07-0519 特別試飲会・壁ワイン(マウワーヴァイン) [13] 真打登場

(13)1953 シュタインベルガー キャビネット ナトゥーアライン
“マウワーヴァイン” エーデルベーレンアウスレーゼ
ラインガウ国営醸造所

imge396aadczik5zj

本日のメイン・イベンター。

シトー派であるエーベルバッハ修道院は、塀で囲まれている。
この塀(マウワー)に栽培された葡萄で造ったのがこのワイン。
緯度の高いドイツでは、日照が上からでなく、横から射し込む為、
傾斜が強いほど、太陽の恵みを受けられる。
そう考えれば、壁面は傾斜角90°の、究極の斜面である。

現在も造られているが、表側ラベルには表記が許されないため、
裏側にその旨が書き込まれる。

このワインの専売権を握っていたのが
バルタザール・レスで、同家のサブラベルが、
金色で覆われた肩飾りと共に貼られている。
imgcde3d457zik4zj

さて、現物を目の前にして、栓を抜くのに悪戦苦闘。
リコルクなしだ。
つまりは54年間、同じコルクで生きてきた事になる。
従ってこれを抜くのは極めて慎重に行わねばならない。
imgcd45a343zik0zj

素性としては、シカゴの地下セラーで眠っていた品を
若山氏がオークションで落として空輸したもの。
1953年は、20世紀後半のトップ10に入る素晴らしい豊作年。

若山氏曰く
img01de33abzik4zj
「1953er シュタインベルガー マウアーヴァイン
エーデルベーレンアウスレーゼ ファスヌンマー56
ナトウーアライン Cカビネット 国立エルトヴィレ醸造所
(この時代はバルタザール・レス社が 「壁ワイン」販売権利を独占)
金箔封を見よ!頭が高い!!控え控え!!!
しかし、まあ誰でも、こうべを垂れるべき芸術品だろう。
あの憧憬を感じる旧ワイン法、その地方ごとの手本となる逸品を
造った国営醸造所…なんて浪漫!!!ああ!」

現在は(というより他では一切)お目にかからない肩からかかった金紙。
バルターザーレスのマウワーヴァインのみ、これを使っていた。
これだけでも異様だが、ラベルを見れば、
現在はワイン法にて禁止されている語句の羅列状態。
img5e702b3bzik5zj

「マウワーヴァイン」という語句も現在は書けない。
今も造られているが、裏ラベルにその旨を記述するのみ。
「エーデルベーレンアウスレーゼ」も不可。
“高貴な”ベーレンアウスレーゼ≒トロッケン・ベーレンアウスレーゼ
と捉えて良いだろう。

「ファスヌンマー」は樽番号であり、
現在はAPナンバーの中で数字を僅かに大きくして、
樽番号を主張する事はあるが、この表記を書く事は禁じられている。

「ナトゥーアライン」…自然のワイン。
つまり補糖などをしていないという事の主張。
現在、ドイツはプレジカーツ以上では補糖をしていないが、
他国のワインがしている為、圧力がかかり、
表記しない事とした。

「Cabinet」=Kabinett・カビネットでなく
“ツェー・カビネット”とドイツワイン好きの間では呼ばれる。
取って置きの、秘蔵品…という意味に捉えて良いだろう。

どの語句も71年の法改正の前にのみ使われていた。
超特別な造りで、醸造も凄く贅沢で、自然で、純粋で、取って置きで…
と座布団を重ねるように持ち上がっていく内容。
いや既に10枚で景品を得るには十分そう。

グラスに注いだ時、色が全く違う。
白とは思えない色。
大丈夫だろうか…と思った。
が、このワインは間違いなくアライヴ。
imgb1379e3bzik5zj
確かに最盛期は過ぎているが、落ちてはいない。
いや気高さは十分に生きている。

赤と差が余りないほどの外観。
そうなっても、さすがエーデルベーレンアウスレーゼ。
特別凄い原材料は、最高の醸造を得て、
時の向こう側からやってきたのだ…と、
飲み手を黙らせてしまうボディ&余韻。
img9556389fzikdzj
美味しさに小躍りする若山氏。感動を蓄える三野氏。

人の叡智の結晶、そして技術の粋。
さらにはそれを静かに貯蔵した者。
多くの人の手によって、壁ワインは
我々の目の前に現れたのだ。

imgf5ee623fzikazj
参加者の顔にも笑みが溢れた。

エーベルバッハ修道院の壁…、その形も高さも知らない私だが、
壁が受けた54年前の太陽の暖かさを、
しっかりと受け止める事ができたような気がした。

[The End]

07-0518 特別試飲会・壁ワイン(マウワーヴァイン) [12] 二番目の壁ワイン

さて、メイン・イベンターの一つ、壁ワインであり、
なおかつTBA(トロッケン・ベーレンアウスレーゼ)のくせに甘くない…
という信じられない存在が登場。

(12)1988 ブルク・ホルンベルガー・ヴァルマウアー
ゲヴィルツトラミネール トロッケンベーレンアウスレーゼ
ホルンベルク醸造所

img619b552azikdzj

蔵元は、風格ある有名なホテル、
しかし幽霊が出るという噂も絶えない城。

その城壁の周囲に畑が広がっているが、
当然高い位置にあるため、畑が斜面でなく段々畑状態になっている。
その段々畑の縦の面に植えられ、日照を十分に受け
糖度が上昇、さらに貴腐菌が付着した原料を使ったのがこのワイン。

imga462878azik9zj
ラベルにその畑の形状が描かれている

当然、生産量が少なく、一樽しか造られていないし、
この年号のTBAは日本には3本しか入っていない…と若山氏は明言。
彼のコメントは以下の通り。

「私は1990年にテイスティングしたとき、TBAなのに
甘味が殆んど無<て、苦い事にショックを感じた。
好みは分かれるが、面白いスィティルワインだ
(なんと17%VOL!)今はどんな味になっているのだろう」

このワインが、ヴュルテンベルク地方に属するか、
それともバーデン地方か…という事が話題になった。
一番の問題は、表記が無い事である。
(ドイツのくせに少しあやふや?)
この点について三野氏から解説があった。

imgb1af1743zikfzj

醸造所自体はヴュルテンベルクに所在している。
畑は、極めて入り組んだ場所にあり、
州としてはバーデンであり、
70年代迄はバーデンを名乗っていたはずである。

71年に法改正でヴュルテンベルクとなったのではないか。
88、89年はヴュルテンベルクの表記がある同畑のワインを持っているから
ヴュルテンベルクとして良いと考える
…とのこと。

ええい!そんな細かい事よりも、重要なのは造り手の腕前だ…
と思いながら聞いていたら、ワインの内容については上々で、
古くから高い評価を受けているとも説明があった。

この蔵元が昔から辛口が得意なのは知っていたが、
トロッケンベーレンアウスレーゼなのに甘くないとは…
と、試飲にとりかかる。

凄く濃い色。
これ白ワイン?という声が上がる程に濃く茶色のトーンを持つ。
一般的な指標だと、色が濃過ぎる…と判断できるのだが、
何にせよ、あり得ない存在だけに受容が必要だ。

外観と一転、味わいはまろやかに熟成。
まったりとした滑らかさがある。
若山氏が、かつて飲んだ時は極めて苦かったそうであるが、
現時点ではそれほど苦くない。
「苦い」と言うよりも、味の構成としての「締まり」がポジティヴ。
長く続く余韻の後半を、城に潜む得体の知れぬ者がぐいぐいと絞り込んでいく。

img5b7435d6zikbzj

アルコール分17%。
しかしこのアルコール度数にも関わらず、舌を刺さない。
膨らむボディ、力強い構成、
そして今、まさに最高と言える熟成状態。

緯度が高いドイツでは、平面の畑より垂直の壁面の方が
より確かに実る可能性を持っているのだろう。

単発酵で17%に達するという離れ業、
TBAなのに甘くない、そしてそれがちゃんと美味しい
…というのは、やはり城に棲む何者かが関与しているのだろうか。
そんな想像を膨らませてしまう奇跡的ワインだった。

[To Be Continued..]

07-0517 特別試飲会・壁ワイン(マウワーヴァイン) [11] サブタイトル3

この日のメイン・イベンターである貴腐ワイン達に比較すべく、
若山氏が用意していたのが、このワイン。

(11)1997 ヴーヴレィ キュヴェ・コンスタンス
ユエ

img58694dfbzik5zj

ロワール川流域で、最も質が高いワインを造ると定評がある
ユエ家のワイン。
ムアルーやドゥミ・セックでも、楽に50年を越える能力を持っている。
シュナンブランのポテンシャルを、最大限まで引き出せる
技を持っているからだろう。

同蔵元が、良い年に、一樽のみ造るのが
このキュヴェ・コンスタンス。
愛娘の名前を冠したこのキュヴェは、
生産量が少なく、なかなか入手が難しいワインの一つ。

若山氏のコメントは以下。
img3e10a2aczikazj
「1997erヴーヴレー キュヴェ・コンスタンス シュナンブラン ユエ家
10年熟成して飲み頃。ドイツ的にいえばTBAのような物。
ロワール中流はドイツ的な造りをする。
1971年などは短命なQbAと長命な甘口を造り、
1984年などは長命なQbAだけで甘口は無い。
1984年のセックにはシェーン・ソイレ(美しい酸)を感じた。
しかし。バイオダイナミックにかぷれている。
フランスの農家のオヤジにとって、あったら怖い事・・・それは
跡取り息子がバイオダイナミックにかぶれること(笑)
‥だけど本当に(葡萄栽培に限らず)よくある事です(大笑)。
もっと怖い話は、日本にもいる事!」

彼のコメントを尻目に、味わいを探ってみると…
しっかりと酸を持った貴腐ワイン。
この酸は、“私はまだ若いですよ”
…というワインの声を聞いているかのようだ。
貴腐ワインだけれど、強烈な糖度がねっとりとするタイプではない。
案外、サラッとした甘口。
優しい味わいで、飲み手の口元を緩めてくれた。

imgb087d838zik9zj
参加者の顔が和らぐ味わいだった

浅い眠りの中で美しい少女に出会った…
その名はコンスタンス。
これから戦場に向かう緊張感を前に、
目の前を駆け抜けた美しい乙女だった。

[To Be Continued..]

07-0516 特別試飲会・壁ワイン(マウワーヴァイン) [10] サブタイトル2

メイン・イベンターの壁ワインが、二つとも貴腐ワインなので
それに比較するべく、フランスの貴腐も…と
考えて準備したワイン。

(10)2000 コンドリュー クラン・ド・カミーユ
ドメーヌ・シェーズ

容量500ml
4,179円(税込)

次の、(11)ロワールの貴腐を若山氏が準備していた為、
彼の依頼で、それに比較・検討するべく、
私が準備したのがこのワイン。
コート・デュ・ローヌの北部、
低収量ヴィオニエで造るコンドリューだが、
このグラン・ド・カミーユは、
貴腐果を収穫して造ったさらに贅沢なもの。

残糖は恐らく100g~120g/L程度で、
それほど強烈な甘さではない。

「ヴィオニエは英語で言うならヴァイオレットだ!」
…という若山氏の言葉通り、
香が次々と立ち上がってくるワイン。
このスミレは、日本産とは全く違い、
西洋匂いスミレの香…と彼は繰り返している。

img78956f7ezikezj

ただし、花の匂いに止まらない。
黒蜜、焦げた砂糖菓子などに加えて
紅茶や煎茶などの繊細かつ複雑に入り組んだ香。
かつてデザートとして出された黒蜜のみつ豆
添えてみたが、結構至極なマリアージュを楽しめた。

必要十分な甘さ、それに加えて複雑深淵な構成が
洋の枠を超越、繊細幽玄な“和”の雰囲気とさえも
融合する能力を見せながら飲み手の心をくすぐる。

夢の中への一歩となるような優しい味わいだった。

[To Be Continued..]

07-0515 特別試飲会・壁ワイン(マウワーヴァイン) [09] サブタイトル1

メイン・イベンターの壁ワインが、二つとも貴腐ワインという事で
それに比較するべく、貴腐ではないにせよ、
それに近い糖度を持つ物…として、

ドイツのベーレンアウスレーゼの熟成物を準備した。

(09)1976 グラッヒャー・ドムプロブスト
リースリング ベーレンアウスレーゼ
ステュデルト・プリュム

img2935f0f6zik6zj
美しい頭封・ラベル。完璧な外観だった

後に続くフランスの2品目、

(10)2000 コンドリュー クラン・ド・カミーユ ドメーヌ・シェーズ

(11)1997 ヴーヴレィ キュヴェ・コンスタンス ユエ

は貴腐ワインながら、残糖とすれば、
このワインよりは低めか、同等が精一杯だろうし、
ドイツとフランス、古いと新しいの対比を見るのに
面白い…という発想からである。

さてこのワインの1976年、
モーゼルの中流域として、極めて良い年と言われている。
しかし、私の印象としては、べらぼうな長寿は望めない…
と感じている年号でもある。

造り手はプリュム一族で、現在は2房級。
しかし1976年当時は多分、そこまで良くはないかも…。

このハーフ瓶は、外観から、頭封の状態は極めて良好に見えたが
コルクはそこまで良い品質が使われておらず、
長い熟成を、さほど意識してないのか…と感じてしまうほど。

色彩的には赤のトーンも出ていて、少々色が濃過ぎる。
リースリングが熟成した、木の濡れた匂い。
でも実年齢よりも年を食っているように感じる。
甘さは十分にあり、時の経過によって滑らかにはなっている。

img619b552azikdzj
参加者の評価が分かれた

しかし、ピークは越えた印象がある。
この年は、早めに飲んだ方が良かった年、
という一般的な判断が正しかったかも知れない…
と思わせる熟成状態だった。
[To Be Continued..]

07-0514 特別試飲会・壁ワイン(マウワーヴァイン) [08] 前座7

一体、いくつ前座が出て来るのか?
と思ったりしながら次のワイン。

(08)1995 リューデスハイマー・ベルク・ローゼンエック
リースリング シュペートレーゼ
アウグスト・ケッセラー

img10132752204
4,830円 (税込)

前座と言いながらも、思惑がちゃんとあった。
これは、三野氏が、 [03]で出した赤ワインと、
同じ蔵元のワインを私が所有していたので、当時の腕前を感じてみたい…
とリクエストされたので、私が提出した。

アウグスト・ケッセラーは4房蔵元だけど、それほど馴染みが無い。
歴史的な部分に絡むのがラインガウ地方の蔵元だが、
貴族とか騎士…といった地位でもないからだろう。
しかし、品質は高く、20年以上前から高い評価を受けている。

貴族的な歴史やネームヴァリューが無い割には、高評価で価格が高過ぎ、
輸入業者が敬遠したのかも…。

造り、品質、価格、そしてネームヴァリュー…
という事でワインが売れるとすれば、
最後の部分だけがアウグスト・ケッセラーに欠落していたのかも知れない。
これを世に知らしめる為には、大きなコストがかかるので、
それよりは、既に知名度が高い蔵元を扱っていた方が良い…
というのが、輸入業者達の考えだったのだろう。

今回、飲んでみると、その素晴らしさに驚かされる。
優しく柔らかい。熟成色がしっかり出ている。
外観と比べて、味わいはどちらかと言えば若い。
大阪の輸入業者が、セラーにじっと寝かせていたワイン。
セラーの最も低い温度の場所に置いていたと主張していたが、
今回の試飲でそれは実感できた。

活きの良い酸。バランスの良い味わい。
外観の色が濃いので、抜栓後は、ワインが長持ちしないか…
と考えたのだが、別の場所で開けたこのワインは
1日・2日・3日・4日…までは、残った物を冷蔵庫に保存し、
チビチビ飲んでいても、酸化する事なく生き続けた。

十分な残糖…恐らく60g/L程度、時の流れによって優しく飲み易く、
そして美しく熟成している。
しかし、元気の良い酸があり、健全さを主張し続ける。
外観だけは、深く濃い黄金色、
深く広い超一流ラインガウワイン。
アウグスト・ケッセラーの腕前の冴えを
十分に堪能できた1本だった。
[To Be Continued..]

07-0513 特別試飲会・壁ワイン(マウワーヴァイン) [07] 前座6扱いだが…

前座6番目として登場させたのが、
特別なワインだ…ということで、仕入れた

(07)2004 アイラー・クップ リースリング カビネット
         アルテンホッフェン

             
          2,100円 (税込)

である。
何が“特別”かと言うと、
30年前のワインの造りをそのままを表現しようと
アルテンホッフェンが造った…とのこと。

古い造りとは何だ?
どんな味?どんな香?
…グラスからの香をたどると

確かに特殊な匂い。典型的なリースリングの香に加えて
パーマ液の臭い…サルファ?SO2系の残り香?
いや、天然酵母を使って醸造した場合、この匂いが出易いから、
それに違いないだろう。

日本では雨が多くて天然酵母は使いにくいが、
ドイツやフランスでは近年、多様されているようだ。
技術系の人間(と私は考えている)であるアルテンホフェンだからこそ
そういった造りをしたと推測される。

リースリングの香が明確に存在しているぶん、
他の香が良く分かる。
若い年号だから、もっと酸っぱいのかと思っていたが、
案外まろやか。
残糖は恐らく40g/Lを少し越えた所だろう。
味わいのバランスは、今までに
余り経験した事のない世界と言える。

アルテンホフェンの造ったタイムマシン。
彼の描いた過去の姿。
当時を知るべくもない私としては、
昔はこんなワインだったんだろう…と思いを馳せた。

トータル的に良い仕上がりで、
味香バランスがなかなか面白い。
コストパフォーマンスは、極めて良い。
参加者の中には、この日のベストワインに選んだ人も居て、
アルテンホフェンの面目躍如。
                         [To Be Continued..]

07-0510 特別試飲会・壁ワイン(マウワーヴァイン) [06] 前座5と言うには…

前座と言うには、余りに凄まじい13年物の

カステル侯爵家、シュペートレーゼが登場。

(06)1994 カステラー・クーゲルシュピール
リースリラナー シュペートレーゼ
カステル侯爵家

img1427d96czikazj

この蔵元は、11・2世紀に遡る歴史を持ち、
貴族の系列であり、銀行なども経営する資産家。
現在、フランケン地方でトップランクの4つ房級として
愛好家の心を捉えている。

このマイン川より東側の畑、クーゲルシュピールからの
シュペートレーゼは、滑らかな中甘に仕上げられている。
葡萄品種リースラナーは、名前の通り、
リースリングと、シルヴァーナの交配種。

かつては、この二者の交配種と言われた
ミュラートラガウがDNA鑑定で、
グートエーデルとリースリングの交配種と判明した時、
多くのドイツワイン・ファンが、なるほど…と思ったという。

imgb9b38e07zik3zj
熱い思いを抱えながらも、淡々と解説する三野氏

ミュラートラガウとは全く違う、艶のある
滑らかな味わい。熟成も手伝っているのだろうが…。

しかし、普通の畑に植えたのでは、ロクなものに
ならないと言われるリースラナー。
軸が弱くて、熟成すると粒がポタポタと落ちやすい葡萄。
ドイツでは、落ちた粒は一切使わないから、
その点だけ考えても栽培が難しい品種と言えるだろう。

よくここまで遅摘みにして仕上げた…と感心できる内容。
さすがカステル侯爵、フランケン地方のトップ…と感心。

[To Be Continued..]

07-0509 特別試飲会・壁ワイン(マウワーヴァイン) [05] 前座4と言うには

前座と言うには、余りに実力派の、5房蔵元の登場。

(05)1983 オーバーハウザー・ライシュテンベルク
リースリング カビネット
デンホフ

参加者の中には、1983年が生まれ年の娘さんがいたりして、
ちょっと驚き。
つい、自分の年を考えてしまった。

頭封を外すとコルク上にきっちりとした黒いカビ。
いわゆる“ケラートーフ”と言われるセラーのカビが見事。
その匂いが、セラーを想像させるほど匂い立った。

imgb72b632czikfzj

問題は、VDPの鷲の向きである。
現在がこのデザイン↓だから、

imgf8746842zik1zj
1994年(次順の試飲ワイン)のVDPマーク

1983年のマークはこう↓だったのか?…と思った。

img1d49e8cezik9zjこれが1983年のワインの頭封に記されたVDPマーク

しかし実は逆転現象が起きているのだ。
この1983年のワインは三野氏のコレクションだが、
購入したのは2005年だと言う。
そして多分、ずっと
デンホフの蔵に置かれていたものが
つい最近、出荷されたと推測される。

三野氏曰く
VDPの鷲の向きが違う、…つまりこちらの方が新しいので
出荷が2002年以降だと思われる。

img1af10dd1zik6zj
左から1983年(2002年以降の出荷?)・1994年・1995年のワインのVDPマーク

VDPのマークは、デザイン変更によって
鷲の向きが変わったというのは、いかにもカルト的だが、
さらに古い年号の方が最近出荷されている…というのも面白い。

蔵に貯蔵されている間は、頭封をしていないのが普通であり、
出荷時点で、頭封をした為に、
年号は古いが、頭封のみが新しいものになったと考えられる。

容量はオールドスタイルの700ml。
色は極めて健全。年寄りではない。
美しくエレガントな熟成。
20数年経ったワインは、こうなって欲しい…という
理想的な味と香だ。

1983年は、糖度が上がりやすかったが、早飲みと言われるにもかかわらず、
構成要素が極めてしっかりしているからこそ
また、蔵で寝かされているからこそ、
このような熟成の領域に達し得た…と考えられる。

ラベルが前のデザインで風格がある。
ゴーミヨ5房、ドイツ最高の一軒としての内容は凄みさえある。

img01bfa4dazik9zj

人間が難しい…と評判のデンホフ。
しかし、この1983年時点で、間違いなくドイツのトップレベルを
造っていたようだ。

芸術家は難しい人が多いと言われるが、

デンホフは、多分、そんな人なのだろう。
彼の本質は、ワインの味香でのみ語れば良いのだ。

[To Be Continued..]

07-0507 特別試飲会・壁ワイン(マウワーヴァイン) [04] 一つめの壁ワイン

この日、一つ目の「壁ワイン」はこれ。

(04)1989 ホーンスタッター・ケルテンベルク トラミナー
ヴィンツァーゲノッセンシャフト・フライブルク

ベルリンの壁が壊され、壁の向こうからやって来たワイン。
東ドイツ最後のワインと言って良いだろう。

蝋封をした…と自慢の若山氏。
コルクが悪いから、自らが蝋封をしたと言う。

img30f0bf97zik4zj

確かにコルクは、一般的に見るものの、半分程度の長さ。
質も悪い。

imgff11f359zik8zj
上がデンホフのワインのコルク。下がこのワインのコルク。

ソムリエナイフを入れるのが怖い。
しかし、確かに、若山氏が、蜜蝋処理をしているからこそ、
コルクのコンディションは、良かった。

極めて“右”に偏った彼のコメントは以下
「最後の東ドイツワインだ!ベルリンの壁が崩されたのは、
これが収穫された1989年の秋。壁が崩された事を
ラジオニュースで聞いたのは大阪の路上。
会社の車でしたが、ハンドルから手を放して
万歳をしたのを鮮明に覚えています。
味を云々すべきではない、マルクスの敗北が明白化した
“年”を想って飲もう!」

「生きてる!」と喜ぶW氏
トラミナーの香は、スタート時点では残念ながら殆ど無し。
スパイシーさがある。バラの香はなし。
芳香成分はある。生きているというレベルではなく、
ちゃんとワインの味わいが感じられる。
しかし品種の特性…という点では、?を出さざるを得ない。

imgbeb68d68zik3zj

味わいの深さなどは、それほどではない。
しかし存在が、歴史的。
そして品質レベルが高くない事により
当時の東側の内情を計り知ることができる。

「壁」の崩壊は、隠れていたものが見えてきた…
と、捉えた方が良いのだろう。
ただし、それほど大したものは見えなかった。
それを教えてくれたワインかも知れない。

[To Be Continued..]