに対して語るのも、
セミナーの一つのスタイルだろう。
しかし、分かる人の前では、より熱く、より深く語ってこそホンモノ。

ノリの良いライブ状態になった、この日の一般向けセミナー、
一段とディープで、白熱した内容となっていく。
次のスケジュール(夜の夕食会)が入っているのに、終わらない。
さながら、スタンディング・オベーションの中で
熱く続くエンドレス・ライブ。

10159p1
フーバー ピノ ゼクト b.A. ロゼ ブリュット 750ml

このゼクトには1本1本フーバー氏の奥さんの
サインが書き込まれています。

こんなオーディエンスそしてセミナーならば、
きっとフーバーさんも喜んでくれたに違いない。

[To Be Continued…]

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