09-0714トランスポーター3 アンリミテッド

Tranporter3 Unlimited

transporter3ワインを飲む。
その液体から伝わってくる情熱を
お客様に伝えるのが私の仕事。

異性に喩えてみたりする。
音楽のイメージをなぞらえるて語ることもある。
絵画のモチーフと重なれば、心の動きを
シンクロさせ表現する。

ワインの持っている内容を
お客様に向け伝える為に、デバイスを使い分けるのだが、
逆に、
「このイメージのワインはないか?」
と問われる事がある。

今回は、プロとして依頼されたこの仕事、
特に気合いを入れて取り組んでみた。

試写を見て、その主人公、そしてヒロインのイメージのワインを…
という逆引き辞書のような問いかけ。(これって、『神の雫』状態?)

transporter3_valentina6739と言いながらも,謎の美女、
ヴァレンティーナ
(ナターシャ・ルドコワ)は、
一発!決め打ちの
このワイン!!

美しく繊細。
それでいてセクシー。
強引で暴力的な部分を含みながら
本質的な可愛らしさに惹き付けられる。
そして根底に流れる太陽への憧れ。

transporter3_wolftransporter3_frankしかしながら、主人公、
フランク・マーティン
(ジェイソン・ステイサム)について、
私のプロセッサーは
発熱しながら
演算を繰り返す。
辿り着くまでに何本抜栓しただろうか…

ほぼイメージは出来上がっているのだけれど、
いくつものワインと向き合って
行き着いた先がこのワイン。

<6699transporter3_salwey_cap自らの誇りを貫く。
腕に絶対の自信。
孤高。しかし繊細。秘めた力。

続けていくしかない旅の下、
どんなに状況が悪くなっても
受け止めながら乗り越える。
目的を達成する強い意志。

ミディアム・ライト、繊細な辛口の赤。
ストイックな風味のピノノワール。   [テイスティングレポート]

フランク・マーチン、グラスの向こうから駆けてくる。

ピノノワールの地図は書き換えなければ…

2007 ザルヴェイ シュペートブルクンダー 2007 トロッケン
ヴァイングート・ザルヴェイ
Salwey Spatburgunder Trocken Weingut Salwey

salweyドイツのバーデン地方は、
実力派がひしめき始めました。
このザルヴェイも4房を獲得しています。
設立は、祖父ベンノ

父コンラッド

ヴォルフ・ディートリッヒ
と、ザルヴェイ家の系譜は現在に至っています。

葡萄の生産比率は、
グラウア・ブルグンダー45%、
シュペートブルクンダー40%
ヴァイスブルクンダー12%、…
平均収量は53hL/ha、
VDPのメンバーであると同時に
バリック・フォーラムにも参加しています。

salwey_head頭封を外し、コルクのヘッドをみると、
木の目にカビが生え、良い貯蔵を感じさせます。
この時点で期待大!

が、栓を抜いて驚いたのは、短い!まるで東欧!?
ショックを隠せない短小。
いくらコルクのコストが嵩んでも、そして
長期の貯蔵の必要がないとしても
これは無いよな…と思える短さ。

このコルクで、少しばかり警戒心を持ちましたが、
ワインの内容は、文句なく充実しています。
(コルクをケチるぐらいならいっそスクリューにしたら?)
グラスに注げば、薄めの赤、しかし中心部分には、
少し紫のトーンがあります。

salwey_cork初めのうちは、微弱発泡を感じ、赤系統の可愛らしい果実味。
揺すっていると下草、ヨード、古樽の印象も出てきます。
10分ほどでそこそこ開き、オレンジの皮の風味。
ハーブとスパイスも絡み、茹で小豆も存在、
質の良いピノノワールの定番とも言える仕上がり。

ボディはミディアムより僅かに軽め、しかし決して薄くはありません。
旨味多く、たおやかな風味が心地良く迫ってきます。
巧みな樽使いは古い樽?喉越しがするすると良すぎて
つい飲み過ぎてしまう。
軽めな味わいながらも余韻はしっかりと伸びていき、
アフターテイストも豊かで、心地良い苦みが引き締めます。

構成がしっかりとしていながらも、どこかしら清楚でストイック。
お料理に合わせて、色々楽しんでみたいワインの典型。
余りに美味しく、自分でびっくりするほど飲んでしまうワイン…
ピノノワールの地図は、書き換えなければならない時期が来た
…そう実感させてくれるワインです。

09-0114 赤銅色の輝き

2005 マイヤー・ネーケル シュペートブルクンダー
ヴァイスヘルプスト QBA
 

Meyer-Nakel Spatburgunde Weissherbst Q.b.A AHR

マイヤー・ネーケル。
ドイツのアール地方で1・2を争う造り手。
ゴーミヨ(ワイン評価本)でのランクは4房、
全ドイツで見ても、ほぼトップレベル。

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辛口が得意、そして栽培面積の
75%がピノノワールという比率は、
旧来のイメージでは特異に見えるでしょう。
しかし、食事に合わせる…
という目的で造られていると考えた時、
すべてが合理的に見えてきます。

単一葡萄品種で、等級がQ.b.AかQ.m.P.のロゼを
『ヴァイスヘルプスト』と呼びますが、
このワインは、贅沢にも100%ピノノワールです。
グラスに注いだ時の色は、まさに赤銅色。
ピンクとかゴールドと言うより、カッパー。
食べ物の美味しさを引き立てる輝き。

「ロゼなんて」…というのは、何世代も遅れた感覚。
甘さを捨て去り、収穫量を制限し、凝縮感を得た上に、
樽を巧みに使って複雑さを与えたホンモノの辛口です。

お料理との調和を考え、研究・検討を重ね、
高い領域でマリアージュを成し得るべく
見事なバランスに仕上げられたワイン。
ホンモノの「ロゼ」として認識する必要を感じる存在です。

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香の要素はさほど多くはないのですが、不思議に飽きさせません。
下草、そしてベリー系の香。
舌にほんの僅かチリチリとした微発泡、
ボディはスリムですが、続いていく余韻は豊かで、
楽しみをどんどん延ばしてくれるかのようです。

これは、他では決して無い味わい。
飾り気や嫌味の無いシンプルな風味、しかし本質へと至るものです。
心地良い微発泡を楽しみながら喉の奥へと滑らせていると
お料理が次々と頭の中に浮かんできます。
しゃぶしゃぶ、天ぷら、煮豆、トンカツ、サーモン、肉じゃが、沖縄のアグー…
止まらない想いは、ワインが引き出す幻想なのでしょうか。

お料理を引き立てるワインとは、きっとこんな味と香。
分かる人にだけ勧めたい、究極のロゼワインです。

ベルンハルト・フーバー来訪記念【全47回】[index]

憧れの人物。
誰しも心に抱くスターが居るだろう。
この業界に居て良かったと思えるのは、
遠い存在のスター達に、光栄にも会えるチャンスがある事だ。

時として、こちらから出かけて行くのではなく、
そのスターが降臨してくれる事さえあり、冥利に尽きる。

野球少年は、イチローや松井に会えば感激するだろうし、
サッカーファンは、ベッカムに会えるとなれば天にも昇る心地だろう。
私にとってそんな、いやそれ以上の人物。

ベルンハルト・フーバー。

その人がヴァン・ルパン倉敷を訪れた。

08-0322ベルンハルト・フーバー来訪記念[01]宝探し
08-0323ベルンハルト・フーバー来訪記念[02]マルターディンガー
08-0327ベルンハルト・フーバー来訪記念[03]先駆者の足跡
08-0328ベルンハルト・フーバー来訪記念[04]飲まないうちに…
08-0329ベルンハルト・フーバー来訪記念[05]ユンゲレーベン
08-0330ベルンハルト・フーバー来訪記念[06]マルターディンガー
08-0401ベルンハルト・フーバー来訪記念[07]アルテレーベン
08-0403ベルンハルト・フーバー来訪記念[08]レゼルヴェ
08-0404ベルンハルト・フーバー来訪記念[09]グローセス・ゲヴェックス
08-0405ベルンハルト・フーバー来訪記念[10]えぇのんが来ました
08-0406ベルンハルト・フーバー来訪記念[11]「えぇのん」Part2
08-0409ベルンハルト・フーバー来訪記念[12]「えぇのん」Part3
08-0410ベルンハルト・フーバー来訪記念[13]「えぇのん」Part4
08-0412ベルンハルト・フーバー来訪記念[14]ついに五房に
08-0414ベルンハルト・フーバー来訪記念[15]来てくれるって!?
08-0415ベルンハルト・フーバー来訪記念[16]来た!
08-0417ベルンハルト・フーバー来訪記念[17]シュペートブルクンダー!
08-0420ベルンハルト・フーバー来訪記念[18]セラーにて
08-0421ベルンハルト・フーバー来訪記念[19]セミナーの準備
08-0422ベルンハルト・フーバー来訪記念[20]セオリー破り1
08-0424ベルンハルト・フーバー来訪記念[21]セオリー破り2
08-0426ベルンハルト・フーバー来訪記念[22]コート・ドールの土壌と1
08-0503ベルンハルト・フーバー来訪記念[23]コート・ドールの土壌と2
08-0507ベルンハルト・フーバー来訪記念[24]コート・ドールの土壌と3
08-0516ベルンハルト・フーバー来訪記念[25]白1番
08-0517ベルンハルト・フーバー来訪記念[26]白2番
08-0519ベルンハルト・フーバー来訪記念[27]白3番 その1
08-0521ベルンハルト・フーバー来訪記念[28]白3番 その2
08-0612ベルンハルト・フーバー来訪記念[29]赤1(1)・取り憑かれた人達
08-0808ベルンハルト・フーバー来訪記念[30]赤1(2)ユンゲレーベン
08-0809ベルンハルト・フーバー来訪記念[31]赤2.マルターディンガー
08-0810ベルンハルト・フーバー来訪記念[32]赤(4)アルテレーベン
08-0812ベルンハルト・フーバー来訪記念[33]赤3(5)マルターディンガー・ビーネンベルク レゼルヴェ
08-0813ベルンハルト・フーバー来訪記念[34]白熱のライブは続く
08-0814ベルンハルト・フーバー来訪記念[35]見えない努力をする人~コルク(1)
08-0815ベルンハルト・フーバー来訪記念[36]見えない努力をする人~コルク(2)
08-0826ベルンハルト・フーバー来訪記念[37]見えない努力をする人~コルク(3)
08-0829ベルンハルト・フーバー来訪記念[38]見えない努力をする人~収穫量(1)
08-0901ベルンハルト・フーバー来訪記念[39]見えない努力をする人~収穫量(2)
08-0914ベルンハルト・フーバー来訪記念[40]見えない努力をする人~収穫量(3)
08-0919ベルンハルト・フーバー来訪記念[41]見えない努力をする人~収穫量(4)
08-0920ベルンハルト・フーバー来訪記念[42]見えない努力をする人~樽(1)
08-0921ベルンハルト・フーバー来訪記念[43]見えない努力をする人~樽(2)
08-0923ベルンハルト・フーバー来訪記念[44]見えない努力をする人~樽(3)
08-0926 ベルンハルト・フーバー来訪記念[45]沖縄プチット・リュにて(1)
08-0927 ベルンハルト・フーバー来訪記念[46]沖縄プチット・リュにて(2)
08-1002 ベルンハルト・フーバー来訪記念[47]沖縄プチット・リュにて(3)

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08-0812ベルンハルト・フーバー来訪記念[33]赤3(5)マルターディンガー・ビーネンベルク レゼルヴェ

これこそが、自分が誇りを持って伝えるものだ…
と言わんばかりに、フーバーさんの目が光る。

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この場に提出されなかったアルテレーベンを
プルミエ・クリュに相当する…とするならば、

「このレゼルヴェこそは、ブルゴーニュのグラン・クリュに相当するもの」

との言葉は、力強さに満ちていた。

8p1 
マルターディンガー ビーネンベルク [R](レゼルヴェ) シュペートブルグンダー Q.b.A. トロッケン 750ml

なおも説明が続く。
1954年~1958年に植えた、つまり50年前後の樹齢。
簡単に言うけど、この樹齢は私と同じ年齢だ。

私が生まれた頃…言うのも恥ずかしくはあるが、
冷蔵庫も洗濯機も一般家庭に出回り始めようとする時代。
幼い頃、テレビは、近所の金持ちの家に見に行ったし、
電話は、町内で数件しかなくて、商売をやってたウチは、
町内中の人を呼び出しに行ってた…そんな時代。

その頃から根を延ばし始めたピノノワールは、
一体どの程度の深さまで到達しているのだろうか…
と自分の年齢と重ねながら想像するだけでワクワクとしてくる。

しかも、この古木からの収量を、なんと25hL/haにまで絞り込むのだ。
こんなバカげた数値は、数値だけを売り物にしようとする
南仏のワインぐらいしか見た事がないほどだ。

この時に提出したのが2004年で、収穫から4年は経ているが、
「閉じた状態でまだまだ…」
と作者本人が言う。

「ビーネンベルク畑の最良部分だけで造っているので、
樹齢・収穫量・テロワール…すべてを考慮して、
グラン・クリュと判断して欲しい。
従って、瓶詰め後、10年以上経って飲んで欲しいワインに
仕上がっている。」

と誇らしげに言った。
さらに続けて、

100224_18

「ビーネンベルク畑の特徴は、最もタンニンの抽出ができる特性を持っているので、
寿命も長くなると感じている。だから2008年の今、飲んで欲しいのは、
この2004年ではなく、1995~1996年辺りだ。」

…と言われても、そんなもの、持っている人はほぼ居ないですがな…。

「レゼルヴェも、1988年から全くフィルターがけをしていない。
だから、外観からの透明度を観察しても、ピノらしい透明感は無いだろう。
しかしそれは、内容の充実度を示すものと考えて欲しい。」

「6~7年立てば、オリが抽出してくるから、それから飲むのも良いだろう。
若い頃、世界のトップワインを飲んだ時、オリがしっかりと出ていたから
自分のワインについてもオリが出る事を誇りに思っている」
…とフーバーさんは語った。

(これは、オリについてつまらないクレームを付ける人への牽制ともとれる…)

オリについては、面白い見解を語った。
ブルゴーニュの造り手からも良く聞くのだが、
オリを一緒に飲んで欲しい…と言うのだ。

ボルドーではあり得ないが、ブルゴーニュのオリは、
ある意味、味わいと捉える事もできる。
上澄みの味、中間部分の味、そして底に近づいた時のオリが混ざって来た時の味
それらすべてを楽しむのも、ピノノワール・フリークとしては
アリ…なのに違いない。

フーバーさんは続けた。

「オリを飲むと酵母の味が残っているような気がする。
その風味が出る事を、フーバーさんは、非常に良い事だ…と考えている。」

オリを除けてしまうのは一つの手だが、
一緒に飲むのも、より楽しめる手法なのだ…と語られると、
かつてはオリが抽出したものを捨ててしまった事を悔やんだ。

次回は、フーバー醸造所のワインで、オリと共に飲んでみたい…と思った。

[To Be Continued…]

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08-0810ベルンハルト・フーバー来訪記念[32]赤(4)アルテレーベン

┏━┓┏1.ユンゲレーベン
┃赤┣╋2.マルターディンガー
┗━┛┠ (アルテレーベン)
┗3.レゼルヴェ

この日のセミナーには提出しなかった。
どうしてもヒエラルキーを実感して欲しかったのと、
白も飲み比べたかったので、余りに種類が増えすぎると
テイスティングの印象がぼやけてしまうからだ。

逆に、もし、1本だけフーバーさんのワインを飲みたい…
と思ったら、これほど適するワインはないのでは…とも思える。

何といっても樹齢は20~40年の古木。
きっと、あの硬い岩のような土壌に、その根を染みこませるように
深く深くへ…と伸ばしているのに違いない。

その収穫量はなんと35hL/ha。
ちょっとこれは異常とさえ感じる数値だ。
1988年産のもの以降から、フィルター掛けをしていないと言う。

「今日はない」

100224_15

と言ったフーバーさんの顔が少しだけ悔しそうに見えた。

もし1本だけ飲むならば、このワインはフーバー醸造所の、
マルターディンガーの、ドイツのピノノワールの
実力を推し量るに最適の物となるだろう。

「ランク的には、ブルゴーニュのプルミエ・クリュに相当」

と言うのが、豪語か、それとも控えめな言葉か…
舌に自信があれば、試して頂きたい一本だ。

また、ブラインドのブルゴーニュの試飲会の中に
入れておけば、舌の鋭い人ほど過ちを犯しそうな存在…
と付け加えておこう。

[To Be Continued…]

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08-0809ベルンハルト・フーバー来訪記念[31]赤2.マルターディンガー

┏━┓┏1.ユンゲレーベン
┃赤┣╋2.マルターディンガー
┗━┛┠ (アルテレーベン)
┗3.レゼルヴェ

次は、2.のマルターディンガーだ。
当然ながら、1.ユンゲレーベンより、重くなる事を想像する。

4p1
マルターディンガー シュペートブルクンダー Q.b.A トロッケン[2004] 750ml

しかし、テイスティングしてみて、
ウエイトだけに観点を絞れば、ほぼ同等なのである。
段階的に重さが上昇する…と思って飲んだ人には
少々肩透かしだったかも知れない。

だけど、このグレードこそが、古の時代とはいえ、
世界を席巻したクオリティ。
フーバーさんの説明がワインの中に織り込まれた
緻密な構造と、その深い歴史を解き明かしていく。

当然ながら、ユンゲレーベンよりも樹齢が高いものを使う。
12年~20年だ。
しかし、これだけでは、即、インパクトを与えるほどの味覚差は
明確にできない。
そこで、お約束の王道、単位収穫量の絞り込みを思い切って行う。
20%程度…と説明するが、これで
より土壌と気候を凝縮したワインになる。

濃度でなくミネラルなどの風味がもたらす複雑さ、
パワフルさでなく深みが語りかけてくる。
樽も強さでなく、絶妙なバランスを受け止める事になる。

このマルターディンガーこそが、ある意味、
最もテロワールをストレートに表現したものとなっている。
それだけに、このグレードは、徐々に進化しているユンゲレーベンに比べて
より大きな振幅を持ちながら進化してきたように思う。

マルターディンゲンの丘で繰り広げられた四季折々のストーリーが
遠く離れた異郷で繰り広げられる一瞬。

陽の光が、風が、雨が、冴え渡る空気が、湿度が…
織りなす交響曲を背景にして、
舌の上で繰り広げられるピノノワールのダンス。

100224_14

口数少なく武骨に見えたこの指揮者は、
実は世界中の誰よりも繊細でロマンチストなのかも…
と感じさせてくれた一瞬だった。

[To Be Continued…]

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08-0612ベルンハルト・フーバー来訪記念[29]赤1(1)・取り憑かれた人達

白の強力ワイン、シャルドネが登場した後は、
物議をかもした?ミネラルウォーターで口をゆすぎ、
赤へと入っていく。

現在、全ドイツの栽培比率で見ると、赤が30%超の状態だが、
フーバー醸造所は70%で、いかに力を注いでいるかがわかる。
それもすべて、シュペートブルクンダー=ピノノワールである。

100224_10

この葡萄の虜になる人ばかりを見えてきた。
それほど力強くないボディ、
冷涼な気候を好み、栽培の難しさは超一級。

なぜそれほどに、この葡萄に一生を賭けるのだろうか…
とさえ思える。
もっと栽培が容易で、収益も上がり易い葡萄はあると思うのだが、
この葡萄造りにはまり込むDNAは、遙か昔から用意されていたのか…
と思えるほどに、人を虜にしていく。

現在のブルゴーニュワイン・フリークしかり、
ニューワールドでも次々と発表されるピノの生産者しかり…である。

でも何と言っても、まずはシトー派の僧侶達である。
冷涼な場所での活動が多かったとは言え、
必ずいつもピノノワールなのである。

ブルゴーニュから、ドイツのバーデン地方にやって来た彼らは
テネンバッハ修道院を建立する。
1285年の事である。
ピノノワールの聖地として発見した!とばかり
彼らはここを中心に布教活動を行っていく。

しかし、その修道院より約7kmの場所に、より理想的な
赤い土壌を発見する。
彼らは、迷うことなく寄宿舎を建てた。
その場所こそが、現在のフーバー醸造所のある場所。

彼らは常に世界最高のワインを目指した。
テロワールによって独自の風味を得る事も理解し、
より良い味・香になれば、更に品質を高める造りをしたに違いない。
品質の高さから遠くバイエルン(現オーストリア)にも
輸出するようになっていたのである。

便利さに慣れた現代とは全く違う流通、
厳しく困難な輸送をしても価値があり、
またそれを求める人(当然ながら王侯貴族)が居た…という事である。

王侯貴族達は、その品質に対し、当然ながら
呼び名を与える事になる。必然的に、
「マルターディンガー」。

それは、マルターディンゲン村で(ピノノワールを使って)造られる
当時最高の赤ワイン。

ブルクンドのピノノワールが、権力の狭間に揺れ動く中、
ひたすらに品質だけを求めるマルターディンガー。
国外から見れば、同じ葡萄と同レベルの技術だったとしても
どちらが魅力的だったか?は想像に難くない。

そして、ワガママな王侯貴族達は、
本来は地名を表していたこの言葉を
葡萄品種名にもしてしまう。

「マルターディンガー」
この名がピノノワールのシノニム(別名)だと知った時、
フーバーさんは心に誓う。

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「百年後でも構わない。“マルターディンガー”が
葡萄品種名として世界に通用するようにしたい。」

ここにもまた、ピノノワールに取り憑かれた人が居た。

[To Be Continued…]

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08-0503ベルンハルト・フーバー来訪記念[23]コート・ドールの土壌と2

土壌(というより石)の標本を
セミナーの参加者達に回覧させたフーバーさん、
「見るだけでなく、臭ってみて欲しい」
と言った。

100220_6

ヘックリンゲン村の白っぽい土の後に回って来た
赤っぽい『ヴィルデンシュタイン』の土を臭った時、
その意味が分かった。

地面から離れ、乾いた状態の武骨な魂。
香を嗅いだ瞬間、土や埃、そして鉄…を感じた。
が、もっと奥深い何かが強く語りかけてくる。

ヴォージュ山を越えてきたシトー派僧侶達が
目を付けたというベーズ修道院とそっくりの土壌。
彼らはこの村に、テネンバッハ修道院を建てた。

そこを拠り所にして、周囲を探索、
少し離れた場所に宿舎を建設した。
現在フーバー醸造所のある、まさにその場所。

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なぜ離れた場所に建てたか?…それは、
最も注目すべき土壌があったから。

100220_8

その土地を開墾し、得意のテラス状に仕立てた。
この区画、かつてはWillistein(ヴィリーシュタイン)と呼んだが、
まだ畑として、現在のワインアトラスには登録されていない。
しかしフーバーさんは、よりレベルの高い造りが
可能な区画として独立させている。
その名は『ヴィルデンシュタイン』。

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ヴィルデンシュタイン シュペートブルクンダー レゼルヴェ

700年の時を越え、畑を切り開くシトー派僧侶達と、
切り立った壁面に沿う小径に立っている自分の姿、
降り注ぐ太陽と、息をする葡萄の葉、
そして地面の匂い…
すべてが混じり合った空気を吸い込んでいるような…

この鉄分をしっかりと含んだ赤い土が発する香は、
そんな想像を掻き立ててくれる力があるように感じられた。

[To Be Continued…]

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08-0417ベルンハルト・フーバー来訪記念[17]シュペートブルクンダー!

写真を撮る時の合い言葉定番は、「チーズ」。
しかし20年程前に会ったドイツの栽培家たちは揃って
「リースリング」と言った。
以来、私はドイツ人が来た時に、写真を一緒に撮る時は、
このパターンでキメる事にしている。

が、横に並んでカメラを向けられた途端、
フーバー氏の口から出たのは、この言葉ではなかった。
「リースリング」と言う私の声に被せてきたのは、

「シュペートブルクンダー」

そうか。彼の生きざまとしてこちらの方が自然だ。
ならば私も…と真似した。が、

おいおい。口元が緩まねぇじゃん、この単語は。
もう一枚!って言われて、再度言ってみた。

「シュペートブルクンダー」

100213_4

やはり笑顔を作るのは極めて難しい。
葡萄と同じく、浅い人間にはコントロール不能だ。

2007年、フーバー醸造所の作付面積の70%はシュペートブルクンダー。
この葡萄にかけるフーバー氏の心意気が
伝わって来る言葉ではあった。

[To Be Continued…]

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