08-0427 蒜山ワイン ニュー・リリース3

今回のひるぜんワイン『2006年・山葡萄・樽貯蔵』は、
ティスティングでは、前にに書いた通り、
『ボディはライト寄りのミディアムでスリム』
なのは間違いない。

余韻部分も、強めなものが口を支配するのではなく、
控えめな、超低空飛行ながらも広がりある後味が、
止めどなく持続する…というスタイルだ。

セオリーならば、ライトな食事に合わせる…と奨めるだろう。
しかし、ヴィティス・コワニティエは、存在が違う。

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鳥の手羽・甘酢煮が冷蔵庫に残っていた。
タレの部分は煮こごった状態になっている。
結構、煮詰まって強い味になっているので、
面白がって試してみた。が、
押し切ったのはひるぜんワインの方だった。

口に入れる食材が少なかったか?と再度挑戦するが、
食材の多寡ではなく、存在としてワインが勝る。
ボディがライト寄りと言っても、
強い食材に合わせても、決して負けない。
まるで巨漢を、細身の女性が一本背負いで投げる印象。

柳は決して折れない?いや、そもそも弱いのか、この色彩で…
と、心の中で存在が膨らんでいく。
これこそが『和』のイメージなのだろう。

やってみなければ分からないマリアージュの世界、
ひるぜんワインの相手は、もっともっと
広くに求めなければならないのかも知れない。

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『2006年・山葡萄・樽貯蔵』

山葡萄、ヴィティス・コワニティエ。
誰にも似てない孤高の存在。

だからこそ、可能性は無限大と言えるだろう。

08-0422 蒜山ワイン ニュー・リリース2

『今迄で最高品質の“ひるぜんワイン”』
と感じられたこのボトル、正体は何なんだ…
と植木さんに問う。

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すると、2006年産の樽貯蔵分を実験的に残し、
少量だけ9ヶ月間貯蔵し、ブレンドしたもの…という。

ブレンドと言っても、セパージュはこんな状態。
2006    ヤマブドウ樽貯蔵    92.31%(→面倒なので93%と表記)
2006、2005 ヤマソービニオン樽貯蔵  7.69%(→7% 〃 )

一般的な表記をするならば、

『2006年・山葡萄・樽貯蔵』
として問題は無いし、ヤマソービニオンのブレンドを
表記する必要は無い。

香が複雑で豊かだった理由は、
樽貯蔵を9ヶ月間という長期間行ったという点、そして
93%の比率であるヤマブドウを入れた樽は、単一種類でなく
3種類使ったからだろう。

その3つの樽は、フランス産アリエを2/3(製作所が異なるものを1/3づつ)、
アメリカン・オークを1/3である。

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前回のテイスティング・レポートで
『余韻の中にも樽のヴァニラ香が絡みつきながら伸びる。』
と表現した風味は、この辺りに秘密があったようだ。

それも、未踏の期間=9ヶ月という長期樽貯蔵に挑戦するのは、
造り手としては冒険と感じたのか、
生産本数はわずか50箱のみである。

ヤマブドウで造るひるぜんワインが、
繊細な構成なのは間違いない。
色素は息を飲むほど濃く、ポリフェノールは多いのだが、
その線が細くも感じるボディのワインを
どの程度樽貯蔵できるか…は、
非常に難しい所である。

が、少なくとも今回の完成品は、
成功と呼べる領域に達している。

ただし、ひるぜんワイン醸造所は、この50箱の樽貯蔵バージョンを
2007年ヤマブドウワインをリリースするまでのつなぎ…
としか考えておらず、
いつから出荷するかは返答が無かった。

そこで、折角の品質を知った私としては、
無理を言って少数を瓶詰めして貰い、入荷した。
まだ、出回っていない

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『2006年・山葡萄・樽貯蔵』

である。
通常の3ヶ月熟成のものと区別するため、
こんなラベルを裏に貼った。

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やっと、岡山のワインとして胸を張って出せる物が
生まれてきたようで、自分としても嬉しい気持ちで一杯である。

08-0413 蒜山ワイン ニュー・リリース

年々確実に内容がステップ・アップしている蒜山ワイン。
造り手の植木さんからティスティングの依頼が来た。

毎度ながらこのスタイル。
素っ裸で、ラベルも何もない。
添付データも付いてこない。

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何かを当ててみろ…という事ではなく、
純粋に味だけの評価が欲しい…という事なのだろう。
さらに今回は、できれば…という事で
5房の巨人=ベルンハルト・フーバー氏にも
コメントが貰えぬか…という依頼も付いていた。

フーバー氏が、予定時間より早い到着となり、
時間的余裕ができたのでお願いした。
フーバー氏は、笑顔で快諾。
グラスに注いでみるとエッジに、少しレンガ色。
…これは、2007年ではないな…とは、すぐに分かる熟成色。

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グラスが大きいこともあったが、
香を嗅いだフーバーさん。
「これは、良い香りだね」
と一言。
そして結構期待を持って見えた横顔で口に含んだ後、もう一度
「良い香りだ…。」
と言って終わった。

つまりは、ボディとかフィニッシュに、彼の賛辞は無いという事である。
まぁ、5房という世界のトップレベルだからしょうがない。

では、仕事柄、ありとあらゆるレベルのワインを経験する私が、
ティスティングさせて戴こう。

まずは外観。
エッジにかすかにレンガ色がある。
しかし中心部分は紫色。
まるで過去と未来が同時に存在するような、相反する要素。
さらに透明感と美しさも持っている。
不思議な気持ちにさせられ、期待感をそそる。

世界の頂点の一人、フーバー氏が褒めるだけある香。
樽に起因するヴァニラ。しかも構成要素が一つでない複雑なオーク香。
果実は赤系の印象。
そして何よりも山桃の香り。
これがヴィティス・コワニティエたる山葡萄の特質なのか。
さらにグレナデン、オレンジ、夏みかんの渋さ。
独特の要素が構築していく香は、『ひるぜんワイン』だけが持つ世界。
香の固有性と複雑さは見事であり、
世界の巨人が褒めた事も納得ができる。

醸造にあたって減酸をしっかり行ったと言うが
依然として十分な酸が要素として存在する。
しかし、数年前の、耐えられないほどの酸はナリを潜め、
酸が一つの骨となり、全体像を構築していく。

ボディはライト寄りのミディアムでスリム、
しかし味の余韻は、思ったより長く、ゆったりと続いていく。
余韻の中にも樽のヴァニラ香が絡みつきながら伸びる。

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飛びっきりとは言わないが、エレガンスを感じられる。
山葡萄、ヴィティス・コワニティエ。
誰にも似てない孤高の存在。
『東洋的』と表現したいエキゾチックなスタイル。
フーバー氏も褒めた香の良さ、静かに続く余韻は見事。
ここ数年で、よくこの進化を得たな、
と感動させてくれた仕上がりだった。

08-0809ベルンハルト・フーバー来訪記念[31]赤2.マルターディンガー

┏━┓┏1.ユンゲレーベン
┃赤┣╋2.マルターディンガー
┗━┛┠ (アルテレーベン)
┗3.レゼルヴェ

次は、2.のマルターディンガーだ。
当然ながら、1.ユンゲレーベンより、重くなる事を想像する。

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マルターディンガー シュペートブルクンダー Q.b.A トロッケン[2004] 750ml

しかし、テイスティングしてみて、
ウエイトだけに観点を絞れば、ほぼ同等なのである。
段階的に重さが上昇する…と思って飲んだ人には
少々肩透かしだったかも知れない。

だけど、このグレードこそが、古の時代とはいえ、
世界を席巻したクオリティ。
フーバーさんの説明がワインの中に織り込まれた
緻密な構造と、その深い歴史を解き明かしていく。

当然ながら、ユンゲレーベンよりも樹齢が高いものを使う。
12年~20年だ。
しかし、これだけでは、即、インパクトを与えるほどの味覚差は
明確にできない。
そこで、お約束の王道、単位収穫量の絞り込みを思い切って行う。
20%程度…と説明するが、これで
より土壌と気候を凝縮したワインになる。

濃度でなくミネラルなどの風味がもたらす複雑さ、
パワフルさでなく深みが語りかけてくる。
樽も強さでなく、絶妙なバランスを受け止める事になる。

このマルターディンガーこそが、ある意味、
最もテロワールをストレートに表現したものとなっている。
それだけに、このグレードは、徐々に進化しているユンゲレーベンに比べて
より大きな振幅を持ちながら進化してきたように思う。

マルターディンゲンの丘で繰り広げられた四季折々のストーリーが
遠く離れた異郷で繰り広げられる一瞬。

陽の光が、風が、雨が、冴え渡る空気が、湿度が…
織りなす交響曲を背景にして、
舌の上で繰り広げられるピノノワールのダンス。

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口数少なく武骨に見えたこの指揮者は、
実は世界中の誰よりも繊細でロマンチストなのかも…
と感じさせてくれた一瞬だった。

[To Be Continued…]

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08-0808ベルンハルト・フーバー来訪記念[30]赤1(2)ユンゲレーベン

┏━┓┏1.ユンゲレーベン
┃赤┣╋2.マルターディンガー
┗━┛┠ (アルテレーベン)
┗3.レゼルヴェ

フーバー醸造所の生産ワインは、
本来は上記のように2.と3.の間に
アルテレーベンというグレードがあるが、
予算と時間の関係で今回のセミナーでのリストからは割愛。

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まずは、赤1.(レジメでは4番)のユンゲレーベンについて…である。
同醸造所のベースラインであり、樹齢は4~12年。
単位面積あたりの収量は60~65hL/ha。
この収量は標準的なレベルと言って良いだろう。

「上(葡萄の房)は思い切ったも剪定をしているが、
根はまだ思うほど下まで伸びていないと思ってる。」

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…とフーバーさん言うのだが、植樹3年目の収穫から、
かなりの品質を造り出すワイナリーは、近年ではそこそこある。
ましてや樹齢12年に近づいた、慈しみで育てた樹々達である。
低レベルであるはずはない。
フーバーさんが、「思うほど下まで」伸びる…というのは
一体どの程度を言うのだろうか。

醸造法は伝統的な醸し発酵。
寒いドイツだから何か特殊な事を行うかと思ってたが
それは一切なかった。
発酵温度は28~32℃の温度。

「ドイツなのこの色の濃さは!」…なんて言うのは遙か昔。
このセミナーに参加した人達は、当たり前に
ブルゴーニュ・ワインと同じレベルで見ている。
いや、それ以上の一般的な赤ワインとして見ているのだ。
だから気づいてないのだけれど、この色の濃さはスゴい。

ピノノワールは潰しても透明な果汁しか出てこない。
赤い色を付けるには醸し発酵が必要だ。
フーバー醸造所では果皮を漬け込むのは22~24日間。
普段の年は徐梗を行うが、年によっては残す事もある。
発酵が始まると1日3回果帽を突く。

発酵すると熱が出て、これによって色も出る。
醸造所によっては人為的に温度を上げ、より色を出させる場合もある。
が、フーバー醸造所では一切そういう事は行わない。
それが素直で美しくクリアーな風味の秘密。

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ユンゲレーベン

ユンゲレーベンは、ブルゴーニュ・ルージュと同じランク…
とセミナーでは説明したが、価格的にも3,990円(税込み)で、
一般的なそれより1,000円ほど高い。
しかしその高さは間違いなく品質に現れている。

もしフーバー醸造所のワインを知ろうとするならば、
ベーシック・ラインながらこれほど適役はない…
と私は思うのだ。

[To Be Continued…]

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08-0612ベルンハルト・フーバー来訪記念[29]赤1(1)・取り憑かれた人達

白の強力ワイン、シャルドネが登場した後は、
物議をかもした?ミネラルウォーターで口をゆすぎ、
赤へと入っていく。

現在、全ドイツの栽培比率で見ると、赤が30%超の状態だが、
フーバー醸造所は70%で、いかに力を注いでいるかがわかる。
それもすべて、シュペートブルクンダー=ピノノワールである。

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この葡萄の虜になる人ばかりを見えてきた。
それほど力強くないボディ、
冷涼な気候を好み、栽培の難しさは超一級。

なぜそれほどに、この葡萄に一生を賭けるのだろうか…
とさえ思える。
もっと栽培が容易で、収益も上がり易い葡萄はあると思うのだが、
この葡萄造りにはまり込むDNAは、遙か昔から用意されていたのか…
と思えるほどに、人を虜にしていく。

現在のブルゴーニュワイン・フリークしかり、
ニューワールドでも次々と発表されるピノの生産者しかり…である。

でも何と言っても、まずはシトー派の僧侶達である。
冷涼な場所での活動が多かったとは言え、
必ずいつもピノノワールなのである。

ブルゴーニュから、ドイツのバーデン地方にやって来た彼らは
テネンバッハ修道院を建立する。
1285年の事である。
ピノノワールの聖地として発見した!とばかり
彼らはここを中心に布教活動を行っていく。

しかし、その修道院より約7kmの場所に、より理想的な
赤い土壌を発見する。
彼らは、迷うことなく寄宿舎を建てた。
その場所こそが、現在のフーバー醸造所のある場所。

彼らは常に世界最高のワインを目指した。
テロワールによって独自の風味を得る事も理解し、
より良い味・香になれば、更に品質を高める造りをしたに違いない。
品質の高さから遠くバイエルン(現オーストリア)にも
輸出するようになっていたのである。

便利さに慣れた現代とは全く違う流通、
厳しく困難な輸送をしても価値があり、
またそれを求める人(当然ながら王侯貴族)が居た…という事である。

王侯貴族達は、その品質に対し、当然ながら
呼び名を与える事になる。必然的に、
「マルターディンガー」。

それは、マルターディンゲン村で(ピノノワールを使って)造られる
当時最高の赤ワイン。

ブルクンドのピノノワールが、権力の狭間に揺れ動く中、
ひたすらに品質だけを求めるマルターディンガー。
国外から見れば、同じ葡萄と同レベルの技術だったとしても
どちらが魅力的だったか?は想像に難くない。

そして、ワガママな王侯貴族達は、
本来は地名を表していたこの言葉を
葡萄品種名にもしてしまう。

「マルターディンガー」
この名がピノノワールのシノニム(別名)だと知った時、
フーバーさんは心に誓う。

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「百年後でも構わない。“マルターディンガー”が
葡萄品種名として世界に通用するようにしたい。」

ここにもまた、ピノノワールに取り憑かれた人が居た。

[To Be Continued…]

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08-0521 ベルンハルト・フーバー来訪記念[28]白3番 その2

ドイツのシャルドネは、1989年迄は不遇な境遇下にあったので、
セミナー参加したプロにとっても「初めて」…という人が多かった。
まだ輸入量も少なく、存在はマイナーだから仕方がない。

しかし、コート・ド・ボーヌと酷似するテロワール、
さらに1954年に植えた、樹齢50年を越す古木、
加えて厳しく収量制限を行い、貯蔵は新樽225リットルである。

これだけのスペックを、当代随一のフーバーさんが仕上げるのだから
品質が、メジャーにならぬはずはない。

分厚いボディ、溢れる果実味。
新樽の風味が、味を引き締める。

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フーバー シャルドネ Q.b.A トロッケン 750ml

フーバーさんは、合わせるお料理は、
ホタテのお刺身、バター焼き、
脂の乗った白身魚を指定。
先程のヴァイサーとは違って、
お料理を選ぶ個性が出ている。

前のヴァイサーブルクンダー、このシャルドネ、
両者とも口に含んだ時「苦み」があると言う。
その味構成こそがフーバーさんの造りたいものであり、
お料理と合わせる…という命題に取り組んで
仕上げているのは同じと主張した。

つまりは、95~99%のシチュエーションで、
お食事と合わせて欲しいものである。
そしてもし単体で飲むならば、5~7年は寝かせて欲しい。
酸・風味が円やかになった時に飲んで貰えれば、
よりお楽しみ頂けるだろう…と言った。

と、ここで参加者から質問が出た。
「“苦み”とは一体どういった要素から得られるのか?」

実際、まったりとパワフルなシャルドネ辛口の構成要素が成っており、
このフーバーさんのワインだけが、“苦み”と呼ぶものを
特別に感じさせるものではない。
だからこそ、この質問が出たような気がする。

フーバーさんが答えていわく、
「その味わい(苦み)は土壌からくる。
白ワインも漬け込むと苦み成分が抽出する。
何となく塩っぱいよう(←ミネラル?)が、
“苦み”と感じさせるのかも知れない。」

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複雑なミネラル風味がもたらすボディから後味への広がり、
その中には確かに、ほのかに“苦み”があるのは間違いない。
その味覚をピックアップして、表現したものらしい。
客観的なテイスティングでは、苦みと言うよりも、
ググッと締めながら続いていく後味、そして
力強く切れ上がるフィニッシュによって、この言葉を使ったのかも知れない…と感じた。

このシャルドネは、瓶詰め後、2年経って出荷しているが、
リリース直後はまだ飲むには若すぎる。
先日、1994年シャルドネを、ある会場で飲んだが、
極めて良い状況になっていた。
14年経って、そういった状態になるワインだからこそ、
できれば、5年位は置いて欲しい。
そうすれば、より実力を発揮する事が保証できる…との事だ。

2004年 シャルドネ。ちょっとばかり幼児虐待だったようだ。

[To Be Continued…]

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08-0519ベルンハルト・フーバー来訪記念[27]白3番 その1

白の3番目は、樽発酵、樽貯蔵の、

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フーバー シャルドネ Q.b.A トロッケン 750ml

である。

ドイツでは不遇な葡萄であったシャルドネ。
1989年までは、この葡萄を使うと、どんな銘醸畑で、
どれほどの醸造家が造っても、
最下級のターフェルヴァイン(ヴァン・ド・ターブル)と扱われた。

いかにレベルを上げても、良いワインと認めて貰えない葡萄を
好んで植える栽培家・醸造家は居ない。
しかしフーバー醸造所では1954年から植えられていたのである。

この年、マルターディンゲン村では
畑の葡萄の多くを植え替えた。
ヴァイサーブルクンダーへの改植を行ったのである。
苗が全く足らず、ブルゴーニュの業者に買いに行った。

それを植えたのだが、苗木の一部(と言うより多く)が
収穫量が低く、香りがヴァイサーブルクンダーの物とは違う…
と誰もが感じた。
この改植を失敗と判断し、1960年~1970年に引っこ抜いて
植え替えたという記録がある。

このブルゴーニュの業者から買った木は変だ…
という事で、フーバーさん自身は勉強して、
何の品種か?をつきとめようとした。
最初は、“モスカート・ヴァイサーブルクンダー”か?
とも思っていたが、どうも違うと感じていた。

彼自身、薄々気づいてはいたのだ。
ブルゴーニュの苗木業者が多く持っている白の葡萄…
研究機関に出して検査すると、案の定“シャルドネ”。

なんと、この1954年に買って来た苗の
3割のみがヴァイサーブルクンダーとオクセロワ(ヴァイサーと酷似)で、
残り7割がシャルドネだった…という、
フランスの業者のいい加減さを露呈する事件だった。

この苗から育った樹は、1990年まで、
「変なヴァイサーブルクンダー」として抜かれ続けた。
しかしフーバー醸造所では、根が張っていくので抜かなかった。
父親が残してくれたのだ。

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この父親の英断に、フーバーさんは感謝していると言う。
飲む側の私としても、フーバーさん以上に、
こんなシャルドネを造る木が抜かれなかったのは
とても幸運だったと強く感じる。
飲めば押し切られそうな、パワフルな果実を実らせる樹だ。

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08-0517ベルンハルト・フーバー来訪記念[26]白2番

次に出されたのは、ヴァイサーブルクンダーである。

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フーバー ヴァイサーブルクンダー Q.b.A トロッケン 750ml

このワインは、発酵はステンレスタンクだが
熟成の1/3は樽、2/3をタンクで行い、
乳酸発酵の工程がきっちりとあり、仄かな樽香を持つ。

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日本料理に合わせると極めて相性が良い。
造り手さえ驚くほどの調和の美を見せる。

天麩羅、ニシン蕎麦
刺身、寿司、雑炊…

次々とカテゴリーの違う日本料理と合わせた。
しかし何の抵抗もなく、全てが美しいマリアージュを楽しめたと言う。
そう言うと、大まかな判断…と感じてしまうかも知れないが、
実際に両者は、高次元で調和してしまうのである。

わさびも大好きだと言うフーバーさん、通訳が
造り手が好きな風味がワインにも反映されていくのかも知れないですね…
確かにその通りなのだろう。

でもそれ以上に、人柄がワインにも反映されているようだ。
控えめで穏やか、饒舌ではないが確実な言葉。
ただの“地味”と、努力と自信に裏打ちされた“無口”は
全く意味が違う。
それがワインにも、明確に息づいていると感じた。

フーバー醸造所のすぐ南には、
フライブルグという大きな街がある。
四国・松山市と姉妹都市だ…と言うと、会場から

『今日は松山から来ました!』
という声が上がる。小さい会場だけにライブ感十分。
倉敷まで、電車を乗り継ぎ、瀬戸大橋を渡って来た方に拍手がおこった。

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松山からおいでのT氏

この街で有名な「芭蕉庵 椿」という日本料理店で、
最も飲まれているのは、このヴァイサーブルクンダーだそうだ。

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フライブルグまで10kmチョイ

8度目の来日のフーバーさん。
来る度に日本が好きになると言う。
日本料理に合わせると、なぜこんなに合うのか?
が不思議でならない…とも。

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ハーフ瓶もあります…

『何と合ったかを言いたいが、料理の名前を覚えきれなかった』
と言う顔は、努力と自信に裏打ちされている…と十分に感じ取れた。

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08-0516ベルンハルト・フーバー来訪記念[25]白1番

今回のセミナーは、小さな会場だけに、
造り手と同じ部屋の空気を共有する、というライブ感がある。
それ以上に、テイスティングしながら造った人の
ナマの声が聴けるのだからより一層印象が強くなり、興奮も高まる。

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その辺りを、フーバーさんも心得ているようで、
通り一遍のスライドを短く切り上げた後、
ワインを飲みながら、講演を聴くことになった。

さすが来日8度目のフーバーさん、
『乾杯!』も日本語だ。

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今回のラインナップは私が考えたものだが、
それを見て、「良いレイアウト」と一言。
彼の造るワインをきっちり系統立ててあるからだろう。

┏━┓┏1.ステンレスタンク醸造
┃白┣╋2.ステンレスタンク発酵、樽貯蔵
┗━┛┗3.樽発酵、樽貯蔵

┏━┓┏1.ユンゲレーベン
┃赤┣╋2.マルターディンガー
┗━┛┗3.レゼルヴェ

まずは、白の話である。
1.ステンレスタンク醸造の

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フーバー リースリング&ミュラートラガウ Q.b.A トロッケン 750ml

品質は極めて高いものの、最も安いものでも、3990円からの価格設定…
という事では、一般の人が接するのはなかなか難しい。

そこでできるだけリーズナブル・プライスにして、
まずは飲んで、その良さに触れて貰う…という
ヘレンベルガー・ホーフ(輸入者)からの依頼によって
造られた、日本限定販売の銘柄である。

ステンレス・タンクによる発酵・熟成により、
フレッシュ&フルーティー。
綺麗な酸、そしてエレガンスを求めての構成。
だからマロラティック発酵は行っていない。

ほんの僅かの、モーゼルのワインを彷彿とさせる微弱発泡は、
液体をいかに大切に扱ったか?…の証明になるものである。
ポンプなどを使うと、この小さな泡は消えてしまうのだから。

前菜や軽い食事に合わせて欲しい…という言葉通り、
オールマイティながらも、比較的ライトに仕上がった
辛口フルーティー・ワインである。
もちろん、「フーバー醸造所らしさ」も決して忘れていない。

クリアーなこのワインで、テイスティングは始まった。

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