06-1209 蒜山ワイン5 HILLZEN 山葡萄[赤]2006

テイスティングの2番

2.HILLZEN 山葡萄[赤]2006

これがひるぜんワインのトップ銘柄、
従ってテイスティングの真打ちである。

コルクはロゼと違って面取りされておらず、
ある程度の熟成の可能性を持つ事も示唆しているように感じる。

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グラスに注いだ時、息を飲んだ。
今までに経験したことが無い美しさ。

深く、濃く、艶やかで美しい。
紫を含みながらも赤。
その色彩の深さは深海へ至るほど。
外観を5点満点で採点をしているが、間違いなく満点。
突出した外観。
清澄度・色彩美・輝き、流れるような碧の黒髪が陽の光で光彩を放つ…
そんな神秘的な印象さえある。

グラスからの香は、
チェリー、ベリー、野いちご、プルーンなどのアロマに溢れる。
果実の香が立ち上がり続ける中、ブーケは平均的。

ミディアム・ボディで、タンニン量は控えめながらも、
味わいに密度感を十分に感じる。
まるで分子間の隙間がないのか…と思えるほどに
詰まった印象がありながらも、重苦しくない。

酸は複雑で強め、しかしなぜかしら嫌味にならない。
他の味の要素が酸の要素一つ一つに対応しているからか…
その構成は、巨大なバランス・モービルのようにさえ感じる。

スリムでスマートな飲み応え、余韻は短めで相応にまとまる。
アルコールはやや控えめで、タンニンの量も抑え気味、
相応のフィニッシュである。

このワインが「奨励賞」を獲得したのが、良く理解できる。
外観、アロマ…の時点で、龍が飛び出してきた印象があるからだ。
ただ、それから後の味わいやフィニッシュで、
今一歩頑張って欲しい…という飲み手側の強い要望なのだろう。

このワインを樽貯蔵したら…
想像の領域に過ぎないが、多分、山梨の一流所を凌駕できそうだ。
いや、他のワインと比べて…などどうでも良い。
蒜山として、最高の品質を世に送り出せるような気がする。

山葡萄を原料にすると、どうしても高いワインになってしまう。
粒の詰まり具合、手間のかかり具合などが
ヨーロッパ系の葡萄とはかなり違うからだ。

全く、同列でしか見てくれない市場に対し、
この突出した個性と、高い品質をいかにアピールするか…
は極めて難しい問題だろう。

しかし、コンテストでの「奨励賞」が、
将来的に「金賞」や「銀賞」に変わった時、
このワインがその領域に達した事になるのだろう。

その結果を得るには、今一歩の試行錯誤が必要な気がする。
私自身は、最も有力な一歩として、樽貯蔵を訴えたい。
この濃密で滑らかなワインが、樽の影響を受け止めたとき、
どのような姿を我々に見せてくれるか…を、
想像するのは興奮モノである。

無限の可能性を持つのワインに出会えた事を感謝すると共に、
私自身も「奨励賞」を贈り、将来に期待したい。

[The End]

06-1208 蒜山ワイン4 HILLZEN 山葡萄[ロゼ仕込]

テイスティングの1番

1.HILLZEN 山葡萄[ロゼ仕込]

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コルクは、面取りをしてある。
貯蔵をさほど考えないので問題はないだろう。

グラスに注ぐ時、ロゼなら、美しいバラ色を想像している。
しかし、瓶の外から見てもかなり深い色に見えたが、
グラスに注いだ時に見ても、これは「赤」に見える。

かつての日本でもそんな色が多かったし、
ドイツなどでは、今もこれを「赤」と言うだろう。
外観を見た時、これは「ロゼ」ではなく「赤」
と言わねばならないだろう。

ひるぜんの山葡萄がポリフェノールが異様に多く、
色素を落とせば、味わいが薄くなってしまう…
という事なのだろうか。

香は、果物とベリー系のアロマ。昔懐かしい葡萄ジュースの香。
色は濃いが、タンニンはなく、
甘さが中程度。恐らく40g/L弱程度、
つまり「やや甘口」と判断して良いだろう。

酸がしっかりとあり、フィニッシュ部分は柔らかく締まり、
目を閉じて味覚だけを頼りにすれば、
間違いなく「ロゼワイン」の味わい。
カベルネ・ダンジューを彷彿とさせる優しさがある。

が、それよりも酸があり、
残糖がそこそこあるにもかかわらず、多分、
お料理と合わせても喧嘩をしないだろう。
特に甘みのある味噌などのたれを使うフライ物
…トンカツの味噌たれなどは、すぐに想像ができる。

外観は異色、味わいは全うな「ロゼ」と言えるだろう。
色彩がロゼ色に近づき、コスト・パフォーマンスが上がれば、
このワインのファンは増えるだろう。

[To Be Continued…]

06-1207 蒜山ワイン3 野生種天然山葡萄原液

ひるぜんワインが原料にしている山葡萄は、
日本では、信州から北で栽培されているだけだ。
岡山県としては冷涼である蒜山の地で
栽培すると何が違うのか…

これは、
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を飲めば、すぐにそれが分かる。

単純に日照量の差が著しく、色に現れている。
徹底的に濃い。
ポリフェノールの量が信州以北で作る場合の数倍。
ヨーロッパ系の葡萄に比べても3倍の量を誇る。

健康系からのアプローチは、私自身、余り好まないが、
このポリフェノール量ならば、滋養強壮という目的が
他より圧倒的に高いレベルで達成できる。

この凝縮した印象は、まさに未体験の液体であり、
酸と甘さはあるものの、多くの味が複合しながら
バランスし、ジュース…と言うには余りに複雑な味香を持っている。
これは、確かに効きそうだ。

実際、この山葡萄の原液は、健康に良い…という事で、
我々が入手可能である。
現に東北地方では、病院などで、栄養補給に…
という使われ方をされているほどの信頼性がある。

さて、本題。
そのポリフェノール超満載の山葡萄、
ワインに仕立てた時にどうなのだ?
私自身は、活性酸素をやっつける(それは十分過ぎるほどあるのだから)よりも
旨ければ良い。
いや旨くなければ、ワインでなく薬だ。

ワインとしてのアプローチを図らねばならない。
襟を正して栓を抜き、グラスに注いだ。

[To Be Continued…]

06-1206 蒜山ワイン2 ヴィティス・コワニティエ

とりあえず、1.HILLZEN 山葡萄[ロゼ仕込]
のラベルを凝視すると…
「山葡萄」なのである。

ラベルには、以下のように記入されている。

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「ヴィティス・コワニティエ」なのだ。
ヨーロッパ系の葡萄が、「ヴィティス・ヴィニフェラ」(VITIS VINIFERA)、
北米系が、「ヴィティス・ラブルスカ」(VITIS LABRUSCA)である。

かつての経験から、ヴィテイス・ヴィニフェラ以外はダメだ…
という記憶が蘇る。

しかし、“かつて”というのも10数年前の経験、
そこからどれだけの道のりを進んできたか?…という事を
私は知らない。

実際、なぜヴィティス・コワニティエという山葡萄が
日本で生き残ってきたか。
それは、気候に適合したからである。

日本には、梅雨・台風という気候的な大きなハードルが2つある。
この時期とヴィティス・ヴィニフェラのとの栽培を照らし合わせると、
開花と実りの時期に重なってしまう。
良いワインはヴィティス・ヴィニフェラでなければならないが、
その重要なポイントで、日本は全く不利な気候を背負い込んでいるのだ。
これが、日本で良いワインができない…と言われた
大きなの理由の一つである。

しかしヴィティス・コワニティエは、開花も実りもズレるのだ。
だから日本で生き残ってきたのだろう。
その生物的な特性から、ワイン魔神・W氏は、
25年以上前から、有力品種として、目をつけていた。

が、適当には実るが、ワイン原料として見た時、
どこまで可能性を持つか?は、収穫量などから疑問があった。
おまけに欧州系種では無い雄株・雌株が存在し、複雑である。
それを伸ばすよりは、ヨーロッパ系のヴィテス・ヴィニフェラ葡萄を
使う方が、間違いがない。
ワイナリーとして活動するなら、それが堅実な道だろう。

しかし、テロワールを映し出す鏡として、
別の道・日本古来品種を選んだのが蒜山ワインなのである。
徹底的に山葡萄を使い、仕上げている。
その実力はいかに…

[To Be Continued…]

06-1205 蒜山ワイン1 ワインの外観

“蒜山ワイン”の植木さんが御来店、テイスティングを依頼された。
まだ知名度がさほど上がっていないヒルゼンワイン、
その実力のほどを確かめる良い機会と思い、取り組んでみる。

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ただし、良い所は褒め、悪い所は遠慮なく指摘する姿勢で臨む。
なぜなら、岡山県の北部にあるこのワイナリーは、
甲州ぶどうを使う山梨以上に、岡山そして蒜山というテロワールを
主張できる要素を持っているからだ。
あいまいな“ぬるま湯”的な言葉でなく、悪い部分を補正し、
より確かな方向へと進んで欲しい…という応援の意味である。

ボトル外観。
国産ワインにありがちな、少々のドン臭さがある。
これならば、和紙に毛筆…という土産物感覚の方が
良いかも知れないと私は思う。

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ただし、家紋をあしらっている事もあり、
造り手としてはかなり誇りを持っているようだ。
それに対して、結構、酷い事を言ってしまい、反省している。
後から見直してみると、味わいがあるようにも見えてきた。

が、英文字の綴りは“HILLZEN”で良いのだろうか?
高原…という澄み切った美しい光景を持つ蒜山、
HILL は、世俗の空気の汚れから離れられないような印象を
持っている私としては、語感が少し気に入らない。

私にとって蒜山高原は、もっとクリアーで美しく、
空気が澄んでいて、雪に覆われる聖地だ。
その空気が吸いたくて、5月のゴールデン・ウイーク辺りになると、
ついオートバイで出かけてしまう。
そんな魅力あるテロワールを、外観、文字、ラベルなどで
もっと的確に表現できないか…と少々歯がゆいのである。

本日のテイスティングは、2品目+1。

1.HILLZEN 山葡萄[ロゼ仕込]
2.HILLZEN 山葡萄[赤]
+1 蒜山高原 山葡萄原液 野生種天然山ぶどう100%

ワイン原材料の原液の味さえ利けるのは、
結構興味深い事である。

[To Be Continued…]