この催しに出かける気持ちになったのは、
堀 賢一
ワインインスティテュート の名前で、
「カリフォルニアワイン・グランドテイスティングと題した、
過去最大規模の試飲会とセミナーを行わせていただきます。
お時間がございましたら、是非お立ち寄りください」
というメールが来たからだ。
まぁ、堀 賢一さんの名前は、団体として使っているに過ぎないにしても
余り受けた事のないアメリカのワインに関するセミナーも開催されるとあらば、
私自身にとってまだ未開拓部分が多いカリフォルニア・ワイン、
定休日の月曜日と合ったとなればぜひ行かなければなるまい
…そう思って出かける気になった。
しかしながら、前にスペイン商務省が東京で行ったイベントのように、
事前にfaxを送る指示に従ったにも関わらず
「満席なので空きがあればね」と、
信じられない事を言われる可能性があるので、
セミナーの席の確保だけは確実に行わなければならない。
送られてきたメールアドレスに、
セミナーは間違いなく参加できるのか?
と問い合わせたら、すぐに「招待状」を添付して返信してくれた。
この対応の早さと確実さは感激モノだった。
さらにカリフォルニア・インスティチュートは
アメリカ的なサービス精神で、参加者を喜ばせる手段を心得ているようだ。
実際、会場に行くと、堀 賢一さん本人が、入口に立ち、
挨拶と握手を繰り返しているのだ。
これはちょっと驚きだった。
(主催者は、大抵、上から見下ろす位置に居るから)
会場には、多くの輸入業者がブースを展開していた。
付き合いのある業者も多いので、
気合いを入れて次々と飲んでいく。
時間的には1:00~5:00で、セミナーの1時間30分を引くと
2時間30分しかない。
どこまでイケるかな…と思っていたのだが、
思いの外、進まない。
できれば、余り聞いた事のない業者も飲んでみたいのだ。
進まない理由は、どうやらアルコール度数の高さにあると思われる。
近年、南仏などで14.5%というアルコール表示のワインに遭遇すると
その酔いに閉口してしまうのだが、それを遙かに越えた
15.6%とか16.3%などという表記が次々と現れる。
私自身、会場では飲める限り味を利き、
記録に残すようにしている。
書いていたのでは時間のロスなので、
今回ICレコーダーを買ったのだ。
しかしこのアルコール度数の高さは、
その思いを阻む。
これがカリフォルニア、今回特に多い南寄りのパソロブルスの特徴…
なのだろうが、強烈。
1時から飲み続け、3時から始まるセミナー
「カリフォルニアワインの新天地 パソ・ロブルス」
の席に着いた時には、
すべて試飲ワインは喉を通さなかったにもかかわらず、
かなり深い酔いを抱えていた。
セミナーではクリス・ヴィックス氏の英語を訳す堀健一氏。
二人とも優しい声の上に、スライドをはっきり見せるために
照明を少し暗くした頃から、記憶が途切れた。
…多分、15分位は寝てしまったのだろう。
ふと我にかえると、ワインの説明が始まっている。
テーブルの上の試飲ワインを飲みながら、
さらにセミナーを受ける。
会場の一人がアメリカンとフレンチのオークの香の違いについて質問した。
これに対する堀賢一氏の説明は、質問者の意図を越えた領域に
踏み込んだもので、ずいぶん勉強になった。
我々自身、国によって単純に、特性を色分けすれば良いような
錯覚に陥っているが、乾燥や取置の処理が違えば、
同じ国であっても当然ながら特性が変わる。
これから先、ワインと同じく樽についても、
複雑さと多様性を持つ可能性を考慮しなければ…
と感じた。
試飲ワインの中には、取り扱いのカストロ・セラーズもあったりして、
結構リラックスして臨めた。
カストロ・セラーズ
カベルネ・ソーヴィニヨン
パソ・ロブレス[1998]
2,625円 (税込)
セミナーで出されたのはジンファンデル。当店在庫はカベルネ。
セミナーが終わり、残り30分を使って
試飲をするんだ!って気合いを入れて席を立ったものの
足下がおぼつかない。
でも、気合いを入れてあと4件、駆け抜けた。
最後に近づけば、結構楽しめる。
高価なワインであっても、残っていたら
遠慮なく注いでくれる。
5時までとなっていても、結局5時15分まで飲んだ。
まさに千鳥足での帰途、このまま辿り着けるかどうか…
不安を抱えながら駅へ歩いた。
そのヨタヨタとは対照的に、カリフォルニア・ワインの味わいと
楽しさ、対応の良さに気を良くした試飲会だった。
開催スタッフと参加醸造所・輸入業者に感謝の意を贈りたい。
ありがとうございました。