09-1222 うまい!熟成フランケン

2002 ノルドハイマー・フォーゲライン
シルヴァーナー カビネット トロッケン
グラサー・ヒンメルストス
Nordhimer Voglein Silvaner Kabinett Trocken
Glaser Himmelstoss

091229_1091229_2ギフトにフランケンのワインを…
という御依頼を受け、
セラーにあるものをピック・アップ。
と、箱の中の一本が、液面が下がり、
漏れた痕跡がある。

かなり液面が下がった状態→
これは販売する訳にいかないので
とりあえず開けてみる事にした。

温度変化の激しい一般的な貯蔵環境ならば
当然劣化が疑われるが、
温度12℃湿度70%の片隅で静かに眠っていたそれは、
表面への液漏れなど物ともせず、
美しい熟成を見せてくれるか…?と期待を持ってスクリューを入れる。

091229_3コルクを見ると、一本の細い筋が通っていて、
その道から液体が出た事が分かった。
そしてグラスに注ぎ、香って…
飲める!…いやそれどころか、これは旨い!!
それもかなり。

外観はやや薄めの黄金色。決して濃くはない。
香は熟したリンゴ・柑橘類・桃・梨・森の下草
マンゴーやライチなどトロピカル系も微かに…。
舌触りは極めて柔らか、熟成ワインだけが成し得る触感、
艶やかな旨味、懐の深い味わい。

この美しい熟成の美味しさは、決して偶然では到達できない。
前年収穫や、2年前収穫のワインでは、
達し得ない桃源郷がここにある。
まだ若いうちに、そのワインの優劣を語る事の愚かさを
改めて思い知らされたワインとなった。
4年前に飲んだ時、とてもこんな評価はできなかったから…。

091229_4角が落ち滑らか、熟成フランケンらしいミネラル感たっぷりの
ぬめっととした触感に包まれた舌が喜ぶ。
それでいてフルーティーさも失っていない。

実験的に1週間かけてチビチビ飲んでみた。
すぐに酸化するのでは…という恐れを抱きながら。
なかなかどうして、大丈夫。
7日後でも、十分に美味しさを維持できた。
安心して翌日に飲み残して良い、と断言できる
酒質の強さを持っている。

熟成、そしてその領域に達してからのパフォーマンス。
それは、高いレベルの造り手の本物のワインを、
惜しみないコストを費やしながら貯蔵した者に対して
神が下さる御褒美なのに違いない。

09-1016 並木道

2006 レザレ・ド・カントメルル
オー・メドック・AC(マコー)
Les Allees De Cantemerle
Hauti-Medoc A.C

091227_2外観は清楚。
人生の歩みを想わせる並木道。
風の音さえ聞こえそうな
ずっと続く道の向こうに
かすかに見える建物。
それは人生のゴールなのか、
それとも到達できない幻なのか。

エチケットにさえストーリーを感じさせるこのワイン。
栓を抜こうとソムリエナイフを動かした所で
その上質なマテリアルに驚かされた。

頭封はミニスカートのように短く、
綺麗な足のようにコルクが見えたが、
その長さがしっかり50mmと長く、質良く美しい。

グラスに注げば、濃く美しいルビー色。
綺麗な濃さで足にも色が残るほどの十分な色合い。

091227_3赤い果実に彩られながら追随する黒果味。
心地良い焦げ臭が緩やかに上昇、
後で明確になる。
レッドカラント、チェリーが華麗に浮きあがり、
まるで恋愛や仕事、楽しさと苦しさ…といった
人生の縮図を見せてくれるような気さえする。

酸は綺麗で少し強め、しかし嫌味は無く、
程良い量の旨味と、深い味わいで構成され、
ミディアム・ボディより僅かに重め、
ツボを得たポイントで楽しませてくれる、
まさに優等生のワイン。

人生の道を踏み外さず、適度に楽しみながら進んでいけば、
きっと、ゴールである宮殿に到達できるのだろう。

しかし、赤い果実の香に誘われて道を逸れ、
留まりながら味わいを楽しむと、違う世界を見る事になる。
時間が経って空気に触れて味が開くと、
ボディがより豊満になるようにさえ感じてしまう。

誰にも真似ができないような、美しい調和。
優等生は、心を惹き付ける苦悩と葛藤しながらゴールを目指す。
そして、到達できたものだけが、賞賛の言葉を得るのだろう。

09-1218 お買得赤6本セット

ヴァン・ルパン倉敷のお買得!赤6本セット
Set of delicious red wine
by Vin LePin Kurashiki

091227_1合計5,980円というと、
1本当たりが1,000円を切る事になる。
これが、実は、とんでもなく苦しい選択。
1本で考えてみると分かり易いけれど、
消費税だけで50円が削られる。
その他、税金関係があと400円程度。
と、いうことは、残額が550円。

その中で、美味しいワインを見つけ出す事が
どれほどの難しさか簡単にご想像頂けるだろう。

この価格帯で私が納得できるのは、本音を言って
1/500本で見つけられればラッキー…というレベル。
つまり、ここに並べるまで、どれだけのワインの
試飲を繰り返しているか?がご想像頂けると思う。

あくまでも、大前提は納得できる味!!
この価格内で、ベストを尽くし、選び抜いた。

プリマテッラ・シラーは、シチリア島産。
葡萄農家を徹底指導して質の高い葡萄を生産、
合理的かつクリーンな醸造を行い、巧みに仕上げたワイン。
分かり易い風味、しっかりしたボディ、
旨味一杯のシラー。

テラノブレ・メルロー。
タンポポをデザインしたラベルがかわいい。
内容は充実して、しっかりとした飲み応え。
樽こそ効いていないが、十分なタンニンとボディ。
チリにもバランスが良いワインがある…と感じさせてくれたワイン。

モンカロのロッソ。
ミディアムながら、巧みなバランス。
イタリアはやはりグルメの国…と納得できる
お料理との調和を楽しめるワイン。

カリニャン ヴィエイユ・ヴィーニュ ドメーヌ・ファバス。
お買得で美味しいワインなんて、フランスでは無理…
という概念を覆した、大豊作2005年産。
カリニャンは多産系だが、古木の最も陽当たりの良い畝=
ヴィエイユ・ヴィーニュからの収穫は、
十分な凝縮感と飲み応え・濃度を確保。
コイツは、旨くて濃い南仏。

コート・デュ・リュベロン ルージュ キュヴェ・スペシャル。
コート・ド・リュベロンの協同組合が造る、選りすぐりの樽。
…と言ってどれほどの物?と思うだろうが、ここのノーマルバージョンは、
ガソリンスタンドのように、ポリタンクを持って、ノズルから
放出して貰う…という買い方。
その中での選りすぐりの樽を瓶詰めしたもの。
決して大げさでなく、複雑さと飲み応えあり。

グラディウム テンプラニーリョ ホーヴェン。
某雑誌でも表紙を飾った『旨安ワイン』の代表。
スペインのラマンチャ産にありがちな土臭さはなく、
ミディアムちょいのボディで、美味しさ満載。
特にお肉などお料理との相性は最高。
もちろん、ワインだけ飲んでも美味しい!

…という6本。
税込み5,980円は、いかに選抜と考慮を重ねた結果か…
を御理解いただくに十分だと自負している。
ぜひ、お試しいただきたい!!

09-1203 姿を変えるワイン

2007 クロ・デュ・マルキ
サンジュリアン・AC
シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ
Clos du Marquis Saint-Julien A.C.
Un autre vin de Leoville Las Case

091220_1やや投げ遣りに感じる、
王冠と大きな英文字のエチケット。
1980年代終盤に飲んだ同銘柄ワインの
印象が良くなかったので、
個人的にずっと敬遠してきた銘柄…
《クロ・デュ・マルキ》

最も一級に近く、時として一級を超える
二級=レオヴィル・ラスカーズの
セカンドワイン。輸入業者の営業が
身を乗り出して薦めて来たので、
久々に向き合ってみる気になった。

「今、飲んで美味しいんです!!」
といくら言われても、
2007年は若すぎだろう、とまだ懐疑心を抱きつつ…。

091220_2が、グラスに注ぎ、外観を見ながら香った一瞬で、
ワインの存在に気圧される自分に気付く。

過去の記憶が間違っていたのか、
味利き能力が足りなかったのか、それとも
接した物のコンディションが悪かったのか、
あるいは、昔はそれだけのワインに過ぎなかったのか…
などと、思いを巡らせる。

尋常でない存在感に驚きながら懸命に分析。
香は黒系果実と樽からのヴァニラ。
そして口に含むと…クレーム・ド・カシス、森の下草、
コーヒー、カカオ、タバコ。
舌触りはトゲトゲしくはないけど、
若いせいかタンニンが辛い。
なのに、なぜかそれが心地良いという自分の中での矛盾。

091220_3力強くしっかりと膨らんでいくボディはほぼフル。
深い後味、ぐーんと長い余韻…。そして
鼻に抜けていく複雑な香が、止めどなく楽しませてくれる。
余韻が味覚側だけでなく、香の方もかなり長く続くのが印象的。

不思議なバランスの、力押しでない強引さ…
要素を分析するつもりが、逆にワインに与えられるように感じる
マゾヒスティックな快感。
それなのに、たおやかと同時に、気品をも合わせ持つ。
樹液が滲み出てくるような、果実味・タンニン・樽使いの絶妙さに
どっぷりと浸かった心は、捉えられ逃げ出せない…。

さらに付け加えたいのは、翌日の魅惑の豹変。
角が落ち滑らかに、そしてスパイシー&ハービーな香を内包しながら、
バランス感が上昇。一日にして、
数年の熟成を得たような美しい姿に進化。
そこには押し切るような強引さではなく、
一歩引いた位置で、こちらの動作に身を委ねる美しさ。

1日で飲みきるのも良し、
2日目に残してその変化の姿を楽しむも良し…

裏ラベルにある通り「もう一つのラスカーズ」と堂々と名乗れる、感動の一本。

09-1030 森の番人

2008 ツィリケン ザール リースリング トロッケン Q.b.A
ツィリケン・フォルストマイスター
Zilliken Saar Riesling Trocken
Zilliken,Forstmeister Geltz

091218_1ワインの造り手は、代々農民の場合だけでなく、
貴族や政府要職に就いていた家系も多い。
多くは、それを誇り高く記されていて面白い。
“枢密顧問”や、“帝国伯爵家”といった響きは、
何かしら荘厳でノスタルジックな気持ちになる。

このワインの造り手は、なんと
『森林マイスター』…
どうやら“森林監督官”という役職があったようで、
それを掲げている。

もしかしたら、雪に埋もれながらも常に緑を保つ針葉樹…
とラベルに対しても清く澄んだ印象を抱いてしまうのは
私の独りよがりだろうか。

近年、増加が報告されているコルク不良を回避する策として、
スクリューキャップを採用。品質の保持に余念がない。

グラスに注いだ液体は、極く薄い黄金色。
ほんの僅かだけ緑のトーンを持った外観。
香りは、柑橘系のグレープフルーツ・レモン・ライチ…。
ストレートな印象だ。飲み残して翌日になると、蜂蜜香が出たが、
開けたては隠れていて、さほど感じられない。
すっきりとシャープでスリム。新鮮な風味は、レモネードを
連想させるようなバランスだ。

ストレートだが、アルコール度数もそこそこ上がっていて、
後味も適度にあり、スッキリと切れ上がる。

温度が上がってくるとジューシーさが増して飲み易くなるので、
ゆっくりとお楽しみ頂くのも一興だろう。

森の番人とラベルに掲げるだけあり、清冽かつクリアーな印象、
でも木樽は使ってないらしく、果実の味わいが前面に出て来る。
設定温度は9℃付近。特に和食系のお料理と合わせたい辛口だ。

09-1217 おいしい赤のセットを…

ヴァン・ルパン倉敷の美味しい赤6本セット
Set of delicious red wine
by Vin LePin Kurashiki

1005set2美味しい赤のセット!
と言って、ボトルの写真だけ、
しかもワイン名だけでは、
売りたいワインを並べたんだろ…
と思われても仕方がない。
が、しかし、分かっていただきたい!!
安易に並べているのではなく、
年間3000本を試飲する人間が、何らかの
感動や衝撃を受け、試飲会やワイン会で、
また上々の反応を得たものばかりを組んだもの。

全くの本音として、これれらのワインは、きっと
「美味しい!」と言って下さる…その言葉を期待して組み上げたもの。
私の手元のレポートから、一部を抜粋して…とも思ったけれど、
実は、どれも心底お勧めしたいワインばかりなので、
記録を見ずとも書けてしまう。
私の心に焼き付いたこのワイン達‥・
この感動をみなさんと是非とも共有したい!!

091217_1■夢あすか
仲村わいん工房 [Non]

まず、日本のワインという事で偏見を持たれるだろうが、
飲まずに断じてはならない…とつくづく感じさせてくれるワイン。
仲村わいん工房では、最もベーシック・ラインとなるが、
それでも脈々とその技と心は詰め込まれている。

マスカット・ベリーAが主体ではあるが、
安易な知識と経験で味わえる領域には無いワイン。
でも、誰にでも美味しい!と分かるのが良いところ。
コストパフォーマンスは、世界水準にある。

091217_2■アリアーニコ・デル・ヴュルトゥーレ
バジリウム[2004]

アリアーニコは赤い果実の可愛らしさを持ちながらも
十分なタンニンと力強さを持ち合わせた南イタリアの
代表葡萄。
実はこのワインは、オーナーが変わる前の
トップ・キュヴェがセラーに貯蔵されていたもの。

新しいオーナーは、実力派だが、自分の目指す味とは微妙に違うため、
放出していまった…という、「ワケあり」品。
飲んでびっくり!すぐさま買える数を全数買ったワイン。
プロとして味わい的に判断すると3000円級の品質。

■モンテプルチアーノ・ダブルッツォ
ヴェレノージ・エルコレ [2007]
元来、コストパフォーマンスが良い銘柄だけど、
造り手によってそのランクが、大きく変動する。
この造り手の2006年のは凄く分かり易く美味。
しかしこの2007年、樽の香が強いかな?
と思いながら飲んでいると、45分以上経つと
かなりバランスが良くなってきた。
翌日に持ち越したら、更に良くなってた!
試しに1週間、チビチビ飲んでみたけど、
ヘタるどころか、ずっと元気の良い果実味が続き
最高の味わい。つまり2007年は、
翌日の方が美味しくなってしまうワイン…
と言えそう。
1日で飲みきる場合は、早めの抜栓か、
しっかりとデキャンティングを。

■グラディウム テンプラニーリョ クリアンサ
ボデガス・カンポスレアル [2006]

スペインのラマンチャのワイン。
この下のグレードのホーヴェンでもブッ飛んだけど
(リアルワインガイドの↑表紙になったようですな…)
このクリアンサは輪をかけて凄い。
某米国評論家が、90点を付けた…とうのが納得できる濃度。
凝縮感、果実味、樽などの風味。ボディもフルで
アフターテイストがしぶとく続く。余韻も長い。
これは、超旨安時代のスペインを思い出させる内容。
焼き肉なんかの時に、使ってみたいパワフルワイン。

091217_3■ラ・ミシオン カベルネ・ソーヴィニヨン レゼルヴァ
ウイリアム・フェブレ[2007]
シャブリの造り手として知られるWフェブレがチリで造る赤。
フランス人が、そして白しか造らなかった名手が仕上げる…
となれば、自ずと期待も膨らむ。
マスプロダクトで、米国人に媚びたような造りでは無いのだ。
ちゃんと、造り手の意志を反映させて造るカベルネ。
ボディもしっかり、樽も米国系だがしっかりと風味を支え
飲み手をエキゾチックな世界へと誘ってくれる。
ちょっとそこらのチリとは違う…綺麗なバランスを持っている。

■コート・ド・リュベロン グラン・マレノン ルージュ
セリエ・デ・マレノン[2004]
ボディは、ミディアムから僅かにフル側に寄った程度。
しかしこのワインの複雑さと、絶妙な調和感は凄く魅力的。
造り手は、巨大な組合で、近くの人は灯油タンクを携えて
ガソリンスタンドのシステムで、セルフでワインを買う。
そんな造り手のトップキュヴェがこのグラン・マレノン。
フランスの評論誌=ギド・アシェットで高評価を得て、
造り手はそれを誇りにしている。
大量生産?いやこの繊細さと旨味、そして調和は見事。
ミディアム・ボディはお料理との相性も極めて良い。
力押しでない、美しい風味…難しそうで我々は
簡単に理解できるように思う。

一つずつを思い出しながら書いても、すべてが記憶に残るほど
印象的かつ高品質。
ソムリエ&シニア・ワインアドバイザーが選りすぐったワイン、
完璧に管理されているヴァン・ルパン倉敷のセラーからお届けします!

09-1212 十字架山。いつの間にか引き込まれていく…

2008 クロイツベルク シュペートブルクンダー
クオリテーツヴァイン トロッケン
ヴァイングート・クロイツベルク
Kreuzberg Spatburgunder Trocken Qualitatswein
Weingut H.J.Kreuzberg

091212_08旧来赤ワインが有名なアール地方、
その中でも近年注目を浴びている造り手。
ケラーマイスターは、ヘルマン・ヨゼフ・クロイツベルク。
所有面積は8.5ha、シュペートブルクンダー70%を筆頭に、
ドルンフェルダーやポルトギーザ-など、赤品種をメインに栽培。

ゴーミヨ・ドイツワインガイドでは3房を得ていて、
その実力の高さは間違いない。

とりあえず、ベーシックなシュペートブルクンダー。
この造り手の看板とも言える銘柄をテイスティング。
コルクはシンセティックだった。

091212_09外観は若さを感じさせる紫のトーンを持つ赤。色彩的には薄め。
近年のドイツでも濃いワインは多いが、
この造り手は、外観よりも味を追求したのだろう。

香は、赤い果実…チェリーやストロベリー、
樽がよく効いていて、森の下草、ヨードなど。
さらに茹で小豆、ハーブ、杉の木。
時間が経つと柑橘のミカンのようなニュアンスも現れる。
樽の使い方が深い。

スタート時点では超微弱発泡、
外観は薄いが、味構成は決して薄くない。
ボディ自体は軽やかで、ミディアム(ちょいライト寄り)だが、
深みが十分にあり、旨味も多く、薄っぺらでなく飽きさせない。

091212_10いつの間にか引き込まれている自分に気付く。
ピノノワールはさほど好きでは無かったが、
ドイツのピノノワールに次々と接し、
その美しくも控えめなキャラクターに触れ
ついには虜となりつつある…ような気がする。

味わい(と言うよりも造り)の根底に、
手抜きないGerman の魂を感じるからだろうか。
それとも、ブルゴーニュのピノが苦手とする
海苔や蕎麦、焼き魚などの和食と
なぜかしら合ってしまうからだろうか…。

いずれにせよ、このワイン、軽やかながらも深い。
薄い外観ながらも旨さが詰まる。
繊細でいて、複雑な構成。
これこそが、和食ととのマリアージュを可能にしてしまう
秘密なのかも知れない。

09-1212 究極の一番搾り

2004 フーバー ピノ・ゼクト ブリュット
ベルンハルト・フーバー醸造所

Huber Pinot Sekt Brut Jahrgang
Weingut Bernhard Huber

091212_03収穫した葡萄を搾る最初の一搾り、それがフリーラン。
純粋無垢なこの液体、雑味が無く
有無を言わさぬ美味しさ。
しかし、美しい外観の赤ワインを造る為には、
その透明感が邪魔をしてしまう。

特に、ピノノワール単一で赤ワインを仕上げる時、
この一番搾りをどう使う?という点が
ワインのキャラクターを決定する。

091212_04例えばベルッヒャー醸造所
多分、外観の色が薄くなっても良いと考えている。
だからフリーランもワインの原料として使う。
色は薄いが、旨味と味わいが十分なスタイルに
仕上がっている。

例えばゲオルグ・ブロイヤー醸造所
ほとんど白の『ジュー』というワインを造る。
(ヴァイスヘルプストというカテゴリー)
ピノノワール100%で、この旨味も圧倒的。

091212_05そしてこのベルンハルト・フーバー醸造所。
究極の一番搾りは、ゼクト(スパークリング)の
原料とする。

ピノノワールで、世界トップの一つとなった同醸造所。
その秘密の一つは、
『トラウベン・ハルピエーレ』(収穫半分)。
葡萄の房の数を間引くだけでなく、その房自体を
部分的に切り落としてしまう。
横に広がる1/2程度、下は2/3以上。
従って、半分などでなく、残る房は卵程度。
091212_06この選びに選んだ葡萄の、
そのまた一番搾りで造ったゼクト。
当然、原材料は極く限られてしまう。
動瓶や澱抜きなどの行程すべて手作業、
貯蔵期間が長いので、収穫からリリースまで
4年以上を費やす。
(現時点の最も新しいワインが2004年産)

当然生産数は僅かなものになり、一本一本、
奥さんのバルバラさんの文字が書かれる。
地味だが、心を込めたその文字が、ロゼ色に映えて美しい。

091212_07先日、大阪で有名ソムリエ達に飲ませた所、
「これはいくら?一万円以上?」
「この繊細さと旨味は凄い」
「ややガスは弱めだが構成が緻密で素晴らしい」
と絶賛され、やはり分かる人には分かるのだ…
と自信を持った。

華やかなステージも、有名人のパーティーにも
使われることはないこのゼクト、
品質を求め続けた本物を理解できる方にこそ
飲んで戴きたいと考える。

きっと造り手もそう考えているに違いないから…。

09-1212 この店、オススメです!

鉄板 クーヤ
TEPPAN KUYA

ku-ya1たこ焼き屋さんから進化した鉄板焼き屋さん…
と単純に認識していたら大間違い。
B級グルメのカテゴリーと見ようする向きもあるだろうが、
本質的には、味を徹底的に追求する、A級プレイヤー
と認識すべきだと、私は心底感じている。

何と言っても、ワイン屋である私に、依頼してきた言葉が
その根底に流れるものを物語る。
一般的な店は、「この程度の金額で…」とか、
「~円以下で納入できるワインを」
というオーダーでワインを選んでいく。
しかし、ここのオーナーは、全く違うアプローチでの依頼。
「美味しいワインを」そして
「お客が喜ぶワインを」…なのだ。

この依頼を聞いた時、私の心は燃えた。
ku-ya2できる限り、美味しいと感じて貰えるものを選ぼう…
と考え、納価が高くてもそちらを選んだ。
この点で店の利益の確保よりも、お客様の喜びに
心が向けられている事にお気づきだと思う。

私は、それ以外の深い部分は分からないが、
この店が、食材などに対しても、そういった
仕入れをしている事が容易に想像できる。

ku-ya3そうやって揃えられた食材を、ハートで調理する。
この時点で既にB級などとは呼べない、
グルメな世界なのである。
たこ焼きが登場する…というだけでその本質は、
料理人の最も進むべき道を邁進しているのだ。

ならば、それをサポートし、より美味しく
お料理を楽しめるワインを選ばねばならない。
ただ、異質にも感じる食材を、どうワインと調和させるか…という点については、
かなりの難易度と言えるだろう。

ku-ya5
ku-ya4でもそれこそが、私の腕のふるい所。
グラスの液体が、運ばれてくるお料理と調和する、
もしかしたら意外にも感じるその組合せが、
食べてみると、見事なマリアージュ…
お客様の顔を笑顔に変える。

最高の活躍の場をいただいた!
と、今、喜んでいる。

ぜひ、お立ち寄りください。そして
ぜひ、ワインとの調和をマスターのお薦めでお試し下さい。
そこにはきっと、未体験のマリアージュが存在する!?に違いありません。
『がんこおやじの手造りわいん』飲めます!

TEPPAN KU-YA
岡山市北区野田屋町1-1-17 TEL 086-224-8880

09-1203 今月も来た!シェフのお料理!

2007 ヴァン・ド・ペイ・ドック シラー
ポール・マス

Vin de Pays d’Oc Syrah
Paul Mas

倉敷美観地区の入り口にあるフレンチ・レストラン「フテューラ・フルール」。
ここのシェフ、お料理&ワインのマリアージュに殊の外熱心だ。
今日も休憩時間を利用して、湯気の立つ次のランチメニューを御持参下さった。
091204_1お料理は、仔羊のロースト ナヴァラン風。
元来この料理は煮込みだが、シェフ自身が
‘焼いた肉が好き’…
ということでアレンジ。仔羊のローストに
ナヴァラン風の蕪(かぶ)のソースを使ったもの。

ローストした肉からは、風味が立ち上がり、
肉汁が湧き出す。
その風味を好き…というのは、
肉好きの私としても非常に良く分かる。

091204_2そしてこのソースだ。
ナイフを入れ、口の中に入れると
色んな味わいが現れる。

お約束で選ぶなら、ロワール川流域の赤、
とちらかと言えば、少し軽めに仕上がった
ソミュール・シャンピニーのようなものを
考えるのが妥当なのかも知れない。

しかし、やや悪い年のカベルネフランは、
少し青臭さが出て、バランスが取れるのかも
知れないが、そういった痩せたスタイルは、
ワイン屋とすれば、敬遠してしまうので
該当在庫が無い。

091204_3ならば良年のシノン?と思いを巡らせる。
しかし、それだと原価が高くなり、
気軽に楽しんで貰いたい…という
シェフの思いから外れてしまう。

ということで、味わいから頭に浮かんだのが
ラングドック地方の巧者、シラー好きの男、
ポール・マス氏の造るこのワイン。

「シラーは臭いでしょ?」という私の問いに、

091204_4それは、造り手が下手だからだ。
心を込めて育て、上手く醸造させれば
心地良い香しかさせない品種だよ!
と、かつて倉敷で会食を共にした時の
彼の言葉が頭を過ぎったから。

グラスに深く濃い色合いの液体を注ぎ、
お肉の後を追いかける。
ペッパーの香ばしさ、美味しい肉汁、
さらにソースの蕪の風味…
覆うように黒系果実、滑らかさとタンニンが
巧みにハーモニーを奏でる。
次々と現れては消える、味の調和に
しばし声を止めながら…ゆっくりと楽しんだ。
少し羊は苦手…というWifeも、
「わぁ~、これは美味しい!」
思わずシェフもにっこり。

お料理を目の前に据え、2000種類のワイン在庫の中からの
最適な選択。
ここまで裏でやってることを、きっとお客様は気付いて下さる。
そして一言、最も期待する言葉を言って下さるはず…

そんな思いを込めてのコラボレーション・チョイス。
12月も楽しんで下さいね。