06-0803ポール・マス来訪 [14] シラー…魂のかけら

ポール・マスが故郷の家に帰り、
住居兼醸造所であるシャトー・ド・コナスで
ワイン造りを始めたのが、1990年。
そして1995年から自社ワインを造り始め、
初リリースは1997年である。

まだ10年も経っていないのか…と
驚いている。

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色んな葡萄が畑に植えられていて、
銘柄として販売していないものもある。
例えばリムーのピノ・ノワールなどだが、
彼の手腕によって、可能性は十分にあると思う。

メルローは、そこそこの結果が出る葡萄だと言う。
実際、彼の造るものは相応(以上)の内容だと思う。
でも何と言ってもシラーが好きで堪らないと語っていた。

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ル・ニ・ド・マ
マルサンヌ[2005]
ドメーヌ・ポール・マス
ル・ニ・ド・マ カリニャン
V.V.[2004]
ドメーヌ・ポール・マス
ル・ニ・ド・マ
ミュスカ・セック[2005]
ドメーヌ・ポール・マス

「シラーは、私の挑戦を受けてくれる。
ラングドックの地に最も合った品種と思う。」
そう語った時の彼の目は、
今までで一番輝いているように見えた。

実際、私自身、シラーはなかなか好きになれない品種だった。
まず大抵の場合、臭いからである。

料理によっては合わせられる。
良い熟成をすれば、流麗にさえ仕上がる。
確かにその通りなのだが、カベルネやピノのように
まとまり・バランスがストレートに出て来ず、
余程の手腕・資金・哲学などがなければ良品にならない、
本質的に田舎の、洗練されない品種…という印象を抱いていた。

しかし、シラーという品種に対する印象を
根本から覆してくれたがのが、
トゥアリータ、マッキオーレなどのイタリア勢と、
このポール・マスなのである。
今や私は、(美味しい)シラーのファンになってしまった。

レ・ファイス[2004]
ドメーヌ・ポール・マス

コトー・デュ・ラングドック ルージュ
シャトー・ポール・マス[2004]

彼の造るワイン、それは絶対に間違いのない品質。
安い?でも安心して良い。
何を飲む?…ってカミさんに聞かれ迷った時、
1600種類以上を在庫していても
なぜかしら彼のワインに手が伸びる。

それは、横柄な蛙が、全身全霊で仕上げたワインだから。
生産量が多くても、それぞれのボトルに
彼の魂のかけらが入っているのだろう。

そしてそれは、毎年進化していく。
横柄でい続けるには、見えない挑戦を
続けているのに違いない。

ドメーヌ・ポール・マス[2004]
カベルネソーヴィニヨン-シラー
ドメーヌ・ポール・マス[2005]
シャルドネ-ヴィオニエ

価格で品質を計ってはならない。
品質を求め、ここに至って欲しい。
ポール・マスのワインは、
価値を越えた品質が必ずある…
と売り物なのに手を付けてしまう私自身
言い切る事ができる。

今宵また、
滑らかでキメの細かい、バランス感のある彼のワインを
グラスの中で揺する快感に身を浸す。
クールで熱い、横柄な蛙に
乾杯!!

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