酒蔵の低温貯蔵庫で一年間寝かされた
本醸造無濾過生原酒です。
無濾過と言っても濁りがある訳でなく、
味わいを余す所無く詰め込んだ…
と理解した方が良さそうです。
日本酒の味利きは慣れてないですが、
一応はその世界の人間ですから、
成羽杜氏の思い入れを受け止めるべく
低温から注いで、グラスで揺すると…
フルーツの香りが次々と立ち上がってきます。
倫子さんいわく
「少しヒネ香があるけど、おいしいでしょ」
これの中に“ヒネ香”を見いださなければならぬのか…
と気合いを入れてみても、ワインしか分からぬ舌なのか、
この液体の中に、不快な?“ヒネ香”を感じる事はできませんでした。
感じるのは果実の香。白桃・黄桃・梨・カリン…
そして液体の中に内在する十分な甘み。
ワイン的に判断すると、このスタート時点で、
明かに中辛口よりも残糖を感じます。
つまりは、20g/L以上のレベル。
…高いアルコールが甘みの感覚を抑えているとすれば、
温度が上がれば、もっとある可能性を感じます。
何よりも原酒ならではの豊満なボディ。
押し寄せてくる力強さ。
豊かな後味と、止めどなく長く続いていく余韻。
温度が上がるとエステル系の芳香も果実に絡んできます。
そして間違いなく存在する圧倒的な甘み。
(もしかしたらドイツワインのシュペートレーゼクラス?
豚の角煮・天麩羅などに、これは絶対に合う!)
倫子さんの蔵で仕事をしていた成羽杜氏が
どのような姿を理想としていたのか…
この本醸造無濾過生原酒を、その答として受け止める事ができそうです。
いかがでしょうか。
舌に自信のある方。
じっくりとこの酒を「鑑賞」してやって下さい。
そこには必ず、語りかけてくる言葉があるはずですから…。
これだ、これ!
この上に上がって
下を覗きながら
タンク内の酒の
メンテナンスを
してたんだ。
このステージの
上での演奏、
待ってます!